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二章
おせんたく!
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「いけ! えんぺらー!!」
「ガウッ!!」
シロはエンペラーに乗って隊舎の周りを風を切って駆け回る。
楽しそうな娘をブレイクは眩しそうに見つめる。
「お~、キャッキャはしゃいでら~」
「シロ楽しそうっすね……お~、早いな」
シロとエンペラーは当たったら木が抉れるんじゃないかというスピードで疾走している。
「まあ普通の犬くらいの速さじゃシロは満足しないだろ。それにエンペラーもシロを喜ばせようと張り切ってるみたいだしな」
「おいあれ大丈夫なのか?」
「お~オッサン。今日は天気がいいから洗濯日和だなぁ」
「ああ、昨日はあいにくの雨だったからな。ってちげぇよ!! あれ危ねぇだろ! 止めろよ!!」
洗濯カゴを持ったオッサンがシロを心配してブレイクのところに寄ってきた。カゴの中身はからっぽなのであらかた洗濯物は干し終わったのだろう。少し離れた場所には風に靡く真っ白なシーツの群れがあった。
「ぎゃうんっ!?」
「ふぇ? ―――ぴええええええええええええええええええええええ!!!」
全力で疾走していたエンペラーがぬかるんだ地面に足をとられつんのめり、その勢いのままシロは投げ出された。
シーツの群れのど真ん中に。
「きゅおおおおおおおおおお!!!」
幸い物干し竿などには当たらなかったものの、シロは干してあったシーツを巻き込んで吹っ飛んだ。
「ぺしょん……」
大量のシーツが緩衝材になってシロに怪我はなかったが、真っ白だったシーツは茶色く汚れてしまっていた。
「あちゃ~……」
オッサンは片手で顔を覆い、天を仰いだ。
***
「ごみんなさい」
「クゥ~ン」
シロとエンペラーは泥だらけになったシーツの上で揃って土下座した。大人達の目には土下座というよりはごめん寝に見えたのだが。
泥だらけになったエンペラーがシロを心配して突進したので二人とも泥だらけだ。
「まあ今日は足場が悪かったこともあるからな。今度からはもうちょっとスピード落として遊べよ」
「あい」
「ガウッ!」
「シンプルに話通じてそうな狼がこえーわ」
オッサンは今更至極まっとうなことを言う。
「しゃーねー、もう一回洗濯し直すか」
「ちっちっちっ」
地面に落ちたシーツを拾い始めたオッサンの袖をシロがちょいちょい引っ張った。
「なんだ?」
「この子たちはシロとエンペラーが汚したのでせきにんをもって二人で洗います」
「……シロとエンペラーでってことか?」
「あい!」
キラキラとおめめを輝かせるシロ。そんなシロの頭の上にブレイクがポンと手を置いた。
「まあいいじゃねぇか。経験だよなぁシロ」
「うん!」
シロは大きく頷いた。
「よいしょ」
「ガウ!」
「うんしょ」
「ガウウ!」
シロは木製のタライに水と石鹸、そして汚れたシーツを入れてごしごし洗う。エンペラーも前脚をタライに突っ込んでふみふみしている。
その光景を大人達は眉尻を下げて見守る。
「かわいい」
「なにあのほのぼの光景」
「仕事辞めて田舎にでも引っ越すか」
「「「それは止めてください隊長」」」
エンペラーをジッと見つめた後、シロは靴を靴下を脱ぎ捨てた。
「シロもふみふみする!」
エンペラーが羨ましくなったのかシロは裸足でシーツをふみふみし始めた。ザブンザブンとタライの中で水が波打つ。
泡立入りの水がエンペラーに掛かる。
「ガウッ!」
「あはは! エンペラーも洗ってあげる」
「ガウッ!?」
シロは既に石鹸入りの水を浴びていたエンペラーの毛皮を擦って泡立て始めた。
すぐにエンペラーがあわあわになる。
「気持ちいいですか~?」
「ガウッ!」
シロは自身にも泡が付くのも構わずエンペラーを洗っていく。
結局、汚れた全てのシーツを洗い終えたのは夕方頃だった。
ブレイクは、やり切ったと満足して眠ってしまった娘を抱き言った。
「見事に脱線したな」
「結局子どもに任せるよりは自分でやった方が早いんだよなぁ……まあ部屋干しするか」
オッサンはキレイになったシーツの入った籠を持ちあげる。その足元にはやたらと毛並みのよくなった狼がいた。
「ガウッ!!」
シロはエンペラーに乗って隊舎の周りを風を切って駆け回る。
楽しそうな娘をブレイクは眩しそうに見つめる。
「お~、キャッキャはしゃいでら~」
「シロ楽しそうっすね……お~、早いな」
シロとエンペラーは当たったら木が抉れるんじゃないかというスピードで疾走している。
「まあ普通の犬くらいの速さじゃシロは満足しないだろ。それにエンペラーもシロを喜ばせようと張り切ってるみたいだしな」
「おいあれ大丈夫なのか?」
「お~オッサン。今日は天気がいいから洗濯日和だなぁ」
「ああ、昨日はあいにくの雨だったからな。ってちげぇよ!! あれ危ねぇだろ! 止めろよ!!」
洗濯カゴを持ったオッサンがシロを心配してブレイクのところに寄ってきた。カゴの中身はからっぽなのであらかた洗濯物は干し終わったのだろう。少し離れた場所には風に靡く真っ白なシーツの群れがあった。
「ぎゃうんっ!?」
「ふぇ? ―――ぴええええええええええええええええええええええ!!!」
全力で疾走していたエンペラーがぬかるんだ地面に足をとられつんのめり、その勢いのままシロは投げ出された。
シーツの群れのど真ん中に。
「きゅおおおおおおおおおお!!!」
幸い物干し竿などには当たらなかったものの、シロは干してあったシーツを巻き込んで吹っ飛んだ。
「ぺしょん……」
大量のシーツが緩衝材になってシロに怪我はなかったが、真っ白だったシーツは茶色く汚れてしまっていた。
「あちゃ~……」
オッサンは片手で顔を覆い、天を仰いだ。
***
「ごみんなさい」
「クゥ~ン」
シロとエンペラーは泥だらけになったシーツの上で揃って土下座した。大人達の目には土下座というよりはごめん寝に見えたのだが。
泥だらけになったエンペラーがシロを心配して突進したので二人とも泥だらけだ。
「まあ今日は足場が悪かったこともあるからな。今度からはもうちょっとスピード落として遊べよ」
「あい」
「ガウッ!」
「シンプルに話通じてそうな狼がこえーわ」
オッサンは今更至極まっとうなことを言う。
「しゃーねー、もう一回洗濯し直すか」
「ちっちっちっ」
地面に落ちたシーツを拾い始めたオッサンの袖をシロがちょいちょい引っ張った。
「なんだ?」
「この子たちはシロとエンペラーが汚したのでせきにんをもって二人で洗います」
「……シロとエンペラーでってことか?」
「あい!」
キラキラとおめめを輝かせるシロ。そんなシロの頭の上にブレイクがポンと手を置いた。
「まあいいじゃねぇか。経験だよなぁシロ」
「うん!」
シロは大きく頷いた。
「よいしょ」
「ガウ!」
「うんしょ」
「ガウウ!」
シロは木製のタライに水と石鹸、そして汚れたシーツを入れてごしごし洗う。エンペラーも前脚をタライに突っ込んでふみふみしている。
その光景を大人達は眉尻を下げて見守る。
「かわいい」
「なにあのほのぼの光景」
「仕事辞めて田舎にでも引っ越すか」
「「「それは止めてください隊長」」」
エンペラーをジッと見つめた後、シロは靴を靴下を脱ぎ捨てた。
「シロもふみふみする!」
エンペラーが羨ましくなったのかシロは裸足でシーツをふみふみし始めた。ザブンザブンとタライの中で水が波打つ。
泡立入りの水がエンペラーに掛かる。
「ガウッ!」
「あはは! エンペラーも洗ってあげる」
「ガウッ!?」
シロは既に石鹸入りの水を浴びていたエンペラーの毛皮を擦って泡立て始めた。
すぐにエンペラーがあわあわになる。
「気持ちいいですか~?」
「ガウッ!」
シロは自身にも泡が付くのも構わずエンペラーを洗っていく。
結局、汚れた全てのシーツを洗い終えたのは夕方頃だった。
ブレイクは、やり切ったと満足して眠ってしまった娘を抱き言った。
「見事に脱線したな」
「結局子どもに任せるよりは自分でやった方が早いんだよなぁ……まあ部屋干しするか」
オッサンはキレイになったシーツの入った籠を持ちあげる。その足元にはやたらと毛並みのよくなった狼がいた。
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