天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの

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二章

人間やめたの?

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 パパは今日は朝から殿下の所に行っちゃったので、わたしは大人しくクロの腕の中でお留守番している。

「しろ……かわいい……」

 おでこにちゅっちゅされた。
 クロは筋肉質じゃないけどわたしを抱っこする腕は安定してる。

「クロずり~。俺もシロちゃん抱っこしたいんだけど」
「だめ……」

 アニが文句を言うけどクロは聞く耳を持たない。どころかわたしの頭に頬ずりしてくる。

「パパまだかなぁ」
「……きっともうすぐ……」

 あやすようにクロがわたしをゆする。

「シロちゃんチョコ食べる?」

 アニがわたしの前に裸のチョコを差し出してくるので、わたしはあーんと、アニの手から直接チョコを食べた。

「おいちい」
「カワワワワ!!!」

 アニが壊れた。

「シロちゃんはなんでそんなにかわいいの? カワウソなの?」
「……あに……こわれた……?」
「きっと通常営業だよ」

 いつもこんな感じ。

「シロ」
「!! パパ!!」

 パパが殿下のとこから帰ってきた。

「クロ、シロの面倒を見ててくれてありがとな」
「ん……」

 クロの頭をワシワシ撫でた後、パパはわたしをクロから引き取った。
 ギュッと抱きしめられ頬ずりされる。

「シロ~、会いたかったぞ~」
「シロも~」

 父娘の戯れを済ませたところで、パパが本題に入った。

「今度城でパーティをやるらしくてな、その時に招待客に混ざって王族を警護してくれって」
「おお! ついに俺らにそんな仕事が!!」
「素行がマシになったんですかね」
「……マシ……?」

 みんなは喜んでるけどエルヴィスは素行がマシになったっていう誰かの言葉に眉を顰めていた。

「ってことで、この中から三人を選抜したいと思う」
「おお!」

 シロもパーティデビューだ!と思っていたら、パパから非情な宣告がされた。

「あ、シロは俺とお留守番だから選考外だぞ」
「ぴ?」
「パーティが行われるのは主に夜だからな、シロ寝ちゃうだろ?」
「むううう」

 確かにそうだけど……。

「でも、なんで隊長も留守番なんですか?」
「ん? 俺が客に混ざって正装なんてしたら目立って目立って警護どころじゃないだろ?」
「「「確かに」」」

 パパ超絶イケメンさんだもんね。


「でも、選抜って言ってもどうやって選ぶんですか?」
「そりゃもちろん男前度で選ぶ。審査員は俺とシロだ」
「男前度って……。まあいいや」

 あ、エルヴィスが突っ込みを放棄した。

「でも審査員二人って少ないね。もう一人くらいほしいな……」


「シロちゃん呼んだ~!?」


「ふぇ?」

 ここにいる筈のない人の声がしてわたしは振り返った。

「メロリ、参上~☆」

 そこには、フリフリの洋服を着て敬礼をしているメロリがいた。

「メロリ、なんでここにいるの!?」

 この前別の国に行ったばっかりじゃなかったっけ?
 メロリと犬猿の仲のアニがうわぁって顔になったよ。


「うふふ☆シロちゃんが私を呼んでる気配がして来ちゃった☆」
「え、お前いつの間に人間やめたの?」
「誰が人外だ☆」




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