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2話/臭いの真相
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「えっ?火葬場?どういうこと?」
楓美は青ざめた顔で語りだした。
「肉が焼けた臭いって香織は言ってたけど…それって、人の、肉のことじゃない?」
「え、えぇ?ひ、人っ!?」
ミステリーだけでなく、ホラー好きでもある楓美は、霊のいそうな職場で働くことが趣味だった。
病院の清掃員をしたり、お寺でボランティアをしたり…。
そして…火葬場のアルバイトもしていた。
「火葬場で働くって言っても、葬儀用品運んだりするだけだったんだけど。でも…遺体を焼くところに遭遇しちゃって。臭いがきつすぎてやめたの。」
「そうだったんだ…」
「その臭いと、あの部屋の臭い…似てるよ。人が焼かれる臭いさ、衝撃的すぎてよく覚えてるから、間違いない。」
「何それ、どうしよう…」
あの部屋の臭いが人を焼いた時に出る臭いだったなんて…。
鳥肌がたち、脂汗が止まらない。
あの臭いが肉を焼く臭いに感じていたのにも納得がいく。
臭いに不快感があったのは、豚や牛の肉ではなく、人肉だったからなんだろう。
「とにかく、今日は私の家に行こう。今日は泊まりなよ」
「うん、そうさせてもらおうかな。ごめんね、ほんと…」
気持ちを落ち着かせるために、頼んだカフェオレを飲む。
コーヒーのいい匂いで、安心する。
私、あの部屋に帰れるだろうか…
今後の生活にも支障がでる。また引っ越しか…
いっそのこと、しばらく実家に帰ろうか。
・
楓美の家に行く前にコンビニに寄り、歯ブラシや下着を購入した。いつも楓美の部屋に泊まるときは歯ブラシや着替えは持参するのだが、あの部屋に取りに帰る勇気はなかった。
「楓美、本当に今日はありがとね。…にしても、なんであの部屋であんな臭いがするんだろ」
「それそれ!私も、気になってたの」
楓美の家のソファに座り、あの部屋のことを話す。
「もしかしたら、誰かの殺人現場だったりして…!」
最悪の想像をしてしまう。心霊現象は起こらない部屋だったけれど、もしかしたら人があの部屋で燃やされた事実があるかもしれない。
「不動産屋は何も言ってなかったのに…」
「いやいや。それはないと思うよ?あのワンルームで人を燃やしたとしたら、他の部屋にも燃え移るでしょ。」
「確かに…あの部屋狭いし。」
「それに殺人事件が起こったとしたなら、流石にニュースになって、私たちも知ってるはずだよ。私たちが知らなかったとしても、不動産屋が知らないなんてこと絶対に有り得ない。」
流石、ミステリー好き。推理力があるなぁ…。説得力もあるし、やっぱり楓美は頭が良い。
「そうだよねぇ…ならなんで人の焼けた臭いが…?」
「とりあえず、あのアパート周辺で焼死事件とか起きてないか調べてみようよ。」
そう言った楓美はノートパソコンを持ってきて、ネットで検索しだす。
「××町、焼死事件…っと」
パチパチとタイピングをする楓美は、なんだか楽しそうだ。
私も、探偵の助手になった気分になり、沈んでいた気持ちも少しずつ晴れてきた。
「楓美、なんか出てきたー?」
検索しだして10分。そろそろ何かあるだろう。
「うーん…全然ない。2ヶ月前に自分の部屋に放火自殺した男性の記事しか出てこない」
「あー、なんかニュースになってたっけ?」
「しかも隣町のやつだし」
隣町で、放火自殺か…
あの部屋で臭いがする事とは全く関係なさそうだ。
「はぁ…早速行き詰まったね」
「うーん…あっ!そうだ。謎を暴く為にもさ、明日大学休んで不動産屋行こうよ。」
「不動産屋?」
「入居前は教えてくれなかったけど、こっちから聞いたら何か教えてくれるかも知らないでしょ。」
「確かに。いいの?楓美は大学休んで」
「早く真相知りたいしね」
「楓美…」
楓美の優しさに感動しながらも、私は不動産屋のことで頭がいっぱいだった。
いずれは不動産屋に行こうと思っていた。何事も早い方がいいだろう。
「そうと決まったら明日に備えて早く寝よ!」
そんなこんなで、私たちは明日、不動産屋に向かうことにした。
楓美は青ざめた顔で語りだした。
「肉が焼けた臭いって香織は言ってたけど…それって、人の、肉のことじゃない?」
「え、えぇ?ひ、人っ!?」
ミステリーだけでなく、ホラー好きでもある楓美は、霊のいそうな職場で働くことが趣味だった。
病院の清掃員をしたり、お寺でボランティアをしたり…。
そして…火葬場のアルバイトもしていた。
「火葬場で働くって言っても、葬儀用品運んだりするだけだったんだけど。でも…遺体を焼くところに遭遇しちゃって。臭いがきつすぎてやめたの。」
「そうだったんだ…」
「その臭いと、あの部屋の臭い…似てるよ。人が焼かれる臭いさ、衝撃的すぎてよく覚えてるから、間違いない。」
「何それ、どうしよう…」
あの部屋の臭いが人を焼いた時に出る臭いだったなんて…。
鳥肌がたち、脂汗が止まらない。
あの臭いが肉を焼く臭いに感じていたのにも納得がいく。
臭いに不快感があったのは、豚や牛の肉ではなく、人肉だったからなんだろう。
「とにかく、今日は私の家に行こう。今日は泊まりなよ」
「うん、そうさせてもらおうかな。ごめんね、ほんと…」
気持ちを落ち着かせるために、頼んだカフェオレを飲む。
コーヒーのいい匂いで、安心する。
私、あの部屋に帰れるだろうか…
今後の生活にも支障がでる。また引っ越しか…
いっそのこと、しばらく実家に帰ろうか。
・
楓美の家に行く前にコンビニに寄り、歯ブラシや下着を購入した。いつも楓美の部屋に泊まるときは歯ブラシや着替えは持参するのだが、あの部屋に取りに帰る勇気はなかった。
「楓美、本当に今日はありがとね。…にしても、なんであの部屋であんな臭いがするんだろ」
「それそれ!私も、気になってたの」
楓美の家のソファに座り、あの部屋のことを話す。
「もしかしたら、誰かの殺人現場だったりして…!」
最悪の想像をしてしまう。心霊現象は起こらない部屋だったけれど、もしかしたら人があの部屋で燃やされた事実があるかもしれない。
「不動産屋は何も言ってなかったのに…」
「いやいや。それはないと思うよ?あのワンルームで人を燃やしたとしたら、他の部屋にも燃え移るでしょ。」
「確かに…あの部屋狭いし。」
「それに殺人事件が起こったとしたなら、流石にニュースになって、私たちも知ってるはずだよ。私たちが知らなかったとしても、不動産屋が知らないなんてこと絶対に有り得ない。」
流石、ミステリー好き。推理力があるなぁ…。説得力もあるし、やっぱり楓美は頭が良い。
「そうだよねぇ…ならなんで人の焼けた臭いが…?」
「とりあえず、あのアパート周辺で焼死事件とか起きてないか調べてみようよ。」
そう言った楓美はノートパソコンを持ってきて、ネットで検索しだす。
「××町、焼死事件…っと」
パチパチとタイピングをする楓美は、なんだか楽しそうだ。
私も、探偵の助手になった気分になり、沈んでいた気持ちも少しずつ晴れてきた。
「楓美、なんか出てきたー?」
検索しだして10分。そろそろ何かあるだろう。
「うーん…全然ない。2ヶ月前に自分の部屋に放火自殺した男性の記事しか出てこない」
「あー、なんかニュースになってたっけ?」
「しかも隣町のやつだし」
隣町で、放火自殺か…
あの部屋で臭いがする事とは全く関係なさそうだ。
「はぁ…早速行き詰まったね」
「うーん…あっ!そうだ。謎を暴く為にもさ、明日大学休んで不動産屋行こうよ。」
「不動産屋?」
「入居前は教えてくれなかったけど、こっちから聞いたら何か教えてくれるかも知らないでしょ。」
「確かに。いいの?楓美は大学休んで」
「早く真相知りたいしね」
「楓美…」
楓美の優しさに感動しながらも、私は不動産屋のことで頭がいっぱいだった。
いずれは不動産屋に行こうと思っていた。何事も早い方がいいだろう。
「そうと決まったら明日に備えて早く寝よ!」
そんなこんなで、私たちは明日、不動産屋に向かうことにした。
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