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第19話
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■■■■■
文化祭当日。
体育館で全学年集合の合同開会式が終わり、出店を控えている学生達は各自の持ち場へ散っていった。
あれほど、暇で、文化祭中、どう時間を潰そうかと考えていた俺はと言うと......、
校門前にも受けられた仮設のテントの下で、
実行委員の清水さんと一緒に一般参加の方の受付をしていた。
「竹中君。助かりました。1年の受付担当の子が風邪で欠席してしまいまして、実行委員の役割分担が回らなくて、どうなることかと…」
清水さんは何度も俺に感謝を述べてくれる。
「いいって。いいって。俺も別に暇だったし…」
本当の事だ。
風邪で寝込んでいる1年生には悪いが、良い暇つぶしになる。
「本当にありがとうございます」
そう優しく笑った彼女の顔に一瞬ドキッとしてしまった。
■■■■■
受付の入場者の列が途切れると、清水さんが俺に話しかけてくる。他愛もない会話で、盛り上がる。
学校の授業が最近難しくなってきたって事。
小学生の時の運動会で応援合戦中に派手に転んだ事。
「清水さんって、意外とドジキャラなんだな」
「ふふっ。実は鈍臭いんですよ。高校では頑張って隠してますけどね。」
世間話程度の会話。ただ、それでも嬉しかった。また、こうして彼女と話せているんだから。こう.....なんか、思うものはある。
■■■■■
何回目かの会話の時に清水さんは俺を見て言った。
「やっぱり、竹中君は優しいですね」
「そうでもないよ」
優しくない。
「ふふ。いつも、竹中君は謙遜ばかりです。もっと、自分の人柄に自信を持って下さい。竹中君は凄い優しいですよ」
優しい人間だったら、君に嘘なんてつかないさ。
嘘を付いてまで、君のそばを離れないなんて、ただのキモイストーカー野郎だ。
『清水さんこそ、忙しいはずなのに、周りの気配りめちゃくちゃするし。清水さんこそ優しくていい人だよ…』
小さくそう呟くと、彼女は『またまた、ご謙遜を...。』と言いながらふふっと肩を揺らした。
■■■■■
「こんにちは。ようこそ、お越しくださいました。」
「こちらに、お名前と住所、お電話番号をご記入ください。」
「これが参加証になります。首から下げて文化祭をお楽しみください。」
「1年2組の出し物ですか?えーっと、そこは、教室展示なので...『理科実験教室~自分だけの香水を作ろう~』ですね。このまま、まっすぐ行って、正面の階段を3階まで登っていただくと、正面にある教室になります。」
高校の文化祭と言えど、それなりに人はやってくる。
ひっきりなしに受付対応していく。
机を挟んで...。
お客さんの向き合って...。
なんか、アイドル時代の握手会を思い出すな...。
隣では、清水さんがアイドル要素全開に、来場者の心を鷲摑みしていた。
お昼過ぎになると、受付業務もわりと空いてきた。
「ふぅー。なんとか乗り切りましたね」
「だな」
俺達は椅子の背もたれに体を預け、脱力した。
「あの...竹中君を見ていて思ったんですけれど...、竹中君、凄く慣れてらっしゃいますよね...。」
「...何が?」
言葉の欠如で具体的に何を言いたいのか分からなかった。
「えっと、なんて言いますか...人とコミュニケーションを取るのが竹中君は上手だなぁと思いまして...」
「そうか?別に普通だけど...」
「知らない人に笑顔を向けて挨拶をするとか、紳士的な対応とか...それを普通にやるのが凄すぎるんですよ」
「私、一瞬、同業者なのかと思いましたもん」
清水さんと同業者?
「竹中君、アイドルになりませんか?」
「竹中君、絶対にアイドルに向いていますよ」
現役アイドルから、いきなりの勧誘。
「ははは。俺がアイドル?ないないない。ははは」
元アイドルでしたなんて口が裂けても言えないから、ここは笑うしかない。
それでも、アイドルの片鱗を清水さんが感じ取ってくれたことは嬉しかった。
けれど、いくらアイドルの素質を見抜かれたところで、もう目指せないんだな...と思うと後味が少し苦くなった。
文化祭当日。
体育館で全学年集合の合同開会式が終わり、出店を控えている学生達は各自の持ち場へ散っていった。
あれほど、暇で、文化祭中、どう時間を潰そうかと考えていた俺はと言うと......、
校門前にも受けられた仮設のテントの下で、
実行委員の清水さんと一緒に一般参加の方の受付をしていた。
「竹中君。助かりました。1年の受付担当の子が風邪で欠席してしまいまして、実行委員の役割分担が回らなくて、どうなることかと…」
清水さんは何度も俺に感謝を述べてくれる。
「いいって。いいって。俺も別に暇だったし…」
本当の事だ。
風邪で寝込んでいる1年生には悪いが、良い暇つぶしになる。
「本当にありがとうございます」
そう優しく笑った彼女の顔に一瞬ドキッとしてしまった。
■■■■■
受付の入場者の列が途切れると、清水さんが俺に話しかけてくる。他愛もない会話で、盛り上がる。
学校の授業が最近難しくなってきたって事。
小学生の時の運動会で応援合戦中に派手に転んだ事。
「清水さんって、意外とドジキャラなんだな」
「ふふっ。実は鈍臭いんですよ。高校では頑張って隠してますけどね。」
世間話程度の会話。ただ、それでも嬉しかった。また、こうして彼女と話せているんだから。こう.....なんか、思うものはある。
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何回目かの会話の時に清水さんは俺を見て言った。
「やっぱり、竹中君は優しいですね」
「そうでもないよ」
優しくない。
「ふふ。いつも、竹中君は謙遜ばかりです。もっと、自分の人柄に自信を持って下さい。竹中君は凄い優しいですよ」
優しい人間だったら、君に嘘なんてつかないさ。
嘘を付いてまで、君のそばを離れないなんて、ただのキモイストーカー野郎だ。
『清水さんこそ、忙しいはずなのに、周りの気配りめちゃくちゃするし。清水さんこそ優しくていい人だよ…』
小さくそう呟くと、彼女は『またまた、ご謙遜を...。』と言いながらふふっと肩を揺らした。
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「こんにちは。ようこそ、お越しくださいました。」
「こちらに、お名前と住所、お電話番号をご記入ください。」
「これが参加証になります。首から下げて文化祭をお楽しみください。」
「1年2組の出し物ですか?えーっと、そこは、教室展示なので...『理科実験教室~自分だけの香水を作ろう~』ですね。このまま、まっすぐ行って、正面の階段を3階まで登っていただくと、正面にある教室になります。」
高校の文化祭と言えど、それなりに人はやってくる。
ひっきりなしに受付対応していく。
机を挟んで...。
お客さんの向き合って...。
なんか、アイドル時代の握手会を思い出すな...。
隣では、清水さんがアイドル要素全開に、来場者の心を鷲摑みしていた。
お昼過ぎになると、受付業務もわりと空いてきた。
「ふぅー。なんとか乗り切りましたね」
「だな」
俺達は椅子の背もたれに体を預け、脱力した。
「あの...竹中君を見ていて思ったんですけれど...、竹中君、凄く慣れてらっしゃいますよね...。」
「...何が?」
言葉の欠如で具体的に何を言いたいのか分からなかった。
「えっと、なんて言いますか...人とコミュニケーションを取るのが竹中君は上手だなぁと思いまして...」
「そうか?別に普通だけど...」
「知らない人に笑顔を向けて挨拶をするとか、紳士的な対応とか...それを普通にやるのが凄すぎるんですよ」
「私、一瞬、同業者なのかと思いましたもん」
清水さんと同業者?
「竹中君、アイドルになりませんか?」
「竹中君、絶対にアイドルに向いていますよ」
現役アイドルから、いきなりの勧誘。
「ははは。俺がアイドル?ないないない。ははは」
元アイドルでしたなんて口が裂けても言えないから、ここは笑うしかない。
それでも、アイドルの片鱗を清水さんが感じ取ってくれたことは嬉しかった。
けれど、いくらアイドルの素質を見抜かれたところで、もう目指せないんだな...と思うと後味が少し苦くなった。
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