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第5話 キャシー視点
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キャシーは先程までの公爵邸での出来事を思い返し、憤りながらボナリー子爵邸に帰宅した。
キャシーの帰宅をキャシーの母・ナタリナが出迎えた。
「あら、キャシー。早かったのね? ジュリアン様とは会えた?」
「会えましたわ。ただ、ジュリアン様は私がいない間に結婚されていて……」
そう言ってキャシーは先程までの憤りを全て消し、しょんぼりと肩を落とす。
キャシーは自分がしょんぼりとして落ち込んでいたら両親は自分が望んだ通りの展開に動くとわかっていた。
「まぁ……! ジュリアン様はキャシーと婚約しておきながら不誠実なことをなさるのね」
「ねぇ、ママ。私はずっとジュリアン様と婚約していたのよね?」
「ええ、そうよ。一目見た時からジュリアン様は可愛いキャシーの婚約者にぴったりだと思ったのよ。だから、公爵夫人にこちらから声をかけて婚約を取り付けたの。夫人からは、ジュリアン様とキャシーがお互い気持ちが通じ合っているなら婚約者候補として考えると返事をもらったわ。私達が4年前、バンベルクに移住する直前にはキャシーとジュリアン様は仲良しに見えたから念押ししなくても大丈夫だと思っていたのに……」
ナタリナはそう思っていたが、この話には当然裏がある。
公爵夫人は遠回しにお断りをしていることに気づかなければならなかった。
家として取引のある者に婚約を持ちかけられて、直接的に面と向かってお断りするのは些か体裁が悪い。
いくら格下相手でも、だ。
夫人はジュリアンがキャシーを嫌っていたのは知っていたから、気持ちが通じ合っているのならと前提条件をつけた上で、婚約者候補として考えると言ったのである。
それも候補として考えると言っただけで、候補にするとは言っていない。
そもそも公爵夫人とナタリナの話は口頭で話したものであり、法的な拘束力は何もない。
正式な婚約は口約束ではなく、書面にて交わし、その際、その家の当主は必ずその場にいなければならない。
書類に当主のサインが必要だからだ。
交わされた書類は王宮の貴族院という部署に提出され、書類に不備がある場合や事件・犯罪絡みではないことが確認されたら受領される。
勿論事情が変わり、婚約を解消したい時はきちんと手続きをすれば解消出来るが、今はそれはおいておく。
まとめると、ナタリナが後から何かを言っても正式な婚約ではない為、ナタリナが勝手に勘違いしただけということで話が終わる。
正しい婚約の結び方を知らなかった方が悪いと判断される。
「そうだったのね。私の願いは二つ。まず、ジュリアン様と泥棒猫を離婚させること。次にブロワ公爵家と泥棒猫の実家のベルレアン侯爵家は国中の商会から商品を買えないようにすること。ママからパパにお願いしてくれる?」
キャシーはうるうると上目遣いにお願いする。
「わかったわ。キャシーのお願いはマルクに伝えるわ」
マルクとは、ナタリナの夫でキャシーの父である。
彼は日中はボナリー商会の事務所にいる為、ナタリナとキャシーが話をしていた時間帯には屋敷には不在だった。
マルクが帰宅後、夫婦の部屋でナタリナからキャシーの話と願いについて伝えられた。
「何だって!? かわいそうなキャシー。その泥棒猫には儂がちゃんと制裁を加えるからな」
「頼みましたよ。目に物を見せてやるわ!」
……この時点で一家の命運は尽きていた。
自分達は一体誰に喧嘩を売ったのか。
この一家の中に分かっている者はいなかった。
キャシーの帰宅をキャシーの母・ナタリナが出迎えた。
「あら、キャシー。早かったのね? ジュリアン様とは会えた?」
「会えましたわ。ただ、ジュリアン様は私がいない間に結婚されていて……」
そう言ってキャシーは先程までの憤りを全て消し、しょんぼりと肩を落とす。
キャシーは自分がしょんぼりとして落ち込んでいたら両親は自分が望んだ通りの展開に動くとわかっていた。
「まぁ……! ジュリアン様はキャシーと婚約しておきながら不誠実なことをなさるのね」
「ねぇ、ママ。私はずっとジュリアン様と婚約していたのよね?」
「ええ、そうよ。一目見た時からジュリアン様は可愛いキャシーの婚約者にぴったりだと思ったのよ。だから、公爵夫人にこちらから声をかけて婚約を取り付けたの。夫人からは、ジュリアン様とキャシーがお互い気持ちが通じ合っているなら婚約者候補として考えると返事をもらったわ。私達が4年前、バンベルクに移住する直前にはキャシーとジュリアン様は仲良しに見えたから念押ししなくても大丈夫だと思っていたのに……」
ナタリナはそう思っていたが、この話には当然裏がある。
公爵夫人は遠回しにお断りをしていることに気づかなければならなかった。
家として取引のある者に婚約を持ちかけられて、直接的に面と向かってお断りするのは些か体裁が悪い。
いくら格下相手でも、だ。
夫人はジュリアンがキャシーを嫌っていたのは知っていたから、気持ちが通じ合っているのならと前提条件をつけた上で、婚約者候補として考えると言ったのである。
それも候補として考えると言っただけで、候補にするとは言っていない。
そもそも公爵夫人とナタリナの話は口頭で話したものであり、法的な拘束力は何もない。
正式な婚約は口約束ではなく、書面にて交わし、その際、その家の当主は必ずその場にいなければならない。
書類に当主のサインが必要だからだ。
交わされた書類は王宮の貴族院という部署に提出され、書類に不備がある場合や事件・犯罪絡みではないことが確認されたら受領される。
勿論事情が変わり、婚約を解消したい時はきちんと手続きをすれば解消出来るが、今はそれはおいておく。
まとめると、ナタリナが後から何かを言っても正式な婚約ではない為、ナタリナが勝手に勘違いしただけということで話が終わる。
正しい婚約の結び方を知らなかった方が悪いと判断される。
「そうだったのね。私の願いは二つ。まず、ジュリアン様と泥棒猫を離婚させること。次にブロワ公爵家と泥棒猫の実家のベルレアン侯爵家は国中の商会から商品を買えないようにすること。ママからパパにお願いしてくれる?」
キャシーはうるうると上目遣いにお願いする。
「わかったわ。キャシーのお願いはマルクに伝えるわ」
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彼は日中はボナリー商会の事務所にいる為、ナタリナとキャシーが話をしていた時間帯には屋敷には不在だった。
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「何だって!? かわいそうなキャシー。その泥棒猫には儂がちゃんと制裁を加えるからな」
「頼みましたよ。目に物を見せてやるわ!」
……この時点で一家の命運は尽きていた。
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この一家の中に分かっている者はいなかった。
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