半分異世界

月野槐樹

文字の大きさ
178 / 305
第14章 尾市1

第177話 今後を考える

しおりを挟む
「一瞬、さ。俺とまた同室に戻りたいのかなって思ったんだけど‥‥。目を逸らしたんだよね。俺と目が合ったら、おまえじゃないって感じでさ。目をそらされたんだ。」

あーあと椎名は苦笑して、項垂れた。

「それでその直後に三輪が名乗り出たら、驚く様子もなく頷いたんで、あーって思ってさ。何やってたんだろうな俺は。」

三輪と石倉が宿で同室となった後、柊さんと二人部屋になった椎名は、安アパートを借りるのも柊さんと借りる事に決めて探し始めたらしい。
その後、江角さんと柄舟さんが、もう一度だけ救出活動をすると宣言して、椎名達も協力をして敢行。
そして重盛と南部さんが救出された。

江角さん達が言っていた通り、救出直後はすぐには働けないだろうと、皆のカンパで宿代を出していたのに、四人部屋は嫌だとか文句を言い出したので椎名達は候補にしていたアパートの契約を進めてとっとと宿を出たそうだ。

連絡先はは江角さんと柄舟さんにだけ伝えていたそうだ。その後、江角さんと柄舟さんもあまり日にちを置かずに宿から引っ越し、残りのメンバーについては放置していたがいつの間にか宿を出たようだという。

「お前のところはどうだ? 開拓って大変なんじゃないのか?」
椎名から,俺の近況を聞かれた。

「うん。まあ、畑もないところからのスタートだったからそれなりにな。でも充実しているよ。」
「お前らチームワークよさそうだったからな。あ、尾市、お前‥‥、ワイちゃんとはどうなの?上手く行ってる?」
「へ?」

突然、ワイちゃんの事を振られて目を瞬かせた。

「あれ?違うの?だってお前ら男女比3:3じゃん。そういう事かと。」
「いやいやいや。」

ワイちゃんとは仲間としては仲良くやっていると思う。一個上だけど気さくで年上って感じがしないし、嫌いじゃない。でも逆に「身近で。他にいないから。」みたいな感じが抵抗があって考えないようにしてた。多分ワイちゃんもそうだと思う。
というような事を言うと、ふっと笑った。

「微妙な感じを楽しんでそう。」
「そういうわけじゃねぇよ。」
「まあ、いいんじゃない?俺は『身近で』ってやつをやって失敗したわけだし。」
「‥‥。」
「今思うと、身近でしかも頼ってくれるって思って舞い上がってたんだなぁ。」

そう言って椎名は少しだけ眉を顰めたが、そんなに哀しそうには見えなかった。
石倉の事はすっかり吹っ切れていそうに見えたので、今後の事を聞いてみる事にした。

「椎名は、今後もこの街で生活していくのか?」
「うん?うーん‥‥開拓村に来るかって話?」
「それも‥‥あるけど‥‥。今はもう、召還者達の救出をしたいってわけでもなさそうな感じだし。そうなったらこの街にいる理由もそうないだろ。どうするのかなと思って‥‥。」
「まーね‥‥。他のやつらを助けたいって気持ちは、あんまりないよな。目の前にいたら助けるかもしれないけど、態々危険を冒してまで助けたいかっていうとね。
バッテリー盗んでまで、救出に行った俺がいうと、あの時はなんだったんだよって思うだろうけど。」

椎名が苦笑いした。

「あの時は、石倉に影響されてただけだろ。」
「うん‥‥。あいつさぁ。人を煽るのは上手いと思うよ。自分は危険を冒さず、『皆を助けたい!力を貸して!』って、何かのヒロインかよっ‥‥って、それはもういいけど。
あの時は石倉に煽られて『今やるしかない』みたいな気持ちになってた。マジ、どうかしてたよ。」

石倉は三輪と同室になった後、何度か涙ながらに何かを椎名に訴えようとしたことがあったそうだが、椎名は避けていたそうだ。

「下手すると金だけ貢ぐことになりそうな気がして、丸めこなれないように距離をおいてたよ。」
「石倉って魔性の女?」
「それな。」

二人で笑い合った。
それから椎名は少し真剣な様子で言った。

「確かに、召還者を助けるつもりじゃないんだったら‥‥、別にこの街に居る必要はないんだよな‥‥。ただ、この街だと江角さんと柄舟さんがいて心強いっていうのはある‥‥。
前の国でもこの国でも一人歩きとかが危ない場所ばっかりでさ。街を出るとしたら柊さんと一緒に出るのかなとは思う。
時々さ。考えるんだけど、この状況で彼女とか出来て一緒に暮らしたいってなった場合どうするんだろうって。
お互いに相手が出来てからじゃないと、共同生活解消できないじゃん?
柊さんとは上手くやっていけてるとは思うけど、そう言った事を考えると、二人で街を出るっていうのはね‥‥。
この街にいれば、どちらかが一人になっても、江角さんと柄舟さんに頼れるような気がして‥‥。ずるい考えなんだろうけど‥‥。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

処理中です...