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第14章 尾市1
第178話 異世界の不労所得
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「一人歩きできないって結構ネックだよなぁ。」
「全くだよ。始めて聞いたときは『一人歩きダメって小学生かよ』って思ったけどさ。皆一人で歩いてないから、一人だと確実に目立って狙われやすいだろ。ゴリラみたいになんないと無理。」
「ゴリラめざすか?」
「ウッホウッホ」
ハハハと二人でちょっと乾いた笑いを浮かべた。
少しの間沈黙が流れた。俺はちょっと考えて開拓村の話をしてみることにした。村の詳細な様子は話すなって言われているから、主に椎名の意向の確認だ。
「開拓村に行くとかは考えないの?」
「それはちょっと考えるけどね。知ってる奴が何人も行っているわけだし。でも農作業とかは楽じゃないだろ。」
「まあね。でも狩りも楽じゃないじゃん。」
「そうだよなぁ~。行くとなったら、柊さんも一緒じゃないとだめか‥‥。いや、江角さん達に頼むって手があるか‥‥。」
「行きたくないってわけでもないのか。」
「何処いっても大変と言えば大変だと思えばね。それに、尾市もいるだろ。気心知れた奴がいるのって、心強いじゃん。」
「‥‥そう、か‥‥。」
俺が居るからと言われるとちょっとこそばゆい気持ちになる。
ロッシュさんに言われたから、開拓村を強く勧めたりはしないけど3日後に帰るから同行するなら、早めにロッシュさんに伝えろと言っておいた。
椎名も検討する、と言った。もしも同行する場合はアパートを引き払ったりといった手続きが必要だから早く決断しないといけないよな、と呟いていた。
そこから、ちょっと愚痴だの雑談だのを少しした。
「あのベーコンとソーセージの製法もお前らが登録したんだろ?ツェット商会で売ってるから。」
「ああ‥‥。実際に登録したのは俺じゃないけど。」
「ソーセージパンは上手いよな。俺、3食あれでもいい。」
「3食、は流石に身体壊すぞ。」
「まあ、こっちのパンも、カチカチじゃないのが浸透して来たからいいんだけどね。でさ、重盛があのソーセージパンに使われているパンの製法を登録したのが
俺達と同じ召還者だって聞いて、『不労所得!』とか叫んで、自分も何か登録しようとしたらしいんだよ。」
椎名が、思い出してニヒヒと笑った。
「でもそもそもどうやって登録するのか全然知らないじゃん。商業ギルドに突撃して追い返されてた。」
「あー‥‥。」
目に浮かぶようだ。笑いながら椎名は続ける。
「それでも粘ってさ。商業ギルドの人に宣言したらしいんだよ。『画期的なソースの製法を持ってる』って。」
「へぇ。」
「で、一応商業ギルドの人が少し話しを聞いてくれたらしいんだけどさ。言われたらしい。『その製法は既に登録されてます。』ってさ。
マヨネーズを登録しようとしてたらしいよ。」
マヨネーズか。マヨネーズは既に瑛太が登録してたよな。ウスターソースとかケチャップとか,醤油、味噌も。
「重盛のやつ、それでも粘ったらしくて。卵を使ったソースってだけじゃ、別の物かもしれないから、作って上手かったら製法の登録をして欲しいって言ってさ。
作ろうとしたわけよ。マヨネーズ。でさ、自分で味見して腹壊して寝込んだらしい。」
クククと椎名が笑う。なるほど、重盛は自滅したわけか。
「そもそも、あいつ、マヨネーズなんて作った事ないらしいんだよ。でも『異世界で不労所得って言ったらこれだ!』とか良くわからないこといって
作ったらしい。よくわからんダークマターを。」
「ダークマター‥‥。」
「俺は直接見てないんだけどさ。江角さん達の所に、味見して欲しいって持って行ったらしい。けど、イメージするマヨネーズみたいにふわっともったりした感じじゃなくて、
ベシャッとしてたらしいし、そもそも、冷蔵庫ないじゃん?大丈夫か心配だから自分で味見してみろってことになって、
味見して腹が大変なことになったらしい。」
「うわ‥‥。」
「めげずにリベンジで、作ってすぐに食べればと思ったらまた腹を壊したって。サルモネラ菌っとかってやつじゃないかってさ。」
確かに瑛太が作る時は何か工夫しているらしいとは聞いた事がある。
「2回もチャレンジするなんて、重盛って結構根性あるな‥‥。」
「だな。まー、あいつってちょっと他人を見下すとこあるから。簡単に製法登録とかできなくて、良かった気がしたよ。あと、何かボードゲームも登録しようとしてたらしいんだけどそれも登録済みだったってさ。」
そういえば瑛太が、「これだけは早めに登録しておけって書いてあったんだよな。」なんて言って登録してたものがあったような‥‥。
「全くだよ。始めて聞いたときは『一人歩きダメって小学生かよ』って思ったけどさ。皆一人で歩いてないから、一人だと確実に目立って狙われやすいだろ。ゴリラみたいになんないと無理。」
「ゴリラめざすか?」
「ウッホウッホ」
ハハハと二人でちょっと乾いた笑いを浮かべた。
少しの間沈黙が流れた。俺はちょっと考えて開拓村の話をしてみることにした。村の詳細な様子は話すなって言われているから、主に椎名の意向の確認だ。
「開拓村に行くとかは考えないの?」
「それはちょっと考えるけどね。知ってる奴が何人も行っているわけだし。でも農作業とかは楽じゃないだろ。」
「まあね。でも狩りも楽じゃないじゃん。」
「そうだよなぁ~。行くとなったら、柊さんも一緒じゃないとだめか‥‥。いや、江角さん達に頼むって手があるか‥‥。」
「行きたくないってわけでもないのか。」
「何処いっても大変と言えば大変だと思えばね。それに、尾市もいるだろ。気心知れた奴がいるのって、心強いじゃん。」
「‥‥そう、か‥‥。」
俺が居るからと言われるとちょっとこそばゆい気持ちになる。
ロッシュさんに言われたから、開拓村を強く勧めたりはしないけど3日後に帰るから同行するなら、早めにロッシュさんに伝えろと言っておいた。
椎名も検討する、と言った。もしも同行する場合はアパートを引き払ったりといった手続きが必要だから早く決断しないといけないよな、と呟いていた。
そこから、ちょっと愚痴だの雑談だのを少しした。
「あのベーコンとソーセージの製法もお前らが登録したんだろ?ツェット商会で売ってるから。」
「ああ‥‥。実際に登録したのは俺じゃないけど。」
「ソーセージパンは上手いよな。俺、3食あれでもいい。」
「3食、は流石に身体壊すぞ。」
「まあ、こっちのパンも、カチカチじゃないのが浸透して来たからいいんだけどね。でさ、重盛があのソーセージパンに使われているパンの製法を登録したのが
俺達と同じ召還者だって聞いて、『不労所得!』とか叫んで、自分も何か登録しようとしたらしいんだよ。」
椎名が、思い出してニヒヒと笑った。
「でもそもそもどうやって登録するのか全然知らないじゃん。商業ギルドに突撃して追い返されてた。」
「あー‥‥。」
目に浮かぶようだ。笑いながら椎名は続ける。
「それでも粘ってさ。商業ギルドの人に宣言したらしいんだよ。『画期的なソースの製法を持ってる』って。」
「へぇ。」
「で、一応商業ギルドの人が少し話しを聞いてくれたらしいんだけどさ。言われたらしい。『その製法は既に登録されてます。』ってさ。
マヨネーズを登録しようとしてたらしいよ。」
マヨネーズか。マヨネーズは既に瑛太が登録してたよな。ウスターソースとかケチャップとか,醤油、味噌も。
「重盛のやつ、それでも粘ったらしくて。卵を使ったソースってだけじゃ、別の物かもしれないから、作って上手かったら製法の登録をして欲しいって言ってさ。
作ろうとしたわけよ。マヨネーズ。でさ、自分で味見して腹壊して寝込んだらしい。」
クククと椎名が笑う。なるほど、重盛は自滅したわけか。
「そもそも、あいつ、マヨネーズなんて作った事ないらしいんだよ。でも『異世界で不労所得って言ったらこれだ!』とか良くわからないこといって
作ったらしい。よくわからんダークマターを。」
「ダークマター‥‥。」
「俺は直接見てないんだけどさ。江角さん達の所に、味見して欲しいって持って行ったらしい。けど、イメージするマヨネーズみたいにふわっともったりした感じじゃなくて、
ベシャッとしてたらしいし、そもそも、冷蔵庫ないじゃん?大丈夫か心配だから自分で味見してみろってことになって、
味見して腹が大変なことになったらしい。」
「うわ‥‥。」
「めげずにリベンジで、作ってすぐに食べればと思ったらまた腹を壊したって。サルモネラ菌っとかってやつじゃないかってさ。」
確かに瑛太が作る時は何か工夫しているらしいとは聞いた事がある。
「2回もチャレンジするなんて、重盛って結構根性あるな‥‥。」
「だな。まー、あいつってちょっと他人を見下すとこあるから。簡単に製法登録とかできなくて、良かった気がしたよ。あと、何かボードゲームも登録しようとしてたらしいんだけどそれも登録済みだったってさ。」
そういえば瑛太が、「これだけは早めに登録しておけって書いてあったんだよな。」なんて言って登録してたものがあったような‥‥。
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