半分異世界

月野槐樹

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第7章 瑛太3

第116話 住居探し

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「そもそも、字をちゃんと読めないとアウトってことね。」
「そこはさぁ。文字が読めなかったらギルドの職員の人に読み上げてもらうとか方法があるんじゃない。」
「書いてある事をちゃんと確認しないとダメっていう罠。」
「はぁ。シンプルな依頼って言ってたけど、シンプルじゃないよな。」

そんな事を言いながら狩猟ギルドまで戻って来て依頼達成報告をした。依頼達成証を見たギルド職員がニコニコして言った。

「まあ、写しを持って行かなかったのに、ちゃんと注意書きを覚えていて偉いわね!」
依頼票の写しは頼めばギルドから貸し出してくれていたらしい。

これって教育目的の依頼だからなんだろうか。それとも、ギルドの依頼って皆こうなのか?
少しもやっとするけど、まあ、達成できたし、よしとしよう。
四人で30分。銀貨6枚。
まあ,なかなかいい方だよね。

分配するのに銅貨に崩すという話がでたので、とりあえず一人銀貨1枚受け取って、残り二枚は買い物資金にしてはと提案した。
宿にいる間は朝と夕食は宿で出ることになっている。
でも依頼で遠出したときの昼食代だったり、薬草採取用のナイフだったり、共同で支払った方が良さそうな物はあるだろうから。
暫く四人で汲むなら、資金を溜めておけばいいという話になった。

「不動産見に行くのってどうする?」
日が傾き始めた空を見て藍ちゃんが言った。

「うーん。不動産業者の人に話を聞いて、実際に見に行く頃には日が暮れていそうだよね。」

この街に生活拠点を持つとしたら、宿に泊まっているより安い賃貸を借りた方が安上がりだろうと思う。共同で部屋を借りた場合で考えているけど。
それで物件や周囲の環境を見に行こうかという話になっていたのだ。

「じゃあさ、物件がありそうかだけ訊いておかない?」
ワイちゃんがギルドの窓口を指差した。ワイちゃんはすごく気軽に質問しに行くよなぁ。

感心している間にワイチャンはもう質問に行って戻って来た。

「不動産は商業ギルドに行ったほうがいいって。あ、でもね。街の東地区と南地区に賃貸物件が多いって教えてもらった。
地区によって雰囲気違うから様子見に行くのもいいんじゃないかって。」
「ワイちゃん凄い!情報通!」
「訊いて来ただけだよー。」
藍ちゃんが褒め、ワイちゃんが照れる。

「どっちかだけでも行ってみる? ここから近いのかな。」
「あ、東地区はここから15分くらいみたい。南地区は30分くらい。]
「南地区、遠いな。」
「だね。もし住んでもギルドから遠くて不便かも。」
「じゃあ、東地区一択なのかな。」

そう思いながら東地区に向かってみたが、ちょっと思ったのと違っていた。なんだか物々しい雰囲気なのだ。
家が立ち並ぶ先に街壁があって街壁の上を兵士が歩いている。
なんとなく国境の門を思い出させた。

「ここって国境に近い側?」
「まあ、俺達は国境から西に向かって進んで来たから、そうかも。」
「でも国境にそんなに近くはないよね。」

近くを歩いている人も鎧等を着込んだり武器を担いでいる人が多い。

「‥‥魔獣とかもこっち側から来る事が多いんじゃない?狩猟ギルドも近いし。」
「そうだな。」

少し雰囲気に尻込みしそうになったけど、ギルドから近いので住むには便利かもしれない。大きな通りをぐるりと一周してみることにした。
一周してみて分かった事は、地区内にお店が少ない。入り口付近にポツポツとあるくらいだ。おそらく買い物は別地区の市場まで行くことになるのだろう。
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