340 / 566
第4章 6 クロード警部補からの電話
しおりを挟む
17時半―
アルバイトから帰ってきたばかりのルドルフは自室で日記を眺めていた。この日記はヒルダとの交換日記である。毎日会うことが難しい2人は日記をつけて、互いに交換して読み合う約束をしていたからである。
「さて、今日はどんな事を書こうかな…」
ルドルフは日記を開き、ヒルダがプレゼントしてくれた万年筆を手に取るとインク瓶に浸し、ペンを走らせはじめた。ヒルダに話したいことは山ほど合った。気付けば夢中になって書いており、あっという間にページを1枚使っていた。
「あ…また1枚ページを使ってしまったな…」
ルドルフはため息をついた。
「こんなにたくさん日記を書いてしまったけど、ヒルダ様は読むのが苦痛じゃないだろうか…」
そしてルドルフはヒルダの事を思った。2人で『ボルト』の旅行へ誘ったときは、まさかヒルダと身体の関係を持つまでに至るとは考えてもいなかった。それが思いもかけない展開になり、2人は身も心も完全に結ばれたのだ。その感動はまさに口では言い表せないほどだった。だからこそ『ロータス』に戻ったときにはヒルダから離れるのがとても辛かった。
「高校を卒業後…ヒルダ様と一緒になれないだろうか…」
ルドルフは本気で高校卒業後、ヒルダと結婚する事を考えていた。18歳で結婚とはいささか早いかもしれないが、貴族同士の結婚ではそれほど珍しくも無い。
(後は一刻も早くヒルダ様が教会の火事の事件の犯人では無いことが証明されれば、ハリス様にお願いしてヒルダ様と結婚させて下さいと頼むんだ…)
そこでルドルフは今日の日記の最後のページにこう書き綴った。
『僕の愛するヒルダ様。高校を卒業したらどうか僕と結婚して下さい』
(ヒルダ様はこの文章を見たらどう思うだろう…)
ルドルフは想像した。ヒルダと2人で築く家庭を。2人の間には可愛らしい男の子と女の子が生まれて、そして…。
その時、ノックの音と同時に寮父の声が聞こえた。
コンコン
「ルドルフ・テイラー君、電話が入っていますよ。」
「え?僕に電話?」
ルドルフは慌てて日記帳を閉じると寮の部屋の扉を開けた。すると目の前にはメガネをかけた寮父が立っていた。
「ルドルフ君。電話が入っているのですぐに管理人室へ来て下さい。」
「あ、はい。すぐに行きます」
寮父はそれだけ告げると、スタスタと管理人室へ戻っていく。ルドルフは自室の鍵をかけるとすぐに管理人室へ向かった。
****
管理人室へ行くと、電話の受話器が外されてテーブルの上に置かれていた。
「電話は、これですね?」
「ああ、相手はクロードと名乗っていたよ。」
「え…?クロード…?」
(刑事さんだっ!僕に連絡を入れてくれたんだ!)
ルドルフは急いで受話器を取ると耳に押し付けた。
「もしもし、ルドルフです」
『やあ、こんにちは。いや、こんばんはと言ったほうがいいかな?ルドルフ君』
「刑事さん、突然どうしたたんですか?」
『ああ。実はね、今日『ボルト』の町へ行ってコリン君とノラさんに会ってきたんだよ』
「え?本当ですか?!」
『ああ、それで2人も証言してくれたよ。あの時、火のついた薪を手にしていたのはグレースだったと。』
「本当ですかっ?!」
『うん。それでちょっと急なんだが、クリスマスの日に『カウベリー』の領主の屋敷に行って事実を説明してこようかと思っているんだ。それで、この日にグレースの母も訪ねようかと思っているんだよ』
「え?グレースのお母さんは入院中なのでは…?」
『いや、それが彼女は明後日退院するらしいのだよ』
「そうなんですか…?」
そしてルドルフは少し考え込むと言った。
「あの、刑事さん。僕もその日一緒に『カウベリー』へ行ってもいいですか…?」
ルドルフの胸にはある決意があった―。
アルバイトから帰ってきたばかりのルドルフは自室で日記を眺めていた。この日記はヒルダとの交換日記である。毎日会うことが難しい2人は日記をつけて、互いに交換して読み合う約束をしていたからである。
「さて、今日はどんな事を書こうかな…」
ルドルフは日記を開き、ヒルダがプレゼントしてくれた万年筆を手に取るとインク瓶に浸し、ペンを走らせはじめた。ヒルダに話したいことは山ほど合った。気付けば夢中になって書いており、あっという間にページを1枚使っていた。
「あ…また1枚ページを使ってしまったな…」
ルドルフはため息をついた。
「こんなにたくさん日記を書いてしまったけど、ヒルダ様は読むのが苦痛じゃないだろうか…」
そしてルドルフはヒルダの事を思った。2人で『ボルト』の旅行へ誘ったときは、まさかヒルダと身体の関係を持つまでに至るとは考えてもいなかった。それが思いもかけない展開になり、2人は身も心も完全に結ばれたのだ。その感動はまさに口では言い表せないほどだった。だからこそ『ロータス』に戻ったときにはヒルダから離れるのがとても辛かった。
「高校を卒業後…ヒルダ様と一緒になれないだろうか…」
ルドルフは本気で高校卒業後、ヒルダと結婚する事を考えていた。18歳で結婚とはいささか早いかもしれないが、貴族同士の結婚ではそれほど珍しくも無い。
(後は一刻も早くヒルダ様が教会の火事の事件の犯人では無いことが証明されれば、ハリス様にお願いしてヒルダ様と結婚させて下さいと頼むんだ…)
そこでルドルフは今日の日記の最後のページにこう書き綴った。
『僕の愛するヒルダ様。高校を卒業したらどうか僕と結婚して下さい』
(ヒルダ様はこの文章を見たらどう思うだろう…)
ルドルフは想像した。ヒルダと2人で築く家庭を。2人の間には可愛らしい男の子と女の子が生まれて、そして…。
その時、ノックの音と同時に寮父の声が聞こえた。
コンコン
「ルドルフ・テイラー君、電話が入っていますよ。」
「え?僕に電話?」
ルドルフは慌てて日記帳を閉じると寮の部屋の扉を開けた。すると目の前にはメガネをかけた寮父が立っていた。
「ルドルフ君。電話が入っているのですぐに管理人室へ来て下さい。」
「あ、はい。すぐに行きます」
寮父はそれだけ告げると、スタスタと管理人室へ戻っていく。ルドルフは自室の鍵をかけるとすぐに管理人室へ向かった。
****
管理人室へ行くと、電話の受話器が外されてテーブルの上に置かれていた。
「電話は、これですね?」
「ああ、相手はクロードと名乗っていたよ。」
「え…?クロード…?」
(刑事さんだっ!僕に連絡を入れてくれたんだ!)
ルドルフは急いで受話器を取ると耳に押し付けた。
「もしもし、ルドルフです」
『やあ、こんにちは。いや、こんばんはと言ったほうがいいかな?ルドルフ君』
「刑事さん、突然どうしたたんですか?」
『ああ。実はね、今日『ボルト』の町へ行ってコリン君とノラさんに会ってきたんだよ』
「え?本当ですか?!」
『ああ、それで2人も証言してくれたよ。あの時、火のついた薪を手にしていたのはグレースだったと。』
「本当ですかっ?!」
『うん。それでちょっと急なんだが、クリスマスの日に『カウベリー』の領主の屋敷に行って事実を説明してこようかと思っているんだ。それで、この日にグレースの母も訪ねようかと思っているんだよ』
「え?グレースのお母さんは入院中なのでは…?」
『いや、それが彼女は明後日退院するらしいのだよ』
「そうなんですか…?」
そしてルドルフは少し考え込むと言った。
「あの、刑事さん。僕もその日一緒に『カウベリー』へ行ってもいいですか…?」
ルドルフの胸にはある決意があった―。
1
あなたにおすすめの小説
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる