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3章 1 謹慎処分明けの登校
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「ヒルダ様、行ってらっしゃいませ。」
朝、カミラはヒルダを玄関まで見送りに出てきた。
「ええ。行ってくるわね、カミラ。」
そしてヒルダはカミラに手を振ると玄関を後にした。
アパートメントの入り口を出ると、ヒルダは驚いた。目の前に馬車が止まっていたからである。
「え・・?この馬車・・もしかして・・。」
すると・・・。
「ヒルダさんっ!おはようっ!」
馬車の窓からステラが顔をのぞかせたのだ。
「え・・?ステラさん・・・?何故ここに・・?」
するとステラは一度窓から顔を引っ込めると、すぐに馬車のドアが開いた。
「さあ、乗って。ヒルダさん。」
ステラは笑顔でヒルダに手を伸ばした。しかし、首を振るとヒルダは言う。
「ごめんなさい、ステラさん。せっかくお迎えにきてくれたようだけど・・私、足のリハビリの為になるべく歩くようにしているの。保険医のアレン先生にも足を動かすように言われているから。」
「え・・?そうなの・・・?」
「ええ、だからステラさんは私に構わず馬車で学校へ行って。」
しかし、ステラは馬車から降りてしまった。
「それならヒルダさんが学校まで歩いていくというなら、私も一緒に歩くわ。」
しかし、ヒルダは言った。
「それはダメよ、ステラさん。だって折角御者の方が連れてきてくれているのに、途中で帰ってもらうのは何だか申し訳ないわ。」
「確かに・・ヒルダさんの言う通りかも・・・。」
(私って・・なんて自分本位な人間なんだろう・・・。)
途端にステラは自分のことが恥ずかしくなってしまった。なのでヒルダにお礼を言った。
「ありがとう、ヒルダさん。気づかせてくれて・・。貴女のおかげで少し大人になれたわ。」
そしてステラは再び馬車に乗り込むと、窓から顔をのぞかせた。
「それじゃ・・ヒルダさん。また学校でね。」
そして手を振ってきた。
ヒルダも黙って手を振ると、ステラは嬉しそうに笑みを浮かべ、御者に言った。
「馬車を出してくれる?」
「はい、わかりました。」
帽子を目深にかぶった御者は返事をすると馬車を走らせ、あっという間にヒルダの前から去って行った。
「ふう・・・。」
ヒルダは溜息をつくと、馬車や人通りの激しい大通りを通り抜けて学校へと足を引きずりながらゆっくりと向かった―。
ホームルームの始まる5分前―
ガラガラガラ
引き戸を開けて、ヒルダは自分のクラスへ入ってきた。するとクラス中の視線が一気にヒルダに集中する。しかし、ヒルダはその視線をものともせずに、静かに教室の中へ入っていくと・・・。
「ヒルダさんっ!」
ガタンと自分の席を立ち、ステラがヒルダの元へ駆け寄ってきた。
「良かった・・間に合ってくれて。もし遅刻したらどうしようかと思っちゃった。」
ステラが胸をなでおろしながら言う。
「大丈夫よ。ちゃんと時間を考えて家を出ているから。」
ヒルダは答えると、コートを脱いで丁寧に畳み、自分のロッカーにしまった。そしてかばんを持って自分の席へ行くと、カタンと椅子を引いて座り、カバンの中から教科書やノート、筆記用具等を出して机の引き出しにしまっていく。
ヒルダのその様子をフランシスはじっと見つめていた。
フランシスは本当はヒルダが教室に入ってきた直後に挨拶に行きたかった。しかし、ステラが先にヒルダの元へ行ってしまったので、声を掛けるチャンスを失ってしまったのだ。
(まあいいか・・・ホームルームが終わったらすぐにヒルダの所へ顔を出しに行けばいいんだから。)
そしてヒルダをじっと見つめると思った。
今日のヒルダもやはりとても美しいな・・と―。
朝、カミラはヒルダを玄関まで見送りに出てきた。
「ええ。行ってくるわね、カミラ。」
そしてヒルダはカミラに手を振ると玄関を後にした。
アパートメントの入り口を出ると、ヒルダは驚いた。目の前に馬車が止まっていたからである。
「え・・?この馬車・・もしかして・・。」
すると・・・。
「ヒルダさんっ!おはようっ!」
馬車の窓からステラが顔をのぞかせたのだ。
「え・・?ステラさん・・・?何故ここに・・?」
するとステラは一度窓から顔を引っ込めると、すぐに馬車のドアが開いた。
「さあ、乗って。ヒルダさん。」
ステラは笑顔でヒルダに手を伸ばした。しかし、首を振るとヒルダは言う。
「ごめんなさい、ステラさん。せっかくお迎えにきてくれたようだけど・・私、足のリハビリの為になるべく歩くようにしているの。保険医のアレン先生にも足を動かすように言われているから。」
「え・・?そうなの・・・?」
「ええ、だからステラさんは私に構わず馬車で学校へ行って。」
しかし、ステラは馬車から降りてしまった。
「それならヒルダさんが学校まで歩いていくというなら、私も一緒に歩くわ。」
しかし、ヒルダは言った。
「それはダメよ、ステラさん。だって折角御者の方が連れてきてくれているのに、途中で帰ってもらうのは何だか申し訳ないわ。」
「確かに・・ヒルダさんの言う通りかも・・・。」
(私って・・なんて自分本位な人間なんだろう・・・。)
途端にステラは自分のことが恥ずかしくなってしまった。なのでヒルダにお礼を言った。
「ありがとう、ヒルダさん。気づかせてくれて・・。貴女のおかげで少し大人になれたわ。」
そしてステラは再び馬車に乗り込むと、窓から顔をのぞかせた。
「それじゃ・・ヒルダさん。また学校でね。」
そして手を振ってきた。
ヒルダも黙って手を振ると、ステラは嬉しそうに笑みを浮かべ、御者に言った。
「馬車を出してくれる?」
「はい、わかりました。」
帽子を目深にかぶった御者は返事をすると馬車を走らせ、あっという間にヒルダの前から去って行った。
「ふう・・・。」
ヒルダは溜息をつくと、馬車や人通りの激しい大通りを通り抜けて学校へと足を引きずりながらゆっくりと向かった―。
ホームルームの始まる5分前―
ガラガラガラ
引き戸を開けて、ヒルダは自分のクラスへ入ってきた。するとクラス中の視線が一気にヒルダに集中する。しかし、ヒルダはその視線をものともせずに、静かに教室の中へ入っていくと・・・。
「ヒルダさんっ!」
ガタンと自分の席を立ち、ステラがヒルダの元へ駆け寄ってきた。
「良かった・・間に合ってくれて。もし遅刻したらどうしようかと思っちゃった。」
ステラが胸をなでおろしながら言う。
「大丈夫よ。ちゃんと時間を考えて家を出ているから。」
ヒルダは答えると、コートを脱いで丁寧に畳み、自分のロッカーにしまった。そしてかばんを持って自分の席へ行くと、カタンと椅子を引いて座り、カバンの中から教科書やノート、筆記用具等を出して机の引き出しにしまっていく。
ヒルダのその様子をフランシスはじっと見つめていた。
フランシスは本当はヒルダが教室に入ってきた直後に挨拶に行きたかった。しかし、ステラが先にヒルダの元へ行ってしまったので、声を掛けるチャンスを失ってしまったのだ。
(まあいいか・・・ホームルームが終わったらすぐにヒルダの所へ顔を出しに行けばいいんだから。)
そしてヒルダをじっと見つめると思った。
今日のヒルダもやはりとても美しいな・・と―。
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