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2章 6 ヒルダとカミラ
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翌朝―
朝から太陽がさんさんと地上に降り注ぎ、外の雪は大分解けてはいるが、その分道はぬかるんでいる。
「ヒルダ様、本日ご予定は何かありますか?」
朝食を食べ終え、ホットミルクティーをヒルダと飲みながらカミラが尋ねてきた。
「ええ。実は足のマッサージクリームが無くなったから、アレン先生の所へ診察も兼ねて伺おうと思っているの。」
カミラは心配そうに言った。
「ヒルダ様・・・雪解けで外はかなりぬかるんでおります。その足でお出掛けになるのは大変ではありませんか?お薬なら私が仕事の帰りに貰って帰ってきますよ?」
「大丈夫よ、カミラ。このところアパートメントに引きこもりがちだったから、リハビリも兼ねて外に出ないと。ついでにお夕食の買い物をしてくるわ。いざとなったら乗り合い馬車か、辻馬車を使うから大丈夫よ。あ、そうそう。最近は『エンジン』と言うもので走る『バス』っていう乗り物があるらしいわね。まだ見た事はないけど・・乗り心地はどうなのかしら?一度この目で見てみたいわ。」
「そうなんですね・・・最近は便利な世の中になって来たんですね・・。流石は首都『ロータス』ですね。カウベリーでは考えられない・・・。」
そこまで言いかけて、カミラはハッとなって言葉を切った。ヒルダの顔が曇ったからだ。
「も、申し訳ございませんっ!ヒルダ様っ!つ、つい・・・。」
するとヒルダは慌てて言った。
「いいのよ、カミラ。そんな事気にしないで。もうここが私の居場所って決めたんだから・・・。二度と私はあそこには戻るつもりは無いから。」
(だって・・・私が戻っても誰も・・・喜んでくれないわ。お父様も・・・そして町の人達も・・。)
「ヒルダ様・・・。あ、ヒルダ様!いい事を考え付きました。今夜は2人で一緒に外で夕食を食べに行きましょうっ!私、今日お給料日なんですよ?」
「え・・でも、カミラ。それでは・・・。」
するとカミラはヒルダの手を握りしめると言った。
「ヒルダ様、ここはもう以前のヒルダ様を誰も知らない土地なのです。ですから・・堂々としていればいいんです。私は昔のヒルダ様に戻れるのを・・ずっと待っています。ヒルダ様と2人で、遊びに行ったり、食事に出かけたり・・色々な経験をここで体験したいんです。なので、どうかお付き合い下さい。」
「ありがとう、カミラ・・・・。」
ヒルダは胸が熱くなり、カミラの手を強く握り返した。しかし、ヒルダの目から涙が流れる事はない。何故なら・・・カウベリーでヒルダの涙は全て枯れ果ててしまったのだから・・・。
「行ってらっしゃい、カミラ。」
ヒルダはカミラを玄関まで見送ると、カミラは笑顔で手を振り仕事へ向かった。
ドアが閉められ、1人きりになるとヒルダはキッチンへ向かい、後片付けを始めた。
食器を洗い終えると、次はバスルームへ向かい、最近購入した手回し洗濯機で洗濯を始めた。以前は全て洗濯は手洗いだったので、時間もかかるし、手荒れも酷かったが、この手回し洗濯機のお陰で洗濯がとても楽になった。
全ての洗濯を終え、バスルームに洗濯ロープを吊るし、洗い物を全て干した。
時計を見ると早いもので時刻はもう10時になろうとしている。
「私も出かける準備をしなくちゃ。アレン先生の診察時間に間に合わないわ。」
ヒルダはコートを羽織り、帽子にマフラー、手袋に防寒ブーツでしっかり防寒対策をするとショルダーバックを持って玄関を出て戸締りをした。
ヒルダたちが住むアパートメントはヒルダの足を考慮して2階にある。1階は騒音が酷いと言う事で、カミラの姉夫婦がわざわざ2階の部屋を用意してくれたのだ。
「階段が少なくて助かるわ。冬の日は左脚が痛むもの・・・。」
ホウと白い息を吐きながら外に出てきたヒルダは言った。そしてゆっくりとアレンの診療所目指して歩き始めた—。
朝から太陽がさんさんと地上に降り注ぎ、外の雪は大分解けてはいるが、その分道はぬかるんでいる。
「ヒルダ様、本日ご予定は何かありますか?」
朝食を食べ終え、ホットミルクティーをヒルダと飲みながらカミラが尋ねてきた。
「ええ。実は足のマッサージクリームが無くなったから、アレン先生の所へ診察も兼ねて伺おうと思っているの。」
カミラは心配そうに言った。
「ヒルダ様・・・雪解けで外はかなりぬかるんでおります。その足でお出掛けになるのは大変ではありませんか?お薬なら私が仕事の帰りに貰って帰ってきますよ?」
「大丈夫よ、カミラ。このところアパートメントに引きこもりがちだったから、リハビリも兼ねて外に出ないと。ついでにお夕食の買い物をしてくるわ。いざとなったら乗り合い馬車か、辻馬車を使うから大丈夫よ。あ、そうそう。最近は『エンジン』と言うもので走る『バス』っていう乗り物があるらしいわね。まだ見た事はないけど・・乗り心地はどうなのかしら?一度この目で見てみたいわ。」
「そうなんですね・・・最近は便利な世の中になって来たんですね・・。流石は首都『ロータス』ですね。カウベリーでは考えられない・・・。」
そこまで言いかけて、カミラはハッとなって言葉を切った。ヒルダの顔が曇ったからだ。
「も、申し訳ございませんっ!ヒルダ様っ!つ、つい・・・。」
するとヒルダは慌てて言った。
「いいのよ、カミラ。そんな事気にしないで。もうここが私の居場所って決めたんだから・・・。二度と私はあそこには戻るつもりは無いから。」
(だって・・・私が戻っても誰も・・・喜んでくれないわ。お父様も・・・そして町の人達も・・。)
「ヒルダ様・・・。あ、ヒルダ様!いい事を考え付きました。今夜は2人で一緒に外で夕食を食べに行きましょうっ!私、今日お給料日なんですよ?」
「え・・でも、カミラ。それでは・・・。」
するとカミラはヒルダの手を握りしめると言った。
「ヒルダ様、ここはもう以前のヒルダ様を誰も知らない土地なのです。ですから・・堂々としていればいいんです。私は昔のヒルダ様に戻れるのを・・ずっと待っています。ヒルダ様と2人で、遊びに行ったり、食事に出かけたり・・色々な経験をここで体験したいんです。なので、どうかお付き合い下さい。」
「ありがとう、カミラ・・・・。」
ヒルダは胸が熱くなり、カミラの手を強く握り返した。しかし、ヒルダの目から涙が流れる事はない。何故なら・・・カウベリーでヒルダの涙は全て枯れ果ててしまったのだから・・・。
「行ってらっしゃい、カミラ。」
ヒルダはカミラを玄関まで見送ると、カミラは笑顔で手を振り仕事へ向かった。
ドアが閉められ、1人きりになるとヒルダはキッチンへ向かい、後片付けを始めた。
食器を洗い終えると、次はバスルームへ向かい、最近購入した手回し洗濯機で洗濯を始めた。以前は全て洗濯は手洗いだったので、時間もかかるし、手荒れも酷かったが、この手回し洗濯機のお陰で洗濯がとても楽になった。
全ての洗濯を終え、バスルームに洗濯ロープを吊るし、洗い物を全て干した。
時計を見ると早いもので時刻はもう10時になろうとしている。
「私も出かける準備をしなくちゃ。アレン先生の診察時間に間に合わないわ。」
ヒルダはコートを羽織り、帽子にマフラー、手袋に防寒ブーツでしっかり防寒対策をするとショルダーバックを持って玄関を出て戸締りをした。
ヒルダたちが住むアパートメントはヒルダの足を考慮して2階にある。1階は騒音が酷いと言う事で、カミラの姉夫婦がわざわざ2階の部屋を用意してくれたのだ。
「階段が少なくて助かるわ。冬の日は左脚が痛むもの・・・。」
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