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ひとりぼっち
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月曜日に降ったドカ雪はあっという間に消えてしまい、今は無残な残雪を残して、思い出だけが通り越していく。
空を仰げばたくさんの星。
なのに、星の名前の一つさえ知らない。
オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン。
冬の大三角がどこに瞬いているんだろうに調べる気力さえなかった。
新しいことに挑戦してもすぐに忘れてしまう。
小説家になりたいと豪語しながら、本一冊読みとおすことができない。
本屋大賞、芥川賞、直木賞。
買っては来るのにうずたかく積んどくされていく。
和俊が自分のマンションに帰ってしまった。
水曜日は、和俊の毎週の通院日なので、また富子のアパートに来てくれるかもしれない。
人間てほんとに贅沢な生き物。
ずーと、泊まっていられると
「ああ、一人でゆっくりしたい」
と、不平を言い
一人が続くと
「さみしい」
と、のたまう。
どっちやねんて話だよね。
夜中散歩に出るまでは、今日が水曜日だとばかり思いこんでいた。
散歩から帰って家に入ろうとした瞬間、隣の家の資源ごみの黄色と青の箱が出ていることに気づく。
「?」
慌てて家に入り、パソコンで今日の日時を確かめた。
2024.02.08。木曜日。
「あれ?水曜日、和俊こなかったよね」
「そして、わたしもZOOMでクリスチャンの集会に参加しなかった」
最近、こうして丸一日二日の記憶が抜け落ちる。
精神科の主治医は、
「記憶がないということが自覚できているんですから、アルツハイマーではありません」
と、言われるんだけど
病名なんてどうでもいいから、この記憶障害を何とかしてくれって感じ。
富子は不安に駆られ、和俊に電話をかける。
「和俊?今日、病院行かなかったの?」
「えっ?水曜日じゃないの?」
和俊もまた、今日が木曜日だということに気づいていなかった。
「もしかして、私たち二人とも記憶障害…?」
富子は恐怖に震えた。
二人はすぐに病院へ向かい、主治医に相談した。
主治医は二人の話を聞き、考え込んだ。
「うーん、確かにこれはちょっと心配ですね。二人とも同じ症状が出ているので、何か共通の原因があるのかもしれません。」
主治医は、二人に精密検査を受けることを勧めた。
検査の結果、富子は軽度認知障害、和俊は早期アルツハイマー型認知症と診断された。
富子はショックを受けたが、同時にほっとした気持ちもあった。記憶障害の原因が分かったことで、不安が少し和らいだのだ。
和俊は、自分がアルツハイマーであることを受け入れることができなかった。
「俺はまだまだ大丈夫だ!こんな病気じゃない!」
和俊は現実を受け入れようとせず、怒りをぶつけた。
富子は和俊を支えようと決意した。
「一緒に頑張ろうね、和俊。」
富子は和俊の手を握りしめ、優しい声で語りかけた。
二人はこれから、認知症と向き合っていく。
この物語は、認知症という病気を描いたフィクションです。
認知症は、誰にでも起こり得る病気です。早期発見・早期治療が重要です。
もし、自分や周りの人に記憶障害などの症状が見られる場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
そもそも、月曜日に雪が降って、一週間のスケジュールが変わった。
富子は、
月曜日ヘルパーさんと掃除。
火曜日 訪問看護。
金曜日 訪問看護。
和俊は、富子のアパートにいると
月曜日 訪問看護
水曜日 訪問看護、通院
金曜日 訪問看護
が、決まったありがたいスケジュールなのだが、月曜日、雪のため火曜日に来れないかもと富子の訪問看護が一日ずれて、ヘルパーさんの後、訪問看護を受けた。
そして、火曜日に和俊は自分のマンションに帰ってしまったから、和俊の訪問看護、通院はなく、富子は誰とも話をすることなく一人で一日を過ごした。
和俊が自分のマンションに帰ってしまうと、一人でいたいという思いに押し流されて、家を出て誰かとコミュニケーションをとることさえないのかもしれない。
これだけ小説を毎日書いているのだから、日時と曜日の確認くらいできるだけしようよ。
何回転んだかじゃない。
何回起き上がったかなんだ。
勇気を出し強くありなさい。
あなた方の神が共に進んでいかれるからである。
ありがとうございます。
空を仰げばたくさんの星。
なのに、星の名前の一つさえ知らない。
オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン。
冬の大三角がどこに瞬いているんだろうに調べる気力さえなかった。
新しいことに挑戦してもすぐに忘れてしまう。
小説家になりたいと豪語しながら、本一冊読みとおすことができない。
本屋大賞、芥川賞、直木賞。
買っては来るのにうずたかく積んどくされていく。
和俊が自分のマンションに帰ってしまった。
水曜日は、和俊の毎週の通院日なので、また富子のアパートに来てくれるかもしれない。
人間てほんとに贅沢な生き物。
ずーと、泊まっていられると
「ああ、一人でゆっくりしたい」
と、不平を言い
一人が続くと
「さみしい」
と、のたまう。
どっちやねんて話だよね。
夜中散歩に出るまでは、今日が水曜日だとばかり思いこんでいた。
散歩から帰って家に入ろうとした瞬間、隣の家の資源ごみの黄色と青の箱が出ていることに気づく。
「?」
慌てて家に入り、パソコンで今日の日時を確かめた。
2024.02.08。木曜日。
「あれ?水曜日、和俊こなかったよね」
「そして、わたしもZOOMでクリスチャンの集会に参加しなかった」
最近、こうして丸一日二日の記憶が抜け落ちる。
精神科の主治医は、
「記憶がないということが自覚できているんですから、アルツハイマーではありません」
と、言われるんだけど
病名なんてどうでもいいから、この記憶障害を何とかしてくれって感じ。
富子は不安に駆られ、和俊に電話をかける。
「和俊?今日、病院行かなかったの?」
「えっ?水曜日じゃないの?」
和俊もまた、今日が木曜日だということに気づいていなかった。
「もしかして、私たち二人とも記憶障害…?」
富子は恐怖に震えた。
二人はすぐに病院へ向かい、主治医に相談した。
主治医は二人の話を聞き、考え込んだ。
「うーん、確かにこれはちょっと心配ですね。二人とも同じ症状が出ているので、何か共通の原因があるのかもしれません。」
主治医は、二人に精密検査を受けることを勧めた。
検査の結果、富子は軽度認知障害、和俊は早期アルツハイマー型認知症と診断された。
富子はショックを受けたが、同時にほっとした気持ちもあった。記憶障害の原因が分かったことで、不安が少し和らいだのだ。
和俊は、自分がアルツハイマーであることを受け入れることができなかった。
「俺はまだまだ大丈夫だ!こんな病気じゃない!」
和俊は現実を受け入れようとせず、怒りをぶつけた。
富子は和俊を支えようと決意した。
「一緒に頑張ろうね、和俊。」
富子は和俊の手を握りしめ、優しい声で語りかけた。
二人はこれから、認知症と向き合っていく。
この物語は、認知症という病気を描いたフィクションです。
認知症は、誰にでも起こり得る病気です。早期発見・早期治療が重要です。
もし、自分や周りの人に記憶障害などの症状が見られる場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
そもそも、月曜日に雪が降って、一週間のスケジュールが変わった。
富子は、
月曜日ヘルパーさんと掃除。
火曜日 訪問看護。
金曜日 訪問看護。
和俊は、富子のアパートにいると
月曜日 訪問看護
水曜日 訪問看護、通院
金曜日 訪問看護
が、決まったありがたいスケジュールなのだが、月曜日、雪のため火曜日に来れないかもと富子の訪問看護が一日ずれて、ヘルパーさんの後、訪問看護を受けた。
そして、火曜日に和俊は自分のマンションに帰ってしまったから、和俊の訪問看護、通院はなく、富子は誰とも話をすることなく一人で一日を過ごした。
和俊が自分のマンションに帰ってしまうと、一人でいたいという思いに押し流されて、家を出て誰かとコミュニケーションをとることさえないのかもしれない。
これだけ小説を毎日書いているのだから、日時と曜日の確認くらいできるだけしようよ。
何回転んだかじゃない。
何回起き上がったかなんだ。
勇気を出し強くありなさい。
あなた方の神が共に進んでいかれるからである。
ありがとうございます。
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