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「オイッス!」
俺の名前は、沼田 和俊(ぬまた かずとし)43歳。
無職である。
重度の統合失調症で、毎週、病院に通っている。
母、小宮 富子(こみや とみこ)66歳。
母は、父と離婚した後、別な戸籍になり、
旧姓に戻った。
母もまた重度の精神障害者である。
二人は、子供の頃から幻覚、幻聴に悩まされていた。
( ´•̥ו̥` )
「おはよう」
鏡を見ながら微笑みかける。
鴨チューブを見るまでは、
かあさんはいつも苦虫を潰したような顔をしていた。
毎日、笑う練習をして、
への字だった口も口角が上がってきて、
今では仏様のような笑顔をたたえている。
人間て、いくつになっても変われるんだね。
「自分を大きく大きくする時期と」
「うん」
「己の我を捨てて小さく小さくなる時期と」
「うん」
「なりたいひとになるために、可能性を大きく大きくする時期」
「へー」
「そうするとね、ダイヤモンドのようにカットされ、磨かれて
美しい輝き始めるんだよ」
「おお」
「おがくずを磨かないようにしないとだけどね」
「それは、どうやって見分けるの」
「う~~ん」
かあさんは、どう答えたらいいのかわからないのかわからないようで、
言葉を捜している。
「まだ、わたしにもよくわからない」
66歳になっても、まだわからないことがあるんだね。
まあ、全部わかっちゃったら、それはそれでつまらない人生なのかも。
だって、明日に道を聞かば夕べに死すとも可なり。
(「論語‐里仁」の「子曰、朝聞レ道、夕死可矣」による) 朝に道を聞いて会得したなら、その晩死んでも心残りはない、の意で、道(真理)のきわめて重要なことを強調した句。
でも、方向がわからなければ、北海道に行きたいのに九州行きの新幹線に乗っているということもありえる。
自分が何をしたいのか、何になりたいのか、
毎日のように問いかけて、方向を確認してGO!
「なんか、ながらができる曲ないかな」
かあさんは、注意欠陥障害がひどくて、
小説を書きながら好きな音楽を聴くということが出来なかった。
または、素敵な曲を聴きながら本を読むということもできなかった。
唯一、ながらができるのは「波の音」。
大好きな、Yo-Yo Ma, Kathryn Stott - The Swanでさえも、
気が散って読めなくなってしまうという。
なんか、かわいそうだよね。
素敵な音楽
おいしい飲み物
そよ吹く風
若葉の香り
きらきら揺らめく光と影
さまざまな色の花の彩り
こんな風に出来たら、例えお金がなくても
ひと時の安らぎとリッチさを味わえるだろうに。
かあさんは、梅雨のためにラジオ体操に毎日行けないでいる。
一日中、アルファポリスで遊んでいるかあさんは、
どんどん体が動かなくなってくる。
少し散歩しただけで、ひざに猛烈な痛みが走る。
新型感染症の自粛も手伝って、体育館に行くこともできず、
床ずれができて膿んでくる。
床ずれ(褥瘡/じょくそう)は、寝たり座った時に皮膚の同じ部分への圧迫やずれが持続することで起こり、皮膚に障害を起こした状態を言います。 布団やマットレス、車いすなどにより外から圧迫を受けると、皮膚や皮下脂肪、筋肉などを押つぶす力などがかかります。
まめに動くようにしないとだよね。
ラジオ体操の会場は、平和公園で行われる。
面積 約18,600平方メートルのこの公園は駅からも近く、
とても過ごしやすい。
ここには、へいわの池がある。
今日、会場についたとき、何人かのおじいちゃん、おばあたゃんたちが集まって、
一点を見つめていた。
いつものように挨拶をし、近づいて、
「何かいるんですか」
と聞くと、
「鴨」
と、口々に笑顔で答えてくれた。
しばらく、みんなが見てるほうを眺めていると、
ひょこひょこと6匹のコガモが出てきた。
親とりは一番最後に出てきて、
人がたくさんいる場所に行くと、自分が先頭に立ち、
一連に並んで大行進。
その様子がとてもかわいくて、思わず笑顔になる。
「かわいいね」
「かわいいよね」
初めは一列に並んでいたコガモたちもなれてきたのか、
我先に競い始めて、くるくる順番が入れ替わる。
「うふふふ」
「たのしそう」
笑顔の香水を振りまいていく。
どんなにいつもは眉間にしわを寄せているような人でも、
みんな口角が上がり、口々に賞賛の声。
神様はほんとに優しいよね。
飽きっぽい人間が、若さはなくてもお金はなくても、
多少病気がちでもこうして飽きさせないように楽しみを設けてくださる。
今にも泣き出しそうな梅雨の合間の憩いの時間。
旬と彩を添えていく。
ありがとうございます。
Maurice Ravel: Bolero / Gustavo Dudamel conducts the Wiener Philharmoniker at Lucerne Festival 2010
を聞きながら、ながらの練習をするのも悪くない。
٩꒰ ˘ ³˘꒱۶~♡
今日も無事に通院できた。
14年になる毎週の通院、
かあさんは俺をめちゃほめてくれる。
一時はタクシーで通っていた。
毎日のように救急車が来て、大変だった時期もある。
今、サイクリング方々、自転車で通院できるのが夢のようだ。
悪い時が過ぎれば、
よい時は必ず来る。
おしなべて、
事を成す人は必ず時の来るのを待つ。
あせらずあわてず、
静かに時の来るのを待つ。
- 松下幸之助 -
(日本の実業家、発明家、パナソニック創業者 / 1894~1989)
「よく、我慢したね」
「うん」
爽やかな風が吹く。
新緑は、梅雨の晴れ間に若葉と生命の香りを運んでくれる。
世界の感染者926万3570人 死者47万7584人 新型感染症
2020年6月24日 16時28分
国内感染者1万8102人 死者966人(クルーズ船除く)新型感染症
2020年6月24日 15時34分
東京都 55人感染確認 緊急事態宣言解除後最多 新型感染症
2020年6月24日 14時17分
こんにちは🌸
3蜜避けてクラスター予防
『換気の悪い密閉空間』
『多くの人が密集』
『近距離での密接した会話』🌸
見える世界(出来事や他人からの評価)
見えない世界(自分の心)
『生きやすい生き方を作ろう』
笑顔同封🌸
せーーーーーーーーーーーーーーーーの!!
いいね👍
今、生きていることに感謝。
俺の名前は、沼田 和俊(ぬまた かずとし)43歳。
無職である。
重度の統合失調症で、毎週、病院に通っている。
母、小宮 富子(こみや とみこ)66歳。
母は、父と離婚した後、別な戸籍になり、
旧姓に戻った。
母もまた重度の精神障害者である。
二人は、子供の頃から幻覚、幻聴に悩まされていた。
( ´•̥ו̥` )
「おはよう」
鏡を見ながら微笑みかける。
鴨チューブを見るまでは、
かあさんはいつも苦虫を潰したような顔をしていた。
毎日、笑う練習をして、
への字だった口も口角が上がってきて、
今では仏様のような笑顔をたたえている。
人間て、いくつになっても変われるんだね。
「自分を大きく大きくする時期と」
「うん」
「己の我を捨てて小さく小さくなる時期と」
「うん」
「なりたいひとになるために、可能性を大きく大きくする時期」
「へー」
「そうするとね、ダイヤモンドのようにカットされ、磨かれて
美しい輝き始めるんだよ」
「おお」
「おがくずを磨かないようにしないとだけどね」
「それは、どうやって見分けるの」
「う~~ん」
かあさんは、どう答えたらいいのかわからないのかわからないようで、
言葉を捜している。
「まだ、わたしにもよくわからない」
66歳になっても、まだわからないことがあるんだね。
まあ、全部わかっちゃったら、それはそれでつまらない人生なのかも。
だって、明日に道を聞かば夕べに死すとも可なり。
(「論語‐里仁」の「子曰、朝聞レ道、夕死可矣」による) 朝に道を聞いて会得したなら、その晩死んでも心残りはない、の意で、道(真理)のきわめて重要なことを強調した句。
でも、方向がわからなければ、北海道に行きたいのに九州行きの新幹線に乗っているということもありえる。
自分が何をしたいのか、何になりたいのか、
毎日のように問いかけて、方向を確認してGO!
「なんか、ながらができる曲ないかな」
かあさんは、注意欠陥障害がひどくて、
小説を書きながら好きな音楽を聴くということが出来なかった。
または、素敵な曲を聴きながら本を読むということもできなかった。
唯一、ながらができるのは「波の音」。
大好きな、Yo-Yo Ma, Kathryn Stott - The Swanでさえも、
気が散って読めなくなってしまうという。
なんか、かわいそうだよね。
素敵な音楽
おいしい飲み物
そよ吹く風
若葉の香り
きらきら揺らめく光と影
さまざまな色の花の彩り
こんな風に出来たら、例えお金がなくても
ひと時の安らぎとリッチさを味わえるだろうに。
かあさんは、梅雨のためにラジオ体操に毎日行けないでいる。
一日中、アルファポリスで遊んでいるかあさんは、
どんどん体が動かなくなってくる。
少し散歩しただけで、ひざに猛烈な痛みが走る。
新型感染症の自粛も手伝って、体育館に行くこともできず、
床ずれができて膿んでくる。
床ずれ(褥瘡/じょくそう)は、寝たり座った時に皮膚の同じ部分への圧迫やずれが持続することで起こり、皮膚に障害を起こした状態を言います。 布団やマットレス、車いすなどにより外から圧迫を受けると、皮膚や皮下脂肪、筋肉などを押つぶす力などがかかります。
まめに動くようにしないとだよね。
ラジオ体操の会場は、平和公園で行われる。
面積 約18,600平方メートルのこの公園は駅からも近く、
とても過ごしやすい。
ここには、へいわの池がある。
今日、会場についたとき、何人かのおじいちゃん、おばあたゃんたちが集まって、
一点を見つめていた。
いつものように挨拶をし、近づいて、
「何かいるんですか」
と聞くと、
「鴨」
と、口々に笑顔で答えてくれた。
しばらく、みんなが見てるほうを眺めていると、
ひょこひょこと6匹のコガモが出てきた。
親とりは一番最後に出てきて、
人がたくさんいる場所に行くと、自分が先頭に立ち、
一連に並んで大行進。
その様子がとてもかわいくて、思わず笑顔になる。
「かわいいね」
「かわいいよね」
初めは一列に並んでいたコガモたちもなれてきたのか、
我先に競い始めて、くるくる順番が入れ替わる。
「うふふふ」
「たのしそう」
笑顔の香水を振りまいていく。
どんなにいつもは眉間にしわを寄せているような人でも、
みんな口角が上がり、口々に賞賛の声。
神様はほんとに優しいよね。
飽きっぽい人間が、若さはなくてもお金はなくても、
多少病気がちでもこうして飽きさせないように楽しみを設けてくださる。
今にも泣き出しそうな梅雨の合間の憩いの時間。
旬と彩を添えていく。
ありがとうございます。
Maurice Ravel: Bolero / Gustavo Dudamel conducts the Wiener Philharmoniker at Lucerne Festival 2010
を聞きながら、ながらの練習をするのも悪くない。
٩꒰ ˘ ³˘꒱۶~♡
今日も無事に通院できた。
14年になる毎週の通院、
かあさんは俺をめちゃほめてくれる。
一時はタクシーで通っていた。
毎日のように救急車が来て、大変だった時期もある。
今、サイクリング方々、自転車で通院できるのが夢のようだ。
悪い時が過ぎれば、
よい時は必ず来る。
おしなべて、
事を成す人は必ず時の来るのを待つ。
あせらずあわてず、
静かに時の来るのを待つ。
- 松下幸之助 -
(日本の実業家、発明家、パナソニック創業者 / 1894~1989)
「よく、我慢したね」
「うん」
爽やかな風が吹く。
新緑は、梅雨の晴れ間に若葉と生命の香りを運んでくれる。
世界の感染者926万3570人 死者47万7584人 新型感染症
2020年6月24日 16時28分
国内感染者1万8102人 死者966人(クルーズ船除く)新型感染症
2020年6月24日 15時34分
東京都 55人感染確認 緊急事態宣言解除後最多 新型感染症
2020年6月24日 14時17分
こんにちは🌸
3蜜避けてクラスター予防
『換気の悪い密閉空間』
『多くの人が密集』
『近距離での密接した会話』🌸
見える世界(出来事や他人からの評価)
見えない世界(自分の心)
『生きやすい生き方を作ろう』
笑顔同封🌸
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