壊れた玩具と伝説の狼

鈴紐屋 小説:恋川春撒 絵・漫画:せつ

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春のすすきと白い息1-11

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幸せだから、今の状況から死んで逃れたいと思っているワケじゃない、むしろ『永遠に続いたら良いのに』とすら思っている。
ただ、
「ただ、今死んだら、最高に幸せなまま死ねるなって・・・思ったんだ」
だって、幸福なまま死ねるって、なんて素敵な事だろうって思ったのだ。
「お前な」
「ごめん、バカな事言った。わけ分かんないよね。
 分かってる。ごめんなさい」
話している内に、何だか自分が凄く支離滅裂な事を言っているのが分かって、恥ずかしくなって話を切り上げようとした。
話している間も、アヤはやわやわと適度にセイラを愛撫してくれていて、本音を言えば、こんな難しい問答をするより、もう、今日は気持ち良いい事に集中したかった。
しかし今夜のアヤは、珍しくセイラの逃げを許さなかった。
「・・・死は孤独であるものだ。絶対的に孤独であるものだ。今死んでも、幸せなままなんて死ねないぞ」
そんな事を言って諭して来た。
珍しいなとセイラは思った。
いつものアヤは、セイラが逃げに入った時に無理に問題に立ち向かわせようとはしない、むしろセイラの心がこれ以上壊れない様にと過保護な位辛い事から逃がしてくれる。アヤはセイラが死にたがるのが余程嫌なのかもしれないと、セイラはこの時初めてアヤの気持ちを考えた。
(死は孤独・・・か)
それにしても、
「まるで一度死んだ事が有るみたいな言いっプリだね」
セイラがそうアヤに言うと、アヤはセイラのその言葉に返しはせず、じっとセイラを見つめると
「死んでみるか?」
何を思ったのか、そんな事を言い出した。
「──え?」
何を言われたのか一瞬理解出来なくて、思わず聞き返した。
「試しに、死んでみるか?」
アヤはもう一度同じ事を言った。
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