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春のススキと白い息1-10

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柔らかな愛撫に導かれて、セイラの性器は程なくして白濁を吐き出した。
それは絶頂と言うには余りにも穏やかな極まりで、体は満足した筈なのに、セイラの心は却って物足りなさが募った。
アヤは、セイラのくすぶりを分かっていた様で、射精し終わったセイラの性器をひとしきり舐め回したあとも愛撫を続けた。
セイラも素直にアヤに身を任せて、与えられる性感を享受した。
「なぁ、セイラは死にたいのか?」
もう直ぐセイラの性器が又立ち上がりそう、という時になって、アヤが唐突にそんな事を聞いてきた。
「──。え?」
突然の質問に戸惑いはしたが、余りにも真面目に言われたのでびっくりして、セイラは不服をいう事も質問に答える事も出来ずに、ただアヤを見つめた。
焦れたのか、アヤはもう一度同じ質問をセイラにしてきた。
「今も思っているのか?『死にたい』と、もしくはその六年間の間に、あんなに酷い有り様になる前に、死んでおけば良かったと思っているのか?」
確かに、初めてアヤにあった時、セイラはアヤに殺してくれと願った。
その後も、悪夢に捕まり幻覚に襲われる度に『お願いだから殺して、この頭を潰して』と縋って泣いた。
でも、今『死にたいのか?』と問われると『死にたい』と応えるのは違う気がした。
「死にたい訳じゃない」
だからそう言った。
どの口が言うか、と、思われるかも知れないけれど、嘘じゃない。
だって、セイラは今、本当に幸せで、あの時死んでいたらこの幸せは味わえなかった。
「こんな幸せが待っていたなら、ずっと続くなら、死ななくて良かった。」
そう言うと、アヤの表情も緩んだ。
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