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September Rabbit 1-6

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瞬間、俺の右ストレートが銀色の軌跡を描いて高岡の顔面を見舞った。
警察署の中で堂々と暴力沙汰を起こしたにも関わらず、高岡に仕事を増やされてご立腹の目撃者達刑事・警官達はグッジョブと俺に親指を立て知らねえ素振りを決め込んだ。
「琢!」
騒動は俺の琢を呼ぶ一声で収まった。
まるで鶴の一声、不謹慎ながらもちょっと気分が良い。
今は涙を流していないものの、真っ赤にした琢の両目はまるでウサギだ。
歩み寄った俺を琢が抱きしめて震える声で小さくでも静まった廊下には響く声で言った。
「僕のだ。誰にも渡さない。この人は僕の物だ!・・・どこにも!誰にも渡さない!絶対に!」
俺をかかえる琢の両の腕に力がこもる。
「・・・高岡お前。琢にどんなフカシ(嘘)吹きこんだんだ?」
別にフカシなんか言ってねえよ。
と、飄々としながら
「ただ、この前お前の家に来た琢美ちゃん似の美女が惨殺された。彼女に身よりも親しい友人も居なく、今の所動機となりうるネタが上がってるのは裕一郎しか居ねえ、少々強引な取り調べを受ける事になるかも・・・的な?」
「このまま犯人捕まるまで疑いかけられて拘留されるるかもとも言ってました。」
いじめっ子から宝物を必死で庇うみたいに俺を肩の後ろに庇いながら琢が噛みつく勢いで後を続け、それを聞いた高岡の周りにいた署員が靴やスリッパで高岡をタコナグリにした。
『まったくあなたって人は!』『からかうにも程ってものが有るでしょう!』『このボケが』なんて小言が小気味のい音にまじって聞こえてくる。
「ほら、琢。帰ろうぜ」
高岡への折檻は署員にまかせて琢の腰に手を掛けて出口に向かった。
不安にさせた時の琢の情事は手加減が無い。
俺は明日声が出くなる事を覚悟した。
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