エリート上司に完全に落とされるまで

琴音

文字の大きさ
上 下
4 / 33
一章 お、おれ?

4 私生活すら俺とは違うんだね

しおりを挟む
 寝室に入ると俺はベッドに押し倒されて、すぐに彼は襲ってきた。冷静を装うことすら出来ないって感じで唇を押し付け、俺を撫で回していた。どんだけ抱きたいんだよ!と、俺の頭のほうが冷静になるくらいだった。

「どうした?」

 気持ちいい和樹の体をつい眺めた。キレイな筋肉にほれぼれする。ゴムを付けてる姿に俺は見惚れていた。

「ハァハァ…ジムとか行ってるの?」
「いや。家で筋トレはしてるだけかな」
「そう」

 俺は当然何もしてねえ。和樹と同じ年になった頃には腹が出そうだよ。こんな会話の間に脚を上げてぶすり。押し込んだ彼の腰は止まらない。

「かずきぃ……ふうぅ……んうぅ…」
「もう中グズグズだな」
「だってっんっ……っ」

 気持ちよくて堪らず和樹の首に手を回した。腰が勝手に反ってしまうほど。

「ハァハァ…キス…欲し…い」
「智也は僕を煽るの上手いね」

 抱き合ってのキスは気持ちいい。彼のも俺の中でビクビクしてる。

「もっと……」
「ああ」

 俺は気持ちよさにふわふわしながら喘いだ。擦れるこの感じが……乳首を捏ねる指が気持ちよくて震えて求めた。

「あっうっ……か、かずきっんっ…んうっ」
「気持ちいいよな」

 俺のいいところばかり擦り始めて、快感にゾワッとしてもう持たないと感じる。

「あっかずきっ!そこばっか擦ったらダメ!」
「気持ちいいでしょ?」
「イっちゃうよ!」
「イケばいい」

 もう勝手に穴はビクビクして体はぷるぷる。俺もうムリ!グッうーっ!

「クッ……っキツッ」
「あっはっ……くっ…あ゙ぁ……」

 気持ちよくてなんにも考えたくない。俺どうしたんだろう。

「お前感度いいんだな」
「ハァハァ……そう?」
「ああ」

 彼も少ししてイクと俺にドサッと倒れ込んでハァハァ。少しして息が整うとあのねって和樹が話し始めた。

「僕ね、人事に同期がいるんだ。久しぶりに会ってたまたま智也の話が出てさ。みんなが嫌なら僕のところに回してってお願いしてね。本当に来るかは賭けだったけどね」
「ふーん」

 あの頃上の人は問題起こす奴引き取るの?嫌なんだけどと、部長連中は会議で話してたんだそう。でも内容を聞けば相手が悪いばかりで、智也に非はないと僕は思ったんだ。部長も同意してたし。強いていうならそうだな。隠すならきちんとするべきだったんだと言われた。

「ごめん……本来ならチームをどちらかが離れればよかったんだ。課長か部長にでも話してさ。でもそれするとカミングアウトしなきゃならない。俺たちは怖くて言い出せないうちに、関係が悪化してね」

 そうだ、俺たちは間違っていたんだ。
 慣例なら、例えば夫婦になるとチームや所属をどちらかが異動する、どの会社にもあることだ。うちの会社でもカミングアウトのゲイカップルは、同じ部署やチームには所属はしていない。俺たちもするべきだったんだ。
 でもその頃の俺は、なんで?上手くやってるから問題ないだろ?なんて考えてた。今なら公私があやふやになるし、他のスタッフも気を使うからダメなんだと分かる。

「これは難しい問題だね。今どきあからさまは偏見はなくなっていても、やっぱり言い辛いもんね」
「……うん」

 僕は君らの気持ちが分かったから責めるつもりもない。智也ってチュッとされた。

「過去は振り返ってもいいことなんかないさ。これからは前向きにね」

 心地いい彼の腕は幸せだ。でも……

「ねえ。ホントに俺でいいの?俺は嬉しいけどさ」

 何言ってんだかって彼は微笑む。

「智也は来てみれば問題はなかったし、みんなとも上手くやってる。女性にも人気で早めに手を打たねば!って僕は焦っていたのも事実」
「ええ?そんなふうには見えなかったけど?」

 ん?と少し体を上げて笑った。

「僕はそんなの見せないよ。そこは特技かな。内心は心を許した人にしか見せないんだ」
「そう……」

 俺には許してくれるかな。なんだか心配な気もするけど、俺にも弱さとか見せてくれるといいな。いや……俺かなり年下だから見せないかもね。

「心配か?僕は智也には見せるから大丈夫。会社ではいつも通りだけどね」
「本当?」
「ああ、そこは大丈夫だよ」

 そうだと言うと唇に……んふっ……

「休憩は終わり」
「あん……うん」

 それから外が明るくなるまで抱かれていた。嬉しくて堪らないというふうに俺を抱いていた。自分の気持ちよさよりも、俺の満足を気にする抱き方だ。
 初めのがっつきはなくて、智也って耳元で囁いて、俺はその声にゾクゾクしっぱなしで何度もイッて。セックスってこんなに満たされた気分になったっけ?って思うほど気持ちよかった。

「おはよ智也」

 俺が目を開けるともう起きていたようだ。

「あ……おはようございます」
「ふふっ目が覚めて腕に恋人とは……なんて幸せな朝なんだろ。もう逃げないしね」
「ゔっ……」

 あの日無理やりにでも食っとけはよかったと俺を抱き締めた。

「いやあ、あの日は眠くて無理でしたね。支度も出来きてないし」
「そうだけどさ。せっかく連れ込んだのに、食えなくなるまで飲ませたのは僕の失敗だったよ」

 確かにね。あそこまで目を開けてるのが辛くなるくらいじゃあ、セックスどころじゃない。俺もそうだねと答えた。
 とりあえずシャワーでも浴びようかと、バスルーム借りるねって声掛けて向かうとついて来る。……え?

「なんであなたも来るの?」
「一緒に入りたい」
「……はあ」

 仕方なく二人でシャワー浴びてるとやっぱり。

「あっ…はあ……」
「見てるとしたくなるよね」

 したくなるよねじゃねぇよ。昨日の今日だから確認するとすぐに入れてくるし!

「かず……ああっ」
「ここだろ?」
「うーーっ」

 ダメだ、押し込まれてると気持良くて朦朧とする。体を触る手も気持ちよくてふわふわしてると、ドンと突かれて快感に大きな声が!

「あーーっ!」
「くっいい鳴き声だ……だが」

 ズンズンと更に……もうダメ……出ちゃうよ。

「やめてっイッちゃうでしょ!……待って!」
「イケよ」

 グチュグチュといいところだけを狙ってくるし……あうっ

「んーーっ」
「僕ももう……クッ」

 奥に押し込まれると快感にゾクゾク震えた。股間は堪らずドクンドクンと。うー気持ちいい。

「生は早くイクね。ハァハァ……てか体の相性いいよね?」
「ハァハァ…それは俺も思った。初めての相手なのにこんな快感はおかしいでしょ。俺遊ばないからこんなの慣れてないのに」
「それはよかった」

 ぐちゅりと抜けると彼のが溢れ脚に流れた。
 初めての人ってお互いが噛み合わないから、受けってあんまり気持ちよくないんだよ。どこが気持ちいいとか把握してないから。ちんこ擦って初めてイケるくらいなのに。

「そのままで。掻き出すから」
「うん」

 お尻を彼に向けると、優しい手つきで中を…おお……ぅ…

「締めるな」
「だって……あっふっ」

 気持ちいい指の動きで我慢しても声出るんだよ。指も気持ちいいんだ。まるでいつもしてる相手のように感じた。

「かわいい声出すなよ。勃つだろ」
「でも…俺声我慢できないんだ……うっはうっ」
「分かってる。また夜聞かせてくれ」
「ふえ?夜?」

 俺は驚いて振り返るとエッチな顔してうんって。マジか。
 どんだけ一気に抱くつもりなんだこの人。呆然と掻き出してもらって、和樹は先に体を洗ってゆっくりなと言って出て行った。
 俺はその後体を洗って流し、髪の毛乾かしたりしてバスルームを出た。あれ?いい匂いがする。

「和樹なにしてるの?」
「朝食作ってる。もう少しで出来るから待ってろ」
「うん」

 簡単で悪いけどって用意してくれていた。うそ……恋人がごはん用意してくれるなんて初めてだ、嬉しい。俺も手伝おうとしたけど、

「いいよ。初めての場所じゃ大変だろ。それに僕は料理嫌いじゃないんだ、座ってて」
「はい」

 僕はカウンターキッチンの椅子に座って眺めていた。テーブルにパンと目玉焼きとベーコン、コーヒーを用意してくれた。

「ごめん。サラダの野菜がなかった」
「かまいません。ありがとうございます」

 ふたりでいただきますとカウンターに並んで食べ始めた。
 パンにバター塗ってかじったら、やべぇ!このバターうまい。感動して食べていると、今度はちゃんと作れるように用意しとくねって楽しそうに笑う。俺の知らない笑顔でね。

「いいえ、充分ですよ。俺面倒臭いと惣菜パンで朝とか済ませますから」

 美味しくて真剣に食べていた。手料理自体久しぶりで幸せだ。

「ねえ」
「はい?」

 横を向くとむーんと眉間にシワ。なんで?

「あのさ、敬語やめてよ。僕はもう恋人でしょう?」
「あっすみません。慣れるまで大目に見てもらえないかな」
「まあそうか。早く慣れてね」
「う、うん」

 食後はソファで寛いだ。俺も彼も予定はなかったからたくさん話そうってことでね。なのに俺は途中から彼に抱きついて、気持ちよさにうとうとしていた。恋人ならこういうことしてもいいんだよねって、図々しくなるのが俺。人の体温っていいよね。

「智也?」
「あったかくて気持ちいい」
「お話しするんでしょ?」
「そうなんだけど……」

 話しはしたいけど膝から下りたくない。和樹気持ちよくて眠くなるんだ。あはは。

「あなたは眠くないの?」
「ああ。眠いけど、長く寝ると損した気分になるからね。寝て終わる休日って嫌なんだよ」

 俺は彼の肩に頭を乗せて、腕を腰に回してうとうとしながら聞いていた。

「ねえ、普段何してるの?」
「そうだな。僕は映画見たり買い物行ったりかな。恋人がいる時はデートで近場に遊びに行ったりしてた」
「ふーん」

 俺は引きこもりがちで、部屋で映画見てることが多い。後は買い溜めた本読むとかインドアだね。恋人もそんな人であんまり出かけなかったな。それに運動もしないし……眠くて頭が回らん。

「和樹眠いよぉ、一緒に寝ようよ」

 はっ!俺なに言った?背中がヒヤッとして体を離した。緊張しながら彼を見るとクックッと。

「お前はなんてかわいいんだろうな。ププッ」
「あの、ごめんなさい……つい」
「いいよ。なら少し寝ようか」

 笑いを堪えて口元を拳で隠してる。そんなに笑わなくてもいいじゃないか。恥ずかしくて顔が熱い。恥ずかしいからまた抱きついた。

「でもいいの?」
「ああ、智也の頼みだろ?叶えるさ」
「ありがとう」

 寝室に戻って彼の腕枕で昼までねって言われて、

「うん少しでいいから。あの、抱っこして欲しい」
「ああ」

 胸にしっかりと入れてくれて、布団もちゃんとかけてくれた。

「キスしてもいい?」
「いいよ」

 和樹に軽くチュッとすると嬉しそうにしてくれた。

「いいね」
「なにが?」
「僕あいさつとかでのキスも好きなんだ。だからいっぱいして」
「うん」

 俺は目を閉じた。和樹の匂いに包まれているのなんかいい。久しぶりの恋人の胸が心地いいし。一ノ瀬さんが恋人かあ……なんか実感が湧かないけどね。
 勢いで付き合ったけど俺やれるだろうか。少しの話だけでも性格はだいぶ違うような気がしたんだ。元彼とはタイプも違うし、乱暴な感じもない。よくわからない人だけど、この一晩で分かるのは「甘やかしてくれる」のみ。
 なんとかなるでしょって俺は眠気に負けて眠った。












しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

用法用量を守って正しくお使いください

煮卵
BL
エリートリーマン✖️老舗の零細企業社長 4月2日J庭にて出した新刊の再録です ★マークがHシーン お気に入り、エールいただけると嬉しいです

イケメン後輩が言い寄ってくるのですが……(汗)

希紫瑠音
BL
社会人・後輩×先輩 昼休みは一人でゆっくりと過ごしたい。 だけど邪魔をする男がいる。 イケメンな後輩、しかも人の話は聞かない、押しが強い。 迷惑なのに、彼のペースに引き込まれていく。 展開早め、いつの間に!?なシーンも多々あります。 えろ~いのは少なめ。しかもキスと下しか触ってない、そんな話です。 <登場人物> ◆文辻《ふみつじ》 経理課。けして人と関わるのが嫌いなわけではなく、昼休みはのんびろと自分のペースで過ごしたい。 仕事でははっきりと物申すことができるのに、豊来に押されまくる ◆豊来《ほうらい》 営業課。容姿に優れている。 文辻に対してマテができない、攻めて攻めて攻めまくる ◆水守《みずもり》 営業課。文辻と同期。文辻が困っていないかと心配している。 かまってちゃんでもある。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

騎士が花嫁

Kyrie
BL
めでたい結婚式。 花婿は俺。 花嫁は敵国の騎士様。 どうなる、俺? * 他サイトにも掲載。

幸せの温度

本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。 まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。 俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。 陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。 俺にあんまり触らないで。 俺の気持ちに気付かないで。 ……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。 俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。 家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。 そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?

ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~

みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。 成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪ イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

酔った俺は、美味しく頂かれてました

雪紫
BL
片思いの相手に、酔ったフリして色々聞き出す筈が、何故かキスされて……? 両片思い(?)の男子大学生達の夜。 2話完結の短編です。 長いので2話にわけました。 他サイトにも掲載しています。

処理中です...