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一章 お、おれ?
4 私生活すら俺とは違うんだね
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寝室に入ると俺はベッドに押し倒されて、すぐに彼は襲ってきた。冷静を装うことすら出来ないって感じで唇を押し付け、俺を撫で回していた。どんだけ抱きたいんだよ!と、俺の頭のほうが冷静になるくらいだった。
「どうした?」
気持ちいい和樹の体をつい眺めた。キレイな筋肉にほれぼれする。ゴムを付けてる姿に俺は見惚れていた。
「ハァハァ…ジムとか行ってるの?」
「いや。家で筋トレはしてるだけかな」
「そう」
俺は当然何もしてねえ。和樹と同じ年になった頃には腹が出そうだよ。こんな会話の間に脚を上げてぶすり。押し込んだ彼の腰は止まらない。
「かずきぃ……ふうぅ……んうぅ…」
「もう中グズグズだな」
「だってっんっ……っ」
気持ちよくて堪らず和樹の首に手を回した。腰が勝手に反ってしまうほど。
「ハァハァ…キス…欲し…い」
「智也は僕を煽るの上手いね」
抱き合ってのキスは気持ちいい。彼のも俺の中でビクビクしてる。
「もっと……」
「ああ」
俺は気持ちよさにふわふわしながら喘いだ。擦れるこの感じが……乳首を捏ねる指が気持ちよくて震えて求めた。
「あっうっ……か、かずきっんっ…んうっ」
「気持ちいいよな」
俺のいいところばかり擦り始めて、快感にゾワッとしてもう持たないと感じる。
「あっかずきっ!そこばっか擦ったらダメ!」
「気持ちいいでしょ?」
「イっちゃうよ!」
「イケばいい」
もう勝手に穴はビクビクして体はぷるぷる。俺もうムリ!グッうーっ!
「クッ……っキツッ」
「あっはっ……くっ…あ゙ぁ……」
気持ちよくてなんにも考えたくない。俺どうしたんだろう。
「お前感度いいんだな」
「ハァハァ……そう?」
「ああ」
彼も少ししてイクと俺にドサッと倒れ込んでハァハァ。少しして息が整うとあのねって和樹が話し始めた。
「僕ね、人事に同期がいるんだ。久しぶりに会ってたまたま智也の話が出てさ。みんなが嫌なら僕のところに回してってお願いしてね。本当に来るかは賭けだったけどね」
「ふーん」
あの頃上の人は問題起こす奴引き取るの?嫌なんだけどと、部長連中は会議で話してたんだそう。でも内容を聞けば相手が悪いばかりで、智也に非はないと僕は思ったんだ。部長も同意してたし。強いていうならそうだな。隠すならきちんとするべきだったんだと言われた。
「ごめん……本来ならチームをどちらかが離れればよかったんだ。課長か部長にでも話してさ。でもそれするとカミングアウトしなきゃならない。俺たちは怖くて言い出せないうちに、関係が悪化してね」
そうだ、俺たちは間違っていたんだ。
慣例なら、例えば夫婦になるとチームや所属をどちらかが異動する、どの会社にもあることだ。うちの会社でもカミングアウトのゲイカップルは、同じ部署やチームには所属はしていない。俺たちもするべきだったんだ。
でもその頃の俺は、なんで?上手くやってるから問題ないだろ?なんて考えてた。今なら公私があやふやになるし、他のスタッフも気を使うからダメなんだと分かる。
「これは難しい問題だね。今どきあからさまは偏見はなくなっていても、やっぱり言い辛いもんね」
「……うん」
僕は君らの気持ちが分かったから責めるつもりもない。智也ってチュッとされた。
「過去は振り返ってもいいことなんかないさ。これからは前向きにね」
心地いい彼の腕は幸せだ。でも……
「ねえ。ホントに俺でいいの?俺は嬉しいけどさ」
何言ってんだかって彼は微笑む。
「智也は来てみれば問題はなかったし、みんなとも上手くやってる。女性にも人気で早めに手を打たねば!って僕は焦っていたのも事実」
「ええ?そんなふうには見えなかったけど?」
ん?と少し体を上げて笑った。
「僕はそんなの見せないよ。そこは特技かな。内心は心を許した人にしか見せないんだ」
「そう……」
俺には許してくれるかな。なんだか心配な気もするけど、俺にも弱さとか見せてくれるといいな。いや……俺かなり年下だから見せないかもね。
「心配か?僕は智也には見せるから大丈夫。会社ではいつも通りだけどね」
「本当?」
「ああ、そこは大丈夫だよ」
そうだと言うと唇に……んふっ……
「休憩は終わり」
「あん……うん」
それから外が明るくなるまで抱かれていた。嬉しくて堪らないというふうに俺を抱いていた。自分の気持ちよさよりも、俺の満足を気にする抱き方だ。
初めのがっつきはなくて、智也って耳元で囁いて、俺はその声にゾクゾクしっぱなしで何度もイッて。セックスってこんなに満たされた気分になったっけ?って思うほど気持ちよかった。
「おはよ智也」
俺が目を開けるともう起きていたようだ。
「あ……おはようございます」
「ふふっ目が覚めて腕に恋人とは……なんて幸せな朝なんだろ。もう逃げないしね」
「ゔっ……」
あの日無理やりにでも食っとけはよかったと俺を抱き締めた。
「いやあ、あの日は眠くて無理でしたね。支度も出来きてないし」
「そうだけどさ。せっかく連れ込んだのに、食えなくなるまで飲ませたのは僕の失敗だったよ」
確かにね。あそこまで目を開けてるのが辛くなるくらいじゃあ、セックスどころじゃない。俺もそうだねと答えた。
とりあえずシャワーでも浴びようかと、バスルーム借りるねって声掛けて向かうとついて来る。……え?
「なんであなたも来るの?」
「一緒に入りたい」
「……はあ」
仕方なく二人でシャワー浴びてるとやっぱり。
「あっ…はあ……」
「見てるとしたくなるよね」
したくなるよねじゃねぇよ。昨日の今日だから確認するとすぐに入れてくるし!
「かず……ああっ」
「ここだろ?」
「うーーっ」
ダメだ、押し込まれてると気持良くて朦朧とする。体を触る手も気持ちよくてふわふわしてると、ドンと突かれて快感に大きな声が!
「あーーっ!」
「くっいい鳴き声だ……だが」
ズンズンと更に……もうダメ……出ちゃうよ。
「やめてっイッちゃうでしょ!……待って!」
「イケよ」
グチュグチュといいところだけを狙ってくるし……あうっ
「んーーっ」
「僕ももう……クッ」
奥に押し込まれると快感にゾクゾク震えた。股間は堪らずドクンドクンと。うー気持ちいい。
「生は早くイクね。ハァハァ……てか体の相性いいよね?」
「ハァハァ…それは俺も思った。初めての相手なのにこんな快感はおかしいでしょ。俺遊ばないからこんなの慣れてないのに」
「それはよかった」
ぐちゅりと抜けると彼のが溢れ脚に流れた。
初めての人ってお互いが噛み合わないから、受けってあんまり気持ちよくないんだよ。どこが気持ちいいとか把握してないから。ちんこ擦って初めてイケるくらいなのに。
「そのままで。掻き出すから」
「うん」
お尻を彼に向けると、優しい手つきで中を…おお……ぅ…
「締めるな」
「だって……あっふっ」
気持ちいい指の動きで我慢しても声出るんだよ。指も気持ちいいんだ。まるでいつもしてる相手のように感じた。
「かわいい声出すなよ。勃つだろ」
「でも…俺声我慢できないんだ……うっはうっ」
「分かってる。また夜聞かせてくれ」
「ふえ?夜?」
俺は驚いて振り返るとエッチな顔してうんって。マジか。
どんだけ一気に抱くつもりなんだこの人。呆然と掻き出してもらって、和樹は先に体を洗ってゆっくりなと言って出て行った。
俺はその後体を洗って流し、髪の毛乾かしたりしてバスルームを出た。あれ?いい匂いがする。
「和樹なにしてるの?」
「朝食作ってる。もう少しで出来るから待ってろ」
「うん」
簡単で悪いけどって用意してくれていた。うそ……恋人がごはん用意してくれるなんて初めてだ、嬉しい。俺も手伝おうとしたけど、
「いいよ。初めての場所じゃ大変だろ。それに僕は料理嫌いじゃないんだ、座ってて」
「はい」
僕はカウンターキッチンの椅子に座って眺めていた。テーブルにパンと目玉焼きとベーコン、コーヒーを用意してくれた。
「ごめん。サラダの野菜がなかった」
「かまいません。ありがとうございます」
ふたりでいただきますとカウンターに並んで食べ始めた。
パンにバター塗ってかじったら、やべぇ!このバターうまい。感動して食べていると、今度はちゃんと作れるように用意しとくねって楽しそうに笑う。俺の知らない笑顔でね。
「いいえ、充分ですよ。俺面倒臭いと惣菜パンで朝とか済ませますから」
美味しくて真剣に食べていた。手料理自体久しぶりで幸せだ。
「ねえ」
「はい?」
横を向くとむーんと眉間にシワ。なんで?
「あのさ、敬語やめてよ。僕はもう恋人でしょう?」
「あっすみません。慣れるまで大目に見てもらえないかな」
「まあそうか。早く慣れてね」
「う、うん」
食後はソファで寛いだ。俺も彼も予定はなかったからたくさん話そうってことでね。なのに俺は途中から彼に抱きついて、気持ちよさにうとうとしていた。恋人ならこういうことしてもいいんだよねって、図々しくなるのが俺。人の体温っていいよね。
「智也?」
「あったかくて気持ちいい」
「お話しするんでしょ?」
「そうなんだけど……」
話しはしたいけど膝から下りたくない。和樹気持ちよくて眠くなるんだ。あはは。
「あなたは眠くないの?」
「ああ。眠いけど、長く寝ると損した気分になるからね。寝て終わる休日って嫌なんだよ」
俺は彼の肩に頭を乗せて、腕を腰に回してうとうとしながら聞いていた。
「ねえ、普段何してるの?」
「そうだな。僕は映画見たり買い物行ったりかな。恋人がいる時はデートで近場に遊びに行ったりしてた」
「ふーん」
俺は引きこもりがちで、部屋で映画見てることが多い。後は買い溜めた本読むとかインドアだね。恋人もそんな人であんまり出かけなかったな。それに運動もしないし……眠くて頭が回らん。
「和樹眠いよぉ、一緒に寝ようよ」
はっ!俺なに言った?背中がヒヤッとして体を離した。緊張しながら彼を見るとクックッと。
「お前はなんてかわいいんだろうな。ププッ」
「あの、ごめんなさい……つい」
「いいよ。なら少し寝ようか」
笑いを堪えて口元を拳で隠してる。そんなに笑わなくてもいいじゃないか。恥ずかしくて顔が熱い。恥ずかしいからまた抱きついた。
「でもいいの?」
「ああ、智也の頼みだろ?叶えるさ」
「ありがとう」
寝室に戻って彼の腕枕で昼までねって言われて、
「うん少しでいいから。あの、抱っこして欲しい」
「ああ」
胸にしっかりと入れてくれて、布団もちゃんとかけてくれた。
「キスしてもいい?」
「いいよ」
和樹に軽くチュッとすると嬉しそうにしてくれた。
「いいね」
「なにが?」
「僕あいさつとかでのキスも好きなんだ。だからいっぱいして」
「うん」
俺は目を閉じた。和樹の匂いに包まれているのなんかいい。久しぶりの恋人の胸が心地いいし。一ノ瀬さんが恋人かあ……なんか実感が湧かないけどね。
勢いで付き合ったけど俺やれるだろうか。少しの話だけでも性格はだいぶ違うような気がしたんだ。元彼とはタイプも違うし、乱暴な感じもない。よくわからない人だけど、この一晩で分かるのは「甘やかしてくれる」のみ。
なんとかなるでしょって俺は眠気に負けて眠った。
「どうした?」
気持ちいい和樹の体をつい眺めた。キレイな筋肉にほれぼれする。ゴムを付けてる姿に俺は見惚れていた。
「ハァハァ…ジムとか行ってるの?」
「いや。家で筋トレはしてるだけかな」
「そう」
俺は当然何もしてねえ。和樹と同じ年になった頃には腹が出そうだよ。こんな会話の間に脚を上げてぶすり。押し込んだ彼の腰は止まらない。
「かずきぃ……ふうぅ……んうぅ…」
「もう中グズグズだな」
「だってっんっ……っ」
気持ちよくて堪らず和樹の首に手を回した。腰が勝手に反ってしまうほど。
「ハァハァ…キス…欲し…い」
「智也は僕を煽るの上手いね」
抱き合ってのキスは気持ちいい。彼のも俺の中でビクビクしてる。
「もっと……」
「ああ」
俺は気持ちよさにふわふわしながら喘いだ。擦れるこの感じが……乳首を捏ねる指が気持ちよくて震えて求めた。
「あっうっ……か、かずきっんっ…んうっ」
「気持ちいいよな」
俺のいいところばかり擦り始めて、快感にゾワッとしてもう持たないと感じる。
「あっかずきっ!そこばっか擦ったらダメ!」
「気持ちいいでしょ?」
「イっちゃうよ!」
「イケばいい」
もう勝手に穴はビクビクして体はぷるぷる。俺もうムリ!グッうーっ!
「クッ……っキツッ」
「あっはっ……くっ…あ゙ぁ……」
気持ちよくてなんにも考えたくない。俺どうしたんだろう。
「お前感度いいんだな」
「ハァハァ……そう?」
「ああ」
彼も少ししてイクと俺にドサッと倒れ込んでハァハァ。少しして息が整うとあのねって和樹が話し始めた。
「僕ね、人事に同期がいるんだ。久しぶりに会ってたまたま智也の話が出てさ。みんなが嫌なら僕のところに回してってお願いしてね。本当に来るかは賭けだったけどね」
「ふーん」
あの頃上の人は問題起こす奴引き取るの?嫌なんだけどと、部長連中は会議で話してたんだそう。でも内容を聞けば相手が悪いばかりで、智也に非はないと僕は思ったんだ。部長も同意してたし。強いていうならそうだな。隠すならきちんとするべきだったんだと言われた。
「ごめん……本来ならチームをどちらかが離れればよかったんだ。課長か部長にでも話してさ。でもそれするとカミングアウトしなきゃならない。俺たちは怖くて言い出せないうちに、関係が悪化してね」
そうだ、俺たちは間違っていたんだ。
慣例なら、例えば夫婦になるとチームや所属をどちらかが異動する、どの会社にもあることだ。うちの会社でもカミングアウトのゲイカップルは、同じ部署やチームには所属はしていない。俺たちもするべきだったんだ。
でもその頃の俺は、なんで?上手くやってるから問題ないだろ?なんて考えてた。今なら公私があやふやになるし、他のスタッフも気を使うからダメなんだと分かる。
「これは難しい問題だね。今どきあからさまは偏見はなくなっていても、やっぱり言い辛いもんね」
「……うん」
僕は君らの気持ちが分かったから責めるつもりもない。智也ってチュッとされた。
「過去は振り返ってもいいことなんかないさ。これからは前向きにね」
心地いい彼の腕は幸せだ。でも……
「ねえ。ホントに俺でいいの?俺は嬉しいけどさ」
何言ってんだかって彼は微笑む。
「智也は来てみれば問題はなかったし、みんなとも上手くやってる。女性にも人気で早めに手を打たねば!って僕は焦っていたのも事実」
「ええ?そんなふうには見えなかったけど?」
ん?と少し体を上げて笑った。
「僕はそんなの見せないよ。そこは特技かな。内心は心を許した人にしか見せないんだ」
「そう……」
俺には許してくれるかな。なんだか心配な気もするけど、俺にも弱さとか見せてくれるといいな。いや……俺かなり年下だから見せないかもね。
「心配か?僕は智也には見せるから大丈夫。会社ではいつも通りだけどね」
「本当?」
「ああ、そこは大丈夫だよ」
そうだと言うと唇に……んふっ……
「休憩は終わり」
「あん……うん」
それから外が明るくなるまで抱かれていた。嬉しくて堪らないというふうに俺を抱いていた。自分の気持ちよさよりも、俺の満足を気にする抱き方だ。
初めのがっつきはなくて、智也って耳元で囁いて、俺はその声にゾクゾクしっぱなしで何度もイッて。セックスってこんなに満たされた気分になったっけ?って思うほど気持ちよかった。
「おはよ智也」
俺が目を開けるともう起きていたようだ。
「あ……おはようございます」
「ふふっ目が覚めて腕に恋人とは……なんて幸せな朝なんだろ。もう逃げないしね」
「ゔっ……」
あの日無理やりにでも食っとけはよかったと俺を抱き締めた。
「いやあ、あの日は眠くて無理でしたね。支度も出来きてないし」
「そうだけどさ。せっかく連れ込んだのに、食えなくなるまで飲ませたのは僕の失敗だったよ」
確かにね。あそこまで目を開けてるのが辛くなるくらいじゃあ、セックスどころじゃない。俺もそうだねと答えた。
とりあえずシャワーでも浴びようかと、バスルーム借りるねって声掛けて向かうとついて来る。……え?
「なんであなたも来るの?」
「一緒に入りたい」
「……はあ」
仕方なく二人でシャワー浴びてるとやっぱり。
「あっ…はあ……」
「見てるとしたくなるよね」
したくなるよねじゃねぇよ。昨日の今日だから確認するとすぐに入れてくるし!
「かず……ああっ」
「ここだろ?」
「うーーっ」
ダメだ、押し込まれてると気持良くて朦朧とする。体を触る手も気持ちよくてふわふわしてると、ドンと突かれて快感に大きな声が!
「あーーっ!」
「くっいい鳴き声だ……だが」
ズンズンと更に……もうダメ……出ちゃうよ。
「やめてっイッちゃうでしょ!……待って!」
「イケよ」
グチュグチュといいところだけを狙ってくるし……あうっ
「んーーっ」
「僕ももう……クッ」
奥に押し込まれると快感にゾクゾク震えた。股間は堪らずドクンドクンと。うー気持ちいい。
「生は早くイクね。ハァハァ……てか体の相性いいよね?」
「ハァハァ…それは俺も思った。初めての相手なのにこんな快感はおかしいでしょ。俺遊ばないからこんなの慣れてないのに」
「それはよかった」
ぐちゅりと抜けると彼のが溢れ脚に流れた。
初めての人ってお互いが噛み合わないから、受けってあんまり気持ちよくないんだよ。どこが気持ちいいとか把握してないから。ちんこ擦って初めてイケるくらいなのに。
「そのままで。掻き出すから」
「うん」
お尻を彼に向けると、優しい手つきで中を…おお……ぅ…
「締めるな」
「だって……あっふっ」
気持ちいい指の動きで我慢しても声出るんだよ。指も気持ちいいんだ。まるでいつもしてる相手のように感じた。
「かわいい声出すなよ。勃つだろ」
「でも…俺声我慢できないんだ……うっはうっ」
「分かってる。また夜聞かせてくれ」
「ふえ?夜?」
俺は驚いて振り返るとエッチな顔してうんって。マジか。
どんだけ一気に抱くつもりなんだこの人。呆然と掻き出してもらって、和樹は先に体を洗ってゆっくりなと言って出て行った。
俺はその後体を洗って流し、髪の毛乾かしたりしてバスルームを出た。あれ?いい匂いがする。
「和樹なにしてるの?」
「朝食作ってる。もう少しで出来るから待ってろ」
「うん」
簡単で悪いけどって用意してくれていた。うそ……恋人がごはん用意してくれるなんて初めてだ、嬉しい。俺も手伝おうとしたけど、
「いいよ。初めての場所じゃ大変だろ。それに僕は料理嫌いじゃないんだ、座ってて」
「はい」
僕はカウンターキッチンの椅子に座って眺めていた。テーブルにパンと目玉焼きとベーコン、コーヒーを用意してくれた。
「ごめん。サラダの野菜がなかった」
「かまいません。ありがとうございます」
ふたりでいただきますとカウンターに並んで食べ始めた。
パンにバター塗ってかじったら、やべぇ!このバターうまい。感動して食べていると、今度はちゃんと作れるように用意しとくねって楽しそうに笑う。俺の知らない笑顔でね。
「いいえ、充分ですよ。俺面倒臭いと惣菜パンで朝とか済ませますから」
美味しくて真剣に食べていた。手料理自体久しぶりで幸せだ。
「ねえ」
「はい?」
横を向くとむーんと眉間にシワ。なんで?
「あのさ、敬語やめてよ。僕はもう恋人でしょう?」
「あっすみません。慣れるまで大目に見てもらえないかな」
「まあそうか。早く慣れてね」
「う、うん」
食後はソファで寛いだ。俺も彼も予定はなかったからたくさん話そうってことでね。なのに俺は途中から彼に抱きついて、気持ちよさにうとうとしていた。恋人ならこういうことしてもいいんだよねって、図々しくなるのが俺。人の体温っていいよね。
「智也?」
「あったかくて気持ちいい」
「お話しするんでしょ?」
「そうなんだけど……」
話しはしたいけど膝から下りたくない。和樹気持ちよくて眠くなるんだ。あはは。
「あなたは眠くないの?」
「ああ。眠いけど、長く寝ると損した気分になるからね。寝て終わる休日って嫌なんだよ」
俺は彼の肩に頭を乗せて、腕を腰に回してうとうとしながら聞いていた。
「ねえ、普段何してるの?」
「そうだな。僕は映画見たり買い物行ったりかな。恋人がいる時はデートで近場に遊びに行ったりしてた」
「ふーん」
俺は引きこもりがちで、部屋で映画見てることが多い。後は買い溜めた本読むとかインドアだね。恋人もそんな人であんまり出かけなかったな。それに運動もしないし……眠くて頭が回らん。
「和樹眠いよぉ、一緒に寝ようよ」
はっ!俺なに言った?背中がヒヤッとして体を離した。緊張しながら彼を見るとクックッと。
「お前はなんてかわいいんだろうな。ププッ」
「あの、ごめんなさい……つい」
「いいよ。なら少し寝ようか」
笑いを堪えて口元を拳で隠してる。そんなに笑わなくてもいいじゃないか。恥ずかしくて顔が熱い。恥ずかしいからまた抱きついた。
「でもいいの?」
「ああ、智也の頼みだろ?叶えるさ」
「ありがとう」
寝室に戻って彼の腕枕で昼までねって言われて、
「うん少しでいいから。あの、抱っこして欲しい」
「ああ」
胸にしっかりと入れてくれて、布団もちゃんとかけてくれた。
「キスしてもいい?」
「いいよ」
和樹に軽くチュッとすると嬉しそうにしてくれた。
「いいね」
「なにが?」
「僕あいさつとかでのキスも好きなんだ。だからいっぱいして」
「うん」
俺は目を閉じた。和樹の匂いに包まれているのなんかいい。久しぶりの恋人の胸が心地いいし。一ノ瀬さんが恋人かあ……なんか実感が湧かないけどね。
勢いで付き合ったけど俺やれるだろうか。少しの話だけでも性格はだいぶ違うような気がしたんだ。元彼とはタイプも違うし、乱暴な感じもない。よくわからない人だけど、この一晩で分かるのは「甘やかしてくれる」のみ。
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