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第三章
6最低な男
しおりを挟む手に取るのも嫌悪感を感じる。
私への愛を綴っている文章は見ていられなかった。
「何なのこれ…」
「お嬢様、これ以上見てはいけません!」
私から手紙を奪い燃やそうとするエリーを急いで止める。
「止めなさい」
「何故です」
処分したい気持ちはある。
できるならシュレッターにかけてしまいたいのだけど。
「証拠を残して置くべきだわ」
「それはどういうことでしょうか?」
万一の時の為に保険をかけておきたい。
その万一にならないで欲しいけど。
「手紙だけで終わると思う?」
「ないですね」
エリーもきっぱり言うわね。
「これはストーキング行為だわ。フォーカス夫人にいたっては脅迫だわ」
手紙には何を勘違いをしたのか、復縁を望んでいるとか。
早急にフォーカス家に援助しろと書かれていた。
「どうしたら復縁しろという考えになるのかしら?」
「まともな考えなんてないでしょう」
以前から私に対して嫌悪感のようなものを抱いていたフォーカス夫人。
ここにきてこんな暴走を行うなんてなりふり構っていられないのね。
「オレリアがいるのに私と復縁してどうするのよ」
既に彼女はフォーカス家に入っている。
学園は停学になっているけど、このまま退学になるのも時間の問題だわ。
「あの女は実家から援助を受けられていないのでは」
「ある程度の援助は受けているはずよ。支度金程度は貰っているけれど」
あの赤字夫人は家は傾き、我が家の援助が無くなっても浪費癖は変わらなかった。
その結果どれだけの状態になっているか解らろともしない。
「今回の騒動は私の責任。その責任を取れといいたいのでしょうね」
「そんなの…馬鹿げていますわ!」
本当に前世と同じ。
何一つとして成長していないわ。
きっと彼女は誰かの所為にして罪の意識から逃れようとするのね。
「正直、私は彼らがどうなろうともどうでもいいのよ」
「当然です」
「だけど、このままで何事もないようにとは行かないわね」
フィル様も心配してくださっていたけど。
まさか本当に社交界で虚言を触れ回っているなんてことはないでしょうね?
噂をする人は多くいるとしても、自ら噂を流すようなら黙っているわけにはいかない。
「急いでお父様に手紙を書くわ。それから我が家の顧問弁護士に連絡を」
「かしこまりました」
この気色悪い手紙は証拠として大事に保管しておくことにしまよう。
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