義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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183指名手配犯~エセルバートside②

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冬の時期の川はまるで氷のような温度だった。
しかもこのあたりの川は汚く,ゴミも多い。

口に汚い水が入り泳ごうにも、足を汚して泳げない。


そんな僕だったが引き上げられる。


「おい!大丈夫か!」

何処まで流されたか解らない、
塩辛い味がしたからここは海なのか?


「いだだっ!」

網に引っ掛かる僕は自分が魚と一緒に引き上げられた事に気づいた。

「何で人がこんな所に」

「随分汚いな。どこぞの乞食か?」


体は動かない。
それでも聞こえてくるのは僕を馬鹿にする言葉だ。


「顔も醜いけど服装も貧相だな。きっと金も食うものもなくて身投げしたのか?」

「迷惑だな。とりあえず死体を放置したら魚が捕れねぇ」

「よし火葬してやるか」

「俺達親切だよな」


ふざけるな!
何が親切だ!


普通はこの場合家に運んで医師を呼ぶのが普通だろうが。
なんて非常識なんだ。


「とりあえず網から外すか…うわぁくせぇ!」

「本当に何の異臭だ」

「どんな暮らしをしてたんだ。奴隷だったとか?」

何処まで僕を侮辱すれば気が済むんだ。

声を出そうとするも。


声が出なかった。


何で声が出ないんだ!


暴れようにも足は動かない。
腕も痛くて動かせない中、荷台の中に乱暴に放り込まれた。

「よし、面倒だからこの藁と一緒に燃やすか」

「ついでに馬の死体も一緒でいいか?」

「ああ疫病の馬か?いいんじゃないか?」


疫病の馬と一緒にするだと?
僕は動かない足をばたつかせるも荷台を傾かされ、草まみれになる。
その上から馬の死体が積まれて行く。


臭い!
重い!

こんな死に方したくない。

「ん?何か聞こえなかったか?」

「まさか生きていたとか?」


そうだ。
僕は死んでいない。

まだ生きているんだ!
早くこの馬をどかせろ!

圧死してしまう。
助かると思っていた僕の希望は一瞬で打ち砕かれる。

「気のせいだろ?あの乞食ぐったりしてたし」

「そうだな!あの状態だし。万一医者なんかに見せたら金がかかるしな!」


そんな理由で殺されてたまるか。
死ぬ気で僕は動き、這いつくばってなんとかしてその場から逃げ出した。


「うわぁ!生きてたぞ!」

「臭い!こっち来るな!」


泥で汚れた僕はとにかく汚れを落としたくて井戸に向かった。


「水を寄越せ」

「えっ…はぁ」


井戸の方で水を汲んでいる女から桶を奪い体の汚れを洗い流した。

「タオルを寄越せ」

「えっ…でも」

「いいから!」

「きゃああ!」

女が持っているタオルを奪い体を拭き顔を拭こうとしたら。


周りに人が集まって来た。


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