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180羊の集い
しおりを挟むジョイルの目覚めは執事達の団結を更に強くした。
詐欺集団の名前は黒い狼と呼ばれているらしく、数年前から国のお金を不正に使われていた。
貴族に仕える執事達の間でも問題視されていた。
「ここに黄金の羊を復活させるべきです」
「黄金の羊?」
執事の一人が声を上げたのだ。
「ジョイル、もしや黄金の羊を立ち上げたのは…」
「エレンディス様、何かご存じなのですか?」
「そうか、君が知らなくても無理もない」
私は執事事情を良く知らなかったのだが…
「私が生まれる前から執事協会では執事の質が問われて来た」
「お恥ずかしい事に、執事と言う仕事を利用して寄生虫な真似をする輩が増えた時期があったのです」
設立されたのは今から五十年前。
今よりも執事と言う仕事が安定していない時代に、執事と言う職種は目指す事すら困難だった。
執事学校に通うのも両家の子息、しかも長男だけだった。
家柄がそこそこあっても教養も必要だった。
しかし、当初は学校側も不正が多かった。
裏口入学なんてものもあり、いざ執事になった後に主を騙し家を乗っ取る事も多かった。
中には派閥同士の争いに勝つために自分の使用人を執事として送り込み主を暗殺するように命じる事があった。
故に悪しき執事を捌く組織が出来た。
それが黄金の執事だった。
別名メリープス財団と呼ばれていたとか。
「執事だけに羊ですか。おじさんのダジャレですか」
「エレナ…」
この状況でそんなことを言うのはどうかと思うけど。
でもメリープスって羊よね?
執事だから羊って?
凄くベタだと思ってしまうわ。
「悪しき執事を厳しく管理する。それを成されたのが先生でした」
「黄金の羊が前に出れば国内の執事すべてを集められるでしょう。見習い執事にも声をかければその数は千は超えます」
「そっ…そんなに」
国内でそんなにいるの?
「現在では平民でも執事になれる制度ができています。国内にある執事学校に寄付をされているのが先生を初め我らなのです」
「そうだったのですか」
「今では執事の神様と呼ばれる方です」
「これ、止めないか」
そんなにすごい人だったのに何でカスティージョに残ったのだろうか。
ジョイルを必要とする貴族は沢山いたはずなのに。
本当に疑問だけが残るわね。
「お前達、過去の栄光にしがみつくな」
気恥ずかしそうにするジョイルの表情は何だか新鮮に感じた。
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