義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ

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百姓貴族は常に大自然を相手にしなくてはならない。
天災には勝てないからこそ、先の先を見越して作物を確保しなくてはならない。


大飢饉が起きれば中央はどうにかしろと簡単に言う。
作物が足りなければ私達を責めて無理矢理奪っていくかと思えば出荷量を勝手な理由で減らせと言って来るのだ。


私達はその都度どれだけ苦しい思いをさせられて来たか。


「絶対負けない」


ここで逃げてはいけない。
もしここでで追われたらカスティージョ家は確実に没落する。

そんなことになればどれだけの被害を被るか。
特に被害を受けるのは使用人や領民だ。


私の後見人である侯爵夫人にもどれだけ迷惑がかかるか。


「奥様、手紙が届きました」


「ありがとうジョイル」


ロベスペール侯爵家に手紙を急いで出し、謝罪の手紙と贈り物をした。
慰謝料は法外な金額ではなかったが、既にカスティージョ家では支払う事が出来なかった。


できるだけ良心的な商会に掛け合ってある物と引き換えにお金を無利子で借りることができた。


「早急に慰謝料をお支払いしてお詫びに向かわなくては」

「奥様が行かれるのですか…」

「ええ」


留守を任された事からジョイルは私を奥様と呼ぶようになった。
補佐として走り回ってくれているのは彼だけではなくジョナとエレナも同じだった。


その一方で昔から仕えてくれていた使用人人は退職願を出して一晩のうちにこの邸を去ってしまった。


「奥様、パルキア商会と連絡が取れました」

「こちらもギルド商会の副会長と連絡が取れました」


状況は最悪でもこれ以上悪くなることがない様に動かなくては。


「奥様大変ですお客様が…」


「え?こんな時に誰が」

「それが…」

現在社交界で四面楚歌状態のカスティージョにお客様が来るなんて珍しいと思ったのだけど。



「約束も無く申し訳ありません」

「団長さん!」


第二騎士団の団長さんだった。
彼は辺境伯爵の次男で現在は第二騎士団団長を任され独立を果している。


私の婚約は決まる前までは領地に良く来てくれていた。


「どうされたんですか」


「侯爵夫人から君の事を聞かされて…私も昨日遠征から帰って何も知らなくて」



私が行儀見習いとしてシャドール家にお世話になっていた時彼と一緒に過ごした記憶は今でもしっかり覚えている。


「社交界で噂を耳にして…」

「ご心配をおかけしまして申し訳ありません」


思えば昔から優しい方だったな。
エレンディス様は私にとって兄のような方だった。


身分はずっと私よりも高いのに、こうして心配してくださるなんて。


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