17 / 21
第一章婚約破棄と国外追放
16.価値観の違い
しおりを挟むレスティア王国は歴史もあるが、他国からすれば小さ国に過ぎない。
小さな国は大国と同盟を結んで大国の支配下にあることが多い。
四千年以上の歴史を持つマリンフェスタ帝国は財力と軍事力はレスティア王国とは比べ物にならない。
レスティア王国とマリンフェスタ帝国では価値観の違いは、実力主義を貫いていることだった。
何処の国でも女性の身分は低く、女性が爵位を引き継ぐことは叶わない。
一方、マリンフェスタ帝国では先代に女性の皇帝も多く置いたため、貴族内でも女性が爵位を引き継ぐ前例も少なくない。
歴代の皇帝に女性も多くいたり、先代皇帝が病に亡くなった場合は皇后が皇帝の座に就くことも許されていたこともある。
ようするに、マリンフェスタ帝国は実力主義だった。
身分に血筋、家柄に拘る他国とは常識が異なっている。
そのお陰で現在でも国が繁栄しているのだが、それを面白く思わない人間が多かった。
敵となれば脅威になり、戦争になれば絶対に勝てないからだった。
レスティア王国は精霊の力を借りて魔法を使うが、聖女の守りや精霊の恩恵に頼り過ぎている。
魔力を持つ者もそこまで多い訳ではない。
対してマリンフェスタ帝国は王侯貴族を中心に魔力を持っているが、魔力が少ない者でも魔力に対抗する術を持っている。
魔法とは万能ではなく無限に使えるモノではない。
戦場では魔力が使えない場所も多くあるので魔法に頼り切れば危険という考えを元に魔法にばかり頼ることはしない。
そのお陰で、戦場で生き延びることもでき、尚且つ戦場で生き抜くために鍛錬を重ねて来た。
「――これが我らの祖先の教えじゃ」
「まぁ、なんてすばらしいのでしょう」
お茶を飲みながら、マリンフェスタ帝国の価値観を聞かされ感心する。
「私も魔法に頼り過ぎずてはならないと思っておりました」
「リゼ姫ならば解ってくれると思っておったぞ」
上機嫌になりながらお茶を飲むネイサン。
終始笑み崩れる表情に誰もが目を疑いながら顔を引きつらせる。
そして内心では『この人誰!』と思っていた。
「それにしてもべっぴんになったのぉ」
「まぁ、お上手ですね」
「お世辞ではないぞ、祖国では辛い思いをしたであろうが…もう心配は要らん」
ぎゅっとエリーゼの手を握る。
「これからはわし等とのんびり暮らそうではないか」
「「「わし等!!」」」
ネイサンの言葉を聞き返そうとするも睨まれてしまって何も言えなくなる。
「そうじゃ、公にはわしの妻になるがな」
「何を考えているんですか!!」
真っ先に食って掛かったのはカイルだった。
「貴方はお歳をお考え下さい」
「姫は成人しているであろう?問題ない」
「大問題です!リゼ姫は16歳で貴方は何歳だと…歳が離れているにも限度が!」
貴族社会では愛妾などは若い女性が多い。
特に王や、王族に連なる者ならば後妻が孫ほど歳が離れていようともさして問題ない。
「既に妻は他界しておるからな。妾などということにはせん。リゼ姫を寵妃にとの声もあったがな」
「寵妃!!」
「当初はあの娘が嫁ぐ予定じゃったから、後宮に入れるつもりだったがな」
ユーフェミアを後宮のどこかに閉じ込めるか、領地に押し込むかのどちらかだった。
「じゃが、リゼ姫ならば歓迎じゃ」
手を撫でるネイサンにカイルの聞き手は剣を握りしめた。
「団長!落ち着け!」
「今すぐこの色ボケ爺を殺す」
「だからダメだって!!」
セクハラまがいなことをするネイサンを睨みつけ今にも斬りかかろうとしていた。
93
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
『胸の大きさで婚約破棄する王太子を捨てたら、国の方が先に詰みました』
鷹 綾
恋愛
「女性の胸には愛と希望が詰まっている。大きい方がいいに決まっている」
――そう公言し、婚約者であるマルティナを堂々と切り捨てた王太子オスカー。
理由はただ一つ。「理想の女性像に合わない」から。
あまりにも愚かで、あまりにも軽薄。
マルティナは怒りも泣きもせず、静かに身を引くことを選ぶ。
「国内の人間を、これ以上巻き込むべきではありません」
それは諫言であり、同時に――予告だった。
彼女が去った王都では、次第に“判断できる人間”が消えていく。
調整役を失い、声の大きな者に振り回され、国政は静かに、しかし確実に崩壊へ向かっていった。
一方、王都を離れたマルティナは、名も肩書きも出さず、
「誰かに依存しない仕組み」を築き始める。
戻らない。
復縁しない。
選ばれなかった人生を、自分で選び直すために。
これは、
愚かな王太子が壊した国と、
“何も壊さずに離れた令嬢”の物語。
静かで冷静な、痛快ざまぁ×知性派ヒロイン譚。
【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?
綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」
婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。
ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。
表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723)
【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19
【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+
2021/12 異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過
2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
四人の令嬢と公爵と
オゾン層
恋愛
「貴様らのような田舎娘は性根が腐っている」
ガルシア辺境伯の令嬢である4人の姉妹は、アミーレア国の王太子の婚約候補者として今の今まで王太子に尽くしていた。国王からも認められた有力な婚約候補者であったにも関わらず、無知なロズワート王太子にある日婚約解消を一方的に告げられ、挙げ句の果てに同じく婚約候補者であったクラシウス男爵の令嬢であるアレッサ嬢の企みによって冤罪をかけられ、隣国を治める『化物公爵』の婚約者として輿入という名目の国外追放を受けてしまう。
人間以外の種族で溢れた隣国ベルフェナールにいるとされる化物公爵ことラヴェルト公爵の兄弟はその恐ろしい容姿から他国からも黒い噂が絶えず、ガルシア姉妹は怯えながらも覚悟を決めてベルフェナール国へと足を踏み入れるが……
「おはよう。よく眠れたかな」
「お前すごく可愛いな!!」
「花がよく似合うね」
「どうか今日も共に過ごしてほしい」
彼らは見た目に反し、誠実で純愛な兄弟だった。
一方追放を告げられたアミーレア王国では、ガルシア辺境伯令嬢との婚約解消を聞きつけた国王がロズワート王太子に対して右ストレートをかましていた。
※初ジャンルの小説なので不自然な点が多いかもしれませんがご了承ください
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる