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⑤
しおりを挟む私に駆け寄ろうとする彼を邪魔する女。
何も持ってない癖に王命というだけで彼を手に入れた女。
「来てはだめだ!」
「でも!」
ルイス様は私の物だったのよ。
侯爵家の跡継ぎになり、私と夫婦となり幸せになるはずだったのに。
こんな貧乏で何もない女と夫婦にされたなんて。
でも今日限りで終わりだわ。
だってすべて元通りになるのだから。
今は邪魔な王がいるけど私が必ず王配にしてあげるわ。
「ルイス様…」
「王妃陛下、なんてお姿に…」
「見て。私は力を得たのよ。素敵でしょ?」
漆黒の髪も美しい。
以前よりもずっと妖艶になった私を見て愛でて欲しいわ。
こんなに美しい私を欲しくて溜まらないでしょう?
「どうして堕ちてしまったのか」
「え?」
何を言っているの?
私を憐れむような表情で何で?
どうして抱きしめてくれないの?
キスをしてくれないの?
どうして愛を囁いでくれないの?
何故そんな悲しい目をしている。
「貴女は聖女だったというのに…」
「何を言っているの?今の私は美しいでしょ?抱きたいと思うでしょ!」
手を伸ばそうとしたが、ルイス様は私を拒絶した。
「今の貴女は美しくありません…」
「何で!その薄汚い女なんかと比べ物にならないわ!私は美しいわ」
「我妻は美しいですよ。貴女よりもずっと」
「嘘よ」
何で嘘をつくの?
だってあの女はドレスだって貧相で髪の毛も艶やかじゃない。
手だって荒れているし、肌だって白くない。
「領民の為に炊き出しを行い、負傷した騎士の為に自分の私物を売り薬を買い、他人の為に尽くす私の妻はだれっよりも優しく強い…かつて私はエリーゼ様を女神と思いました。でも今の女神は我妻です」
「エリーゼ…」
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「何で…」
どうして皆はあんな役立たずの女を愛するの。
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「ナタリー…」
「あの方は優れた王女様です。恵みをもたらす素晴らしい方です!壊すことしかしない王族貴族とは違います!」
忌々しい。
この女も邪魔だわ。
壊してしまいたい。
「あの方は最後の王妃様です!貴女があの方を侮辱しないで!」
民草の分際で。
この私にこんな生意気な口を利くなんて万死に値するわ。
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