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2匹目の四天王

忘れ去られた悪役令嬢

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-side 悪役令嬢-



 アランが国王と勝ち目のないタイマンしていた頃、エミリーは泣いていた。


「なんで、なんで私が忘れ去られていますのおおー。」

 一緒に戦ったはずなのに、エミリーだけ王城に呼ばれなかったのだ。
 悲しきかな、悪役令嬢の宿命でもあるのだろう。
 自分の行った功績を、攻略キャラとヒロインに取られるという不遇な人生を歩むのは。


「こうなったら…。こうなったら、一人で四天王と戦いますわ。
 アラン様が使っていた“終焉の業火”という必殺技を特訓して覚えればできるはずですわ。そうですわ~。」

 悔しさをバネに、悪役令嬢は、某子ども向けサッカーアニメ顔負けの脳筋と熱血さで、必殺技を特訓することにした。
 そのうちアランに、「四天王ヤろうぜ!」
とか言い出すのかもしれない。


 その日から、エミリーは毎日特訓した。
 エミリーの場合、外の出ているだけで魔物が集まってくるので、レベル上げは簡単である。
 パワーアンクルを付けた分、筋力がとてつもない速度で上がった。


 そして、そこから1週間経った頃だった。

「ついに…ついに出来るようになりましたわ。“終焉のパンチ”これならいけますわ。」

 なぜか、魔力でなく筋力を増強してしまったことで、
 “終焉の業火”ではなく“終焉のパンチ”を身につけてしまったエミリーだっだが、それでも四天王を倒せると確信したようだ。


「でも、四天王ってどこにいるのでしょう?」

 エミリーは鍛えたがいいが、その筋力を活かせる場を考えていなかった。

「そうだわ!冒険者になって冒険すれば、いいんですわ。
 そうとなれば、早速冒険者登録しちゃいましょう。」

 この国では10歳から冒険者ギルドに登録をすることで冒険者になることができる。
 というわけで、学園内にある冒険者ギルドに行くことにした。


「これはこれは、エミリー嬢。ようこそおいでくださいました。
 私、ギルドマスターのマスターでございます。よろしくお願いいたします。」

 事前に連絡を入れていたため、ギルドマスターがお出迎えしてくれたようだ。

「よろしくお願いいたしますわ。さっそくですが、冒険者ギルドに登録したいですの。」

「かしこまりました。登録する前にエミリー様の能力を測りたいので、こちらへ来てください。」

 その後、エミリーは訓練場所に連れて行かれ、試験を受けさせられた。
 圧倒的なステータスだったため、Cランクスタートで合格したようだ。

「これで、四天王と戦うことができますわ。」

「四天王ですか…。
 そういえば、最近、王家の山で妙なことが起こっていると聞いたのですが、もしかしたらいるかもしれませんね。
 確証はできませんが。もしよろしければ、調査依頼に行きますか?
 魔物と戦う必要がない依頼なので、最初の依頼としては、悪くないでしょう。」

「そうですの?なら、まずは王家の山に行ってみますわ。」

「ご健闘をお祈りいたします。」

 ギルマスに見送られ、エミリーは王家の山に、調査に行くことにしたのであった。




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