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最初の四天王

必殺技使いたくなさすぎる

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-side アラン-



「うーん。先ほどまでとは違い、だいぶまともな敵になってきたような?」

「そうですわね。」

 4階層に降りてきたアランは、心なしかウィリアム達が苦戦していることに気づいた。

「あ、あの、アラン公爵閣下とエミリー様は戦わないのですか?あと、なぜ犬が一緒についてきているのでしょうか。」

 パシリッツ先生は真っ当な質問をする。

「え、そんなの決まってるではないですか。ウィリアム様達が私達よりも弱いので、鍛えて差し上げようと思ったのですわ。
 このワンちゃんはアラン様の従魔ですわ。可愛くて強いですの。」

 こちらも、至極真っ当に事実を答えるエミリー。ただし、真っ当な答えがいつでも他人を納得させるとは限らない。


「は、はあ。(どうせ嘘だろうけど、深入りしないでおこう。)」

 腐っても相手は上位貴族なので波風を立てたくないパシリッツはそのまま黙っていたのだった。


「絶対信じてないワン。
(そもそも、普通の貴族は仲良くしたい相手がいた時、相手の趣味を聞いて、自分も同じ話題で盛り上がれるように努力したり、流行りの装飾品類を買って話題作りをしたりするものだワン。

 だから、この世界で、『友達を作るために強くなるわオホホホ』と言っている変人貴族はエミリーくらいだワン。
 そんな変人だから、長いこと友達がずっといないで、これからもそうだと思われてワン。
 そんな時同じ思想を持っている変人《アラン》がエミリーの前に偶然現れてしまったのだワン。

 アランと仲良くなれたことで、エミリーは強さを求めて正解だったと余計に勘違いしてしまったワン。
 これから先、悲劇が悲劇を生む可能性があるワン。そうなる前に僕が助けるワン。)」


 ポータは運営から与えられた能力で彼らの記憶を読み取り、彼らのこれからを予測して、先回りして助けようというとした。
 ゲームのキャラ設定であるサポーター気質は残っているらしい。


 一方、それはウィリアム達も同じようで。


「ま、まずいっ。このままだったら。」

 ノアがピンチのようだ。


「ここは、俺に任せろ。

 必殺“王子様ストローク”」

 ギャアアアアアアア。

 王子が必殺技を使うと、魔物が次々と倒れる。


「ああ、そうか。確かレベルが一定に達すると、必殺技を使えるようになるんだっけ。
 確か俺にも使えたはずだ。待てよ、その後には…。」

 アランはあることを思い出し、複雑な顔をする。すると…。

「俺を王子だからとなめてると、火傷しちゃうよ」

 というセリフをウィリアムは特に恥ずかしげもなく言った。


「ああ、やっぱり。必殺技とセリフはセットだよな。やっぱり絶対使わない。」

 新たなトラウマを増やさないように、必殺技を封印しようと決めたアランであった。


 ともあれ、ウィリアムのお陰で4階層の魔物は全て消え去った。

「使いたくなさすぎるが、威力は確かなのか。使わないことを祈る。」

 盛大なフラグを立てて、この階層を突破したアランであった。




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