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第五章
クリスマス企画(エヴァン&レックス):前編
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本編はお休みです。
※これはまだ北の国で生活している前提のお話です※
「ジングルベル~ジングルベル~♪、~~~♪♪」
小さなアパートでタクミと二人、ケーキを用意して、雰囲気作りにクリスマスソングをスマホから流してみる。
豪華な食事ではないけれど、この日の為、スーパーで特売で売っていた七面鳥とケーキをテーブルの真ん中へ置いて、小さなツリーを飾った。
そうして部屋の明かりを消し、ケーキに蝋燭を灯して、キスを交わす。
サンタの赤い帽子をお互いに被り、プレゼントを渡しあうと、私はギュッとタクミへと抱きついた。
そのまませがむように深く深くキスを繰り返すと、重なるように体をあわせていった。
これは……12月24日、元の世界でタクミと過ごしたクリスマスの記憶。
彼の世界には……クリスマスなんてものはなく、恋人とクリスマスを過ごすのだと教えた時、彼は目を輝かせながらにツリーを飾り付けていたわ。
その姿は今でもはっきりと覚えている。
毎年彼と過ごせるのだと……そう信じていたあの頃。
でもそれは……突然になくなってしまった。
幸せな映像が薄れていく中、ハッと目覚め体を起こすと、そこは私に用意された豪華な部屋だった。
そっと辺りへ目を向けると、先ほど夢で見た私が暮らしていたアパートとは比べ物にならないほどに大きい。
どうして今更こんな夢を……?
彼との記憶が蘇るたびに、胸が張り裂けそうに苦しくなる。
楽しかった彼との思い出。
愛しい彼の姿……でももう彼はどこにもいない。
先ほど見た夢がまだ頭の中に残る中、私はその幸せな余韻に浸っていた。
暫くすると、トントンとノックの音に私は怠惰に体を起こすと、魔石へ触れ訪問者を確認する。
そこに映し出されたのは、ローブを着たエヴァンの姿だった。
あれ……魔法の訓練は今日お休みじゃなかったかしら……?
そんな疑問を抱きながらに私はとりあえず扉を開けてみると、彼は爽やかな笑みを浮かべていた。
「おはようございます。今日が何日かご存知ですか?」
「えっ、どうしたの突然!?……わからないわ。えーと、ここへきて数か月だから……あれ私いつ来たのかしら……」
ここへつなぎとめられるまで色々な事があったせいか……なかなか思い出せない。
「わからないのであれば構いません。それよりも今日のご予定は?」
「今日は……部屋にこもって魔法の練習をしようかと思っていたけれど……。何かあるのかしら?」
「いえ。では日没後、少しお時間を頂けませんか?」
エヴァンはそうにこやかに話すと、私はおずおずといった様子で頷いて見せた。
何だか……今日のエヴァンいつもと違うわ。
なんと言えばいいのか……。
恐る恐るにエヴァンの顔を見上げてみると、彼は笑みを浮かべたままに深く礼を見せる。
「それではまた日没後に迎えにきますね」
よくわからないままにコクリと頷くと、エヴァンは踵を返し、王宮の廊下を進んでいった。
一体どうしたのかしら……。
日没後に何が始まるの……?
そんな事を考えながらに魔法の訓練開始してみるが、集中できるはずもない。
私……何かやらかしたかしらね。
何だかエヴァンの様子がいつもと違ったし、また怒られるのかしら……。
恐ろしいわね……。
うんうんと頭を悩ませる中、気が付けばあっという間に日没になっていた。
ドキドキしながらに扉の前で待機していると、トンットンッとノックの音が部屋に響く。
私は慌てて扉を開けると、エヴァンは眉を顰めて私を見つめた。
「はぁ……いけません。どんな時でも外はちゃんと確認してください。私でなければどうするんですか?」
強い口調にビクッと肩を跳ねさせる中、ごめんなさいと頭を下げると、エヴァンは呆れた様子でため息をつく。
「とりあえず気を付けて下さいね。では行きましょうか」
「えっと……どこへ行くのかしら?」
そう恐る恐るに問いかけてみると、彼はニッコリと笑みを深めながらに私の手を取る。
そのまま導かれるように手を引かれると、私は口を閉ざし、彼の背を見つめる事しかできなかった。
王宮の廊下を進み、庭へと出るとそのままレックスの研究室へと進んでいく。
レックスのところへいくのかしら……?
でももしそうなら……どうして移転魔法を使わないのかしらね?
そんな事を考えながらにレックスの部屋の前へやってくると、エヴァンは私から手をサッと離した。
「ここで待っていて下さい」
エヴァンはそっと扉を開けると、そそくさと中へ入っていく。
その姿に首を傾げる中、暫くすると中から何やら話し声が耳に届いた。
何を言っているかはわからないけれど……どうやら揉めているようだ。
言い争う声に心配になりながらもじっと佇んでいると、ガチャと音と共に少しだけ扉が開く。
その隙間からエヴァンは手を差し出すと、私の手を握りしめた。
「目を閉じてください」
エヴァンの言葉に従うようにそっと瞼を下すと、暗闇が私を包んでいく。
何が起こるのか……ドキドキしながらにエヴァンの手を握り返すと、彼の温もりが伝わってきた。
※これはまだ北の国で生活している前提のお話です※
「ジングルベル~ジングルベル~♪、~~~♪♪」
小さなアパートでタクミと二人、ケーキを用意して、雰囲気作りにクリスマスソングをスマホから流してみる。
豪華な食事ではないけれど、この日の為、スーパーで特売で売っていた七面鳥とケーキをテーブルの真ん中へ置いて、小さなツリーを飾った。
そうして部屋の明かりを消し、ケーキに蝋燭を灯して、キスを交わす。
サンタの赤い帽子をお互いに被り、プレゼントを渡しあうと、私はギュッとタクミへと抱きついた。
そのまませがむように深く深くキスを繰り返すと、重なるように体をあわせていった。
これは……12月24日、元の世界でタクミと過ごしたクリスマスの記憶。
彼の世界には……クリスマスなんてものはなく、恋人とクリスマスを過ごすのだと教えた時、彼は目を輝かせながらにツリーを飾り付けていたわ。
その姿は今でもはっきりと覚えている。
毎年彼と過ごせるのだと……そう信じていたあの頃。
でもそれは……突然になくなってしまった。
幸せな映像が薄れていく中、ハッと目覚め体を起こすと、そこは私に用意された豪華な部屋だった。
そっと辺りへ目を向けると、先ほど夢で見た私が暮らしていたアパートとは比べ物にならないほどに大きい。
どうして今更こんな夢を……?
彼との記憶が蘇るたびに、胸が張り裂けそうに苦しくなる。
楽しかった彼との思い出。
愛しい彼の姿……でももう彼はどこにもいない。
先ほど見た夢がまだ頭の中に残る中、私はその幸せな余韻に浸っていた。
暫くすると、トントンとノックの音に私は怠惰に体を起こすと、魔石へ触れ訪問者を確認する。
そこに映し出されたのは、ローブを着たエヴァンの姿だった。
あれ……魔法の訓練は今日お休みじゃなかったかしら……?
そんな疑問を抱きながらに私はとりあえず扉を開けてみると、彼は爽やかな笑みを浮かべていた。
「おはようございます。今日が何日かご存知ですか?」
「えっ、どうしたの突然!?……わからないわ。えーと、ここへきて数か月だから……あれ私いつ来たのかしら……」
ここへつなぎとめられるまで色々な事があったせいか……なかなか思い出せない。
「わからないのであれば構いません。それよりも今日のご予定は?」
「今日は……部屋にこもって魔法の練習をしようかと思っていたけれど……。何かあるのかしら?」
「いえ。では日没後、少しお時間を頂けませんか?」
エヴァンはそうにこやかに話すと、私はおずおずといった様子で頷いて見せた。
何だか……今日のエヴァンいつもと違うわ。
なんと言えばいいのか……。
恐る恐るにエヴァンの顔を見上げてみると、彼は笑みを浮かべたままに深く礼を見せる。
「それではまた日没後に迎えにきますね」
よくわからないままにコクリと頷くと、エヴァンは踵を返し、王宮の廊下を進んでいった。
一体どうしたのかしら……。
日没後に何が始まるの……?
そんな事を考えながらに魔法の訓練開始してみるが、集中できるはずもない。
私……何かやらかしたかしらね。
何だかエヴァンの様子がいつもと違ったし、また怒られるのかしら……。
恐ろしいわね……。
うんうんと頭を悩ませる中、気が付けばあっという間に日没になっていた。
ドキドキしながらに扉の前で待機していると、トンットンッとノックの音が部屋に響く。
私は慌てて扉を開けると、エヴァンは眉を顰めて私を見つめた。
「はぁ……いけません。どんな時でも外はちゃんと確認してください。私でなければどうするんですか?」
強い口調にビクッと肩を跳ねさせる中、ごめんなさいと頭を下げると、エヴァンは呆れた様子でため息をつく。
「とりあえず気を付けて下さいね。では行きましょうか」
「えっと……どこへ行くのかしら?」
そう恐る恐るに問いかけてみると、彼はニッコリと笑みを深めながらに私の手を取る。
そのまま導かれるように手を引かれると、私は口を閉ざし、彼の背を見つめる事しかできなかった。
王宮の廊下を進み、庭へと出るとそのままレックスの研究室へと進んでいく。
レックスのところへいくのかしら……?
でももしそうなら……どうして移転魔法を使わないのかしらね?
そんな事を考えながらにレックスの部屋の前へやってくると、エヴァンは私から手をサッと離した。
「ここで待っていて下さい」
エヴァンはそっと扉を開けると、そそくさと中へ入っていく。
その姿に首を傾げる中、暫くすると中から何やら話し声が耳に届いた。
何を言っているかはわからないけれど……どうやら揉めているようだ。
言い争う声に心配になりながらもじっと佇んでいると、ガチャと音と共に少しだけ扉が開く。
その隙間からエヴァンは手を差し出すと、私の手を握りしめた。
「目を閉じてください」
エヴァンの言葉に従うようにそっと瞼を下すと、暗闇が私を包んでいく。
何が起こるのか……ドキドキしながらにエヴァンの手を握り返すと、彼の温もりが伝わってきた。
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