オメガバース~運命が導く愛~

マツユキ

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第一章 運命の出会い

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「海藤組って知っているか?」

「海藤組?…知らないな…有名なの?」

「はぁ…、あのな?海藤組は、堅気の奴でも知らない人はいないって程、有名な極道なんだよ!まぁ、知らない奴、ここにいますけどね!」

玲の眉間を指で小突きながら、達矢は呆れた様に言った

「まさか、お前の番が海藤組の組長だなんてなぁ…世間は狭いって、本当だったんだなぁ」

「そうか、晃さんって有名人なんだな!」

嬉しそうにそう言った玲に、達矢のため息は止まらない

「裏だけじゃなくて、表の世界でもデッカイ組織なんだよ。んで、そのトップの番が、お前な?」

「……うぇええ!!?そ、そうだったよ!晃さんの番って俺じゃんか!」

頬を染めて嬉しそうにしていたのが、一変して真っ青になっていく

「ったく。今頃かよ…」

そんな大物が自分の番だと言う事実に、玲の頭の中はどうしようで一杯だ

「お、俺―――平凡だよ?」

「なんで俺に言うんだよ!つか知っとるわ!」

「ほ、ほら、つ、妻はお、夫を支えないと、だろ?」

頬を染めて、照れた様に言う玲

「あぁ―…それで、平凡が出たわけね。でも、いいんじゃねぇの?お前、顔はすこぶる平凡だけど、それ以外はそんなに平凡じゃないしさ?」

「お前、それ褒めてんの?」

ジト目で達矢を見る玲に、

「え?最高の褒め言葉でしょ?」

当然の様に言う達矢に、

「そ、そうか」

なんだか複雑な気持ちを感じてしまう玲。そんな玲を見る事無く、達矢が呟くように言った

「しかし、海藤晃かぁ。すんげぇ大物捕まえたなぁお前…」

「うん。晃さんってな、すんごい美形で、しかもすんごい優しいんだよ。俺なんかが、晃さんの番で良いのかなって。嬉しいんだけど、申し訳ないって言うか」

それはお前だからだ、とは口が裂けても言えない達矢。なにせ、海藤晃と言う人物は、冷酷非道の悪魔と言われているからだ

海藤晃と優しさは、まず結びつく事はない。しかし、嫌煙する者は少数で、憧れ半数。しかも、超絶美形な事でも有名で、寄って来る者は数えきれない、とも言われている

暗い顔をして『だって、俺平凡だし』と言う玲に、ため息をつきながら達矢が言った

「お前な?いい加減そのしみったれた考えを止めろ。お前は人の人間性を、顔で決めんのか?」

達矢の言葉に、玲は俯き何も答えない

「恋愛だってそうだよ。顔が良くても性格最悪じゃ、元も子もねぇ。顔が平凡でも、性格が良い奴はモテてるよ。お前は悲観しすぎなんだよ。自分を悪く思いすぎてる。平凡って、良くも悪くも無いって事だろ?つまりは、普通。いいじゃねぇか、普通なんだから」

「お前、慰めてんのか貶してんのか、わかんねぇよ…」

達矢のストレート過ぎる言葉の刃が胸に突き刺さり、涙目になる玲なのであった

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