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第一章 運命の出会い
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達矢に、微妙な慰めを貰っていた玲は、思い出した様に言った
「あ、言わなきゃならない事があったんだった」
「ん?」
「俺、晃さんと一緒に住む事になったって言ったろ?。引っ越しも、もう済んでるんだよ、多分」
「多分って…どっちだよ!」
「いやな、晃さんの行動力って凄いんだよ。昨日、一緒に住む事が決まって、今日目が覚めたら、荷物が届くからって言われて。で、本当に届いた訳さ。だから、元の家の契約の事とか、心配なんだけど、なんか晃さん全部やってくれたみたいでさ。出来る男って感じで、凄いよな」
「まぁ、何となく予想はつく」
呆れた様に言う達矢。のん気なのか、鈍感なのか玲は感心している。一連の話を聞いて、達矢は冷やりとした物を感じた。今まで愛などとは無縁で生きて来たであろう晃の、玲に対する執着は、達矢が思っている以上だと言う事は、まず間違いない
現に、出会って一日なのに、既に同棲の準備は完了。囲う気満々の晃の行動が、恐ろしく思えてならない
達矢は、玲の事など微塵も心配はしていなかった。玲は幼馴染である達矢の事を、もの凄く信頼している。それ故に、玲が頼るのはいつも達矢だけだった
家族にも言えない事って、誰しも1つや2つはある
そして現状だ。番と出会った玲。それは良い事だ。だが、だからと言って玲が、何でも番を頼るとは思えなかった。必然的に、達矢を頼るだろう。そうなる事が分かるからこそ、心配でならないのだ。己の身が無事でいられるのかが
晃は話を聞くだけでも、玲に執着している事は、ありありと伝わってくる。玲を離す気などもうとう無いだろう。そして、これは晃だけに限らず、番は自分の番が、自分以外と仲良くする事を嫌う傾向にある。アルファは特にだ
玲の番は、晃である
(俺…生きていられるかな…)
哀愁を漂わせ始めた達矢を、大丈夫かこいつ?と言って、のん気にカフェオレを飲む玲
小突いてやろうかと、身を乗り出した時、玲のスマホが鳴った。スマホの画面を見て、慌てて電話に出る
『話は済んだのか?』
晃の低く優しい声が、玲の耳に。それだけで、幸せな気持ちで一杯になってしまう
「あ、はい。ちゃんと話せました」
『そうか。俺が迎えに行きたいんだが、仕事が抜けられそうになくてな。替わりを向かわせるから、先に家に帰ってろ』
「え!?そ、そんな、迎え何て良いですよ!一人で帰れますから!」
自分を迎えに来るだなんて、申し訳ないと思った玲は、慌てて断りを入れるが、
『―――玲。俺の言う通りにしてくれ。お前を一人にする事が、心配なんだ。分かるな?』
何処か悲しそうな声音の晃に、出会った時の事を思い出した玲は、晃の言う通りにする事にした。通話を終えて前を見ると、達矢がげんなりした顔をして、玲を見ていた
「な、なんだよ?」
「ラブラブなこって!」
「な!そ、そんなんじゃない!」
顔を真っ赤にして否定する玲だが、その顔はとても嬉しそうだった
「迎えが来るんだろ?ほら、とっとと行け」
シッシとする達矢に、玲は
「何だよその手は!と言うか、お前も一緒に、」
「ば、馬鹿野郎!お前一人で、お迎え待ってろ!」
「ど、怒鳴らなくてもいいだろう!?ったく、じゃぁ今日はありがとな。また連絡するよ」
じゃぁなー、と手を振りながらファミレスを出て行く玲
1人になった達矢は、これからの玲に対する自分の身の振りを、考え直さないといけないと、思うのであった
「あ、言わなきゃならない事があったんだった」
「ん?」
「俺、晃さんと一緒に住む事になったって言ったろ?。引っ越しも、もう済んでるんだよ、多分」
「多分って…どっちだよ!」
「いやな、晃さんの行動力って凄いんだよ。昨日、一緒に住む事が決まって、今日目が覚めたら、荷物が届くからって言われて。で、本当に届いた訳さ。だから、元の家の契約の事とか、心配なんだけど、なんか晃さん全部やってくれたみたいでさ。出来る男って感じで、凄いよな」
「まぁ、何となく予想はつく」
呆れた様に言う達矢。のん気なのか、鈍感なのか玲は感心している。一連の話を聞いて、達矢は冷やりとした物を感じた。今まで愛などとは無縁で生きて来たであろう晃の、玲に対する執着は、達矢が思っている以上だと言う事は、まず間違いない
現に、出会って一日なのに、既に同棲の準備は完了。囲う気満々の晃の行動が、恐ろしく思えてならない
達矢は、玲の事など微塵も心配はしていなかった。玲は幼馴染である達矢の事を、もの凄く信頼している。それ故に、玲が頼るのはいつも達矢だけだった
家族にも言えない事って、誰しも1つや2つはある
そして現状だ。番と出会った玲。それは良い事だ。だが、だからと言って玲が、何でも番を頼るとは思えなかった。必然的に、達矢を頼るだろう。そうなる事が分かるからこそ、心配でならないのだ。己の身が無事でいられるのかが
晃は話を聞くだけでも、玲に執着している事は、ありありと伝わってくる。玲を離す気などもうとう無いだろう。そして、これは晃だけに限らず、番は自分の番が、自分以外と仲良くする事を嫌う傾向にある。アルファは特にだ
玲の番は、晃である
(俺…生きていられるかな…)
哀愁を漂わせ始めた達矢を、大丈夫かこいつ?と言って、のん気にカフェオレを飲む玲
小突いてやろうかと、身を乗り出した時、玲のスマホが鳴った。スマホの画面を見て、慌てて電話に出る
『話は済んだのか?』
晃の低く優しい声が、玲の耳に。それだけで、幸せな気持ちで一杯になってしまう
「あ、はい。ちゃんと話せました」
『そうか。俺が迎えに行きたいんだが、仕事が抜けられそうになくてな。替わりを向かわせるから、先に家に帰ってろ』
「え!?そ、そんな、迎え何て良いですよ!一人で帰れますから!」
自分を迎えに来るだなんて、申し訳ないと思った玲は、慌てて断りを入れるが、
『―――玲。俺の言う通りにしてくれ。お前を一人にする事が、心配なんだ。分かるな?』
何処か悲しそうな声音の晃に、出会った時の事を思い出した玲は、晃の言う通りにする事にした。通話を終えて前を見ると、達矢がげんなりした顔をして、玲を見ていた
「な、なんだよ?」
「ラブラブなこって!」
「な!そ、そんなんじゃない!」
顔を真っ赤にして否定する玲だが、その顔はとても嬉しそうだった
「迎えが来るんだろ?ほら、とっとと行け」
シッシとする達矢に、玲は
「何だよその手は!と言うか、お前も一緒に、」
「ば、馬鹿野郎!お前一人で、お迎え待ってろ!」
「ど、怒鳴らなくてもいいだろう!?ったく、じゃぁ今日はありがとな。また連絡するよ」
じゃぁなー、と手を振りながらファミレスを出て行く玲
1人になった達矢は、これからの玲に対する自分の身の振りを、考え直さないといけないと、思うのであった
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