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第171話 ビルドVSアニキータ 前編
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「フン! ここがアプールという街か。なるほど、なかなか立派な外壁に守られているではないか」
アプールの街の北門を眺め、ビルドは得意のフロントダブルバイセップスを決める。北門側は草原が広がっておりとても見晴らしがいい。街から数百メートル離れているとはいえ、見つかっていもおかしくない距離である。
「ビルド、お前が雑兵など要らんなんて言うから俺とお前だけなんだが本当にいいのか?」
今この草原に立っているのは筋肉の塊ビルドと骸の悪魔ドレカヴァクのみである。ドレカヴァクもやろうと思えば大量のアンデッドを引き連れるくらいのことはできる。しかしビルドが望まなかったためそれさえもせずにアプールの街を攻めるつもであった。
「かまわん。アマラ様は死者が出てもいいとは仰ったが、信徒を増やすなら一人でも多いほうがいいからな。我ら2人だけの方が余計な死人を出さずに済む」
「そうか。で、どうするつもりだ?」
「ふん、決まっているだろう。漢は黙ってステゴロタイマンだ!」
そして意を決したようにズンズンと大きな歩幅で北門へ向かう。
「お、おい? なんだよそのステゴロタイマンてのは」
言葉の意味がわからずドレカヴァクはビルドを追う。しかしドレカヴァクの進むスピードに追い付けず、先にビルドが北門から数メートルの位置まで到達した。
「な、なんだ貴様は!」
街の番兵がビルドの接近に気づき槍を向ける。しかしビルドの異様な雰囲気に押されその身はガタガタ震えていた。
「我が名はビルド! 偉大なるニーグリンドの王アマラ様に使える大悪魔である。この国で一番強い奴を呼べ。この俺が叩き潰してくれるわ。ワーッハッハッハッ!」
ビルドは腰に手を当て得意げに名乗ると盛大な笑い声をあげる。
「あ、ああああ悪魔っ! ラ、ライミス様達を呼んできてくれ!」
「フハハハハ、いいぞ、待っていてやる」
番兵達がこの国の英雄の名を口にすると、ビルドは白い歯をキラリとさせて笑う。
「その必要はない」
すると門の奥からビルドに負けず劣らずのマッチョガイが姿を見せた。エストガレス最強のマッチョ、アニキータである。
アニキータは北門に出ると腕を組みビルドを見据えた。
その後ろからライミスやリオネッセにアレーテといった元勇士の紋章のメンバー達も出てくる。
「ほほう、これまた結構なお出迎えではないか。いいだろう、まとめてかかってくるがいい」
「おい! 勝手に話を進めてんじゃねぇ」
ようやく追いついたドレカヴァクがビルドに声をかける。ビルドの考え無しの先走りに少々怒りがこもっていた。
「なんだドレカヴァク。俺は戦いを楽しみたいんだ。手出しは無用だぞ?」
「わーったよ、好きにしろ」
ドレカヴァクはビルドに呆れたのかビルドから離れ、ドサッとあぐらをかいて座り込む。しかしライミス達の胸中は穏やかではいられなかった。
「ドレカヴァク、本当に復活していたのか」
「よぉ、ライミス。久しぶりだな。俺は手を出さねーから安心しろ。ま、お前らじゃこのビルドには勝てねーだろーしな」
ドレカヴァクはすっかりくつろいでいた。激戦が始まると思い駆けつけたライミス達としては毒気を抜かれた気分である。
「果たしてそうかな? 僕らだって何もしてこなかったわけじゃない」
「待ってもらおう。そこのビルドという大悪魔との勝負、この俺に預けてくれ」
ライミスが剣を抜くとアニキータが待ったをかけた。
「アニキータ、一人で戦うつもりか?」
「無論だ。相手は一人、しかも素手。そして何よりその筋肉! 紛いものではない輝きを放っている」
「ほほう、わかっているではないか。そういう貴様の筋肉も実に美しい! 殺すには惜しい漢よ」
アニキータが筋肉を褒めると、ビルドは白い歯を光らせてアニキータの筋肉を褒め返した。
「ビルドと言ったな。貴様の相手はこのアニキータがしてくれよう。ゆくぞ!」
アニキータはビルドを指差すと上着を脱ぎ捨て、背筋を伸ばし、広背筋を広げた。フロントリラックスポーズである。
「ぬうっ、なかなかやるではないか!」
ビルドは対抗するかのように息を吸い込んで大胸筋を広げ、フロントラットスプレッドのポーズをとる。
((こやつ、できる……!))
お互いの筋肉を見せ合い火花を散らす。そしてアニキータとビルドがお互いに歩み寄った。
「漢の喧嘩はステゴロタイマン。受けてくれるな?」
ビルドは自らの拳を見せ、勝負をもちかける。ビルドにはこのアニキータは絶対勝負に乗るという自信があった。
「言葉の意味はわからんが漢の喧嘩は素手で殴り合うものだ、ということだな? 面白い、受けて立とう!」
ビルドのステゴロタイマンの意味は知らなかったが、なんとなく察したアニキータであった。
「ハンデだ。先手をくれてやる」
気を良くしたビルドはアニキータに向かって左の頬を向け、殴れとばかりに人差し指でちょいちょいと促す。
体格的にはビルドの方がやや背が高い。つまりビルドの方が体重を乗せやすいということである。
「いい覚悟だ。ならば受けるがいい、我が究極の右を」
アニキータが右腕を引き、力を溜める。そして身体中の回転を連動させ、全力のパンチを放った。
「ギャラクティカマッスル!」
アニキータの拳がビルドの頬を打ち抜くと、ビルドは大きく仰け反った後にガクンと膝をつく。並みの人間なら間違いなく即死するレベルの剛拳である。
「いいパンチだぜ……!」
四つん這いになったビルドは口から出た血を拭い、その剛拳を褒め称える。素晴らしい強敵の出現にビルドはニヤケが止まらなかった。
「ほほう、あれに堪えるか、さすがだな。さぁ、次は貴様の番だ。かかってこい」
「クフフフフフ、フハハハハ! 一発で終わってくれるなよ?」
歓喜に震え、ビルドが笑う。そしてゆっくりと立ち上がると、拳を構えた。
「ゆくぞ! 筋肉弩剛拳!」
ビルドの体重を乗せた一発がアニキータの左頬を打ち抜く。その一撃でアニキータは斜め後ろに吹き飛ばされ、外壁にめり込んだ。ぶつけた外壁は崩れ、カラカラと石の落ちる音が虚しく響いた。
「ア、アニキータァァァッ!」
ライミスの絶叫がこだました。
アプールの街の北門を眺め、ビルドは得意のフロントダブルバイセップスを決める。北門側は草原が広がっておりとても見晴らしがいい。街から数百メートル離れているとはいえ、見つかっていもおかしくない距離である。
「ビルド、お前が雑兵など要らんなんて言うから俺とお前だけなんだが本当にいいのか?」
今この草原に立っているのは筋肉の塊ビルドと骸の悪魔ドレカヴァクのみである。ドレカヴァクもやろうと思えば大量のアンデッドを引き連れるくらいのことはできる。しかしビルドが望まなかったためそれさえもせずにアプールの街を攻めるつもであった。
「かまわん。アマラ様は死者が出てもいいとは仰ったが、信徒を増やすなら一人でも多いほうがいいからな。我ら2人だけの方が余計な死人を出さずに済む」
「そうか。で、どうするつもりだ?」
「ふん、決まっているだろう。漢は黙ってステゴロタイマンだ!」
そして意を決したようにズンズンと大きな歩幅で北門へ向かう。
「お、おい? なんだよそのステゴロタイマンてのは」
言葉の意味がわからずドレカヴァクはビルドを追う。しかしドレカヴァクの進むスピードに追い付けず、先にビルドが北門から数メートルの位置まで到達した。
「な、なんだ貴様は!」
街の番兵がビルドの接近に気づき槍を向ける。しかしビルドの異様な雰囲気に押されその身はガタガタ震えていた。
「我が名はビルド! 偉大なるニーグリンドの王アマラ様に使える大悪魔である。この国で一番強い奴を呼べ。この俺が叩き潰してくれるわ。ワーッハッハッハッ!」
ビルドは腰に手を当て得意げに名乗ると盛大な笑い声をあげる。
「あ、ああああ悪魔っ! ラ、ライミス様達を呼んできてくれ!」
「フハハハハ、いいぞ、待っていてやる」
番兵達がこの国の英雄の名を口にすると、ビルドは白い歯をキラリとさせて笑う。
「その必要はない」
すると門の奥からビルドに負けず劣らずのマッチョガイが姿を見せた。エストガレス最強のマッチョ、アニキータである。
アニキータは北門に出ると腕を組みビルドを見据えた。
その後ろからライミスやリオネッセにアレーテといった元勇士の紋章のメンバー達も出てくる。
「ほほう、これまた結構なお出迎えではないか。いいだろう、まとめてかかってくるがいい」
「おい! 勝手に話を進めてんじゃねぇ」
ようやく追いついたドレカヴァクがビルドに声をかける。ビルドの考え無しの先走りに少々怒りがこもっていた。
「なんだドレカヴァク。俺は戦いを楽しみたいんだ。手出しは無用だぞ?」
「わーったよ、好きにしろ」
ドレカヴァクはビルドに呆れたのかビルドから離れ、ドサッとあぐらをかいて座り込む。しかしライミス達の胸中は穏やかではいられなかった。
「ドレカヴァク、本当に復活していたのか」
「よぉ、ライミス。久しぶりだな。俺は手を出さねーから安心しろ。ま、お前らじゃこのビルドには勝てねーだろーしな」
ドレカヴァクはすっかりくつろいでいた。激戦が始まると思い駆けつけたライミス達としては毒気を抜かれた気分である。
「果たしてそうかな? 僕らだって何もしてこなかったわけじゃない」
「待ってもらおう。そこのビルドという大悪魔との勝負、この俺に預けてくれ」
ライミスが剣を抜くとアニキータが待ったをかけた。
「アニキータ、一人で戦うつもりか?」
「無論だ。相手は一人、しかも素手。そして何よりその筋肉! 紛いものではない輝きを放っている」
「ほほう、わかっているではないか。そういう貴様の筋肉も実に美しい! 殺すには惜しい漢よ」
アニキータが筋肉を褒めると、ビルドは白い歯を光らせてアニキータの筋肉を褒め返した。
「ビルドと言ったな。貴様の相手はこのアニキータがしてくれよう。ゆくぞ!」
アニキータはビルドを指差すと上着を脱ぎ捨て、背筋を伸ばし、広背筋を広げた。フロントリラックスポーズである。
「ぬうっ、なかなかやるではないか!」
ビルドは対抗するかのように息を吸い込んで大胸筋を広げ、フロントラットスプレッドのポーズをとる。
((こやつ、できる……!))
お互いの筋肉を見せ合い火花を散らす。そしてアニキータとビルドがお互いに歩み寄った。
「漢の喧嘩はステゴロタイマン。受けてくれるな?」
ビルドは自らの拳を見せ、勝負をもちかける。ビルドにはこのアニキータは絶対勝負に乗るという自信があった。
「言葉の意味はわからんが漢の喧嘩は素手で殴り合うものだ、ということだな? 面白い、受けて立とう!」
ビルドのステゴロタイマンの意味は知らなかったが、なんとなく察したアニキータであった。
「ハンデだ。先手をくれてやる」
気を良くしたビルドはアニキータに向かって左の頬を向け、殴れとばかりに人差し指でちょいちょいと促す。
体格的にはビルドの方がやや背が高い。つまりビルドの方が体重を乗せやすいということである。
「いい覚悟だ。ならば受けるがいい、我が究極の右を」
アニキータが右腕を引き、力を溜める。そして身体中の回転を連動させ、全力のパンチを放った。
「ギャラクティカマッスル!」
アニキータの拳がビルドの頬を打ち抜くと、ビルドは大きく仰け反った後にガクンと膝をつく。並みの人間なら間違いなく即死するレベルの剛拳である。
「いいパンチだぜ……!」
四つん這いになったビルドは口から出た血を拭い、その剛拳を褒め称える。素晴らしい強敵の出現にビルドはニヤケが止まらなかった。
「ほほう、あれに堪えるか、さすがだな。さぁ、次は貴様の番だ。かかってこい」
「クフフフフフ、フハハハハ! 一発で終わってくれるなよ?」
歓喜に震え、ビルドが笑う。そしてゆっくりと立ち上がると、拳を構えた。
「ゆくぞ! 筋肉弩剛拳!」
ビルドの体重を乗せた一発がアニキータの左頬を打ち抜く。その一撃でアニキータは斜め後ろに吹き飛ばされ、外壁にめり込んだ。ぶつけた外壁は崩れ、カラカラと石の落ちる音が虚しく響いた。
「ア、アニキータァァァッ!」
ライミスの絶叫がこだました。
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