【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ

文字の大きさ
177 / 188

第171話 ビルドVSアニキータ 前編

しおりを挟む
「フン! ここがアプールという街か。なるほど、なかなか立派な外壁に守られているではないか」
  
 アプールの街の北門を眺め、ビルドは得意のフロントダブルバイセップスを決める。北門側は草原が広がっておりとても見晴らしがいい。街から数百メートル離れているとはいえ、見つかっていもおかしくない距離である。

「ビルド、お前が雑兵など要らんなんて言うから俺とお前だけなんだが本当にいいのか?」 

 今この草原に立っているのは筋肉の塊ビルドと骸の悪魔ドレカヴァクのみである。ドレカヴァクもやろうと思えば大量のアンデッドを引き連れるくらいのことはできる。しかしビルドが望まなかったためそれさえもせずにアプールの街を攻めるつもであった。

「かまわん。アマラ様は死者が出てもいいとは仰ったが、信徒を増やすなら一人でも多いほうがいいからな。我ら2人だけの方が余計な死人を出さずに済む」
「そうか。で、どうするつもりだ?」 
「ふん、決まっているだろう。漢は黙ってステゴロタイマンだ!」

 そして意を決したようにズンズンと大きな歩幅で北門へ向かう。

「お、おい? なんだよそのステゴロタイマンてのは」

 言葉の意味がわからずドレカヴァクはビルドを追う。しかしドレカヴァクの進むスピードに追い付けず、先にビルドが北門から数メートルの位置まで到達した。

「な、なんだ貴様は!」

 街の番兵がビルドの接近に気づき槍を向ける。しかしビルドの異様な雰囲気に押されその身はガタガタ震えていた。

「我が名はビルド! 偉大なるニーグリンドの王アマラ様に使える大悪魔である。この国で一番強い奴を呼べ。この俺が叩き潰してくれるわ。ワーッハッハッハッ!」

 ビルドは腰に手を当て得意げに名乗ると盛大な笑い声をあげる。

「あ、ああああ悪魔っ! ラ、ライミス様達を呼んできてくれ!」
「フハハハハ、いいぞ、待っていてやる」

 番兵達がこの国の英雄の名を口にすると、ビルドは白い歯をキラリとさせて笑う。

「その必要はない」

 すると門の奥からビルドに負けず劣らずのマッチョガイが姿を見せた。エストガレス最強のマッチョ、アニキータである。

 アニキータは北門に出ると腕を組みビルドを見据えた。

 その後ろからライミスやリオネッセにアレーテといった元勇士の紋章のメンバー達も出てくる。

「ほほう、これまた結構なお出迎えではないか。いいだろう、まとめてかかってくるがいい」
「おい! 勝手に話を進めてんじゃねぇ」

 ようやく追いついたドレカヴァクがビルドに声をかける。ビルドの考え無しの先走りに少々怒りがこもっていた。

「なんだドレカヴァク。俺は戦いを楽しみたいんだ。手出しは無用だぞ?」
「わーったよ、好きにしろ」

 ドレカヴァクはビルドに呆れたのかビルドから離れ、ドサッとあぐらをかいて座り込む。しかしライミス達の胸中は穏やかではいられなかった。

「ドレカヴァク、本当に復活していたのか」
「よぉ、ライミス。久しぶりだな。俺は手を出さねーから安心しろ。ま、お前らじゃこのビルドには勝てねーだろーしな」

 ドレカヴァクはすっかりくつろいでいた。激戦が始まると思い駆けつけたライミス達としては毒気を抜かれた気分である。

「果たしてそうかな? 僕らだって何もしてこなかったわけじゃない」
「待ってもらおう。そこのビルドという大悪魔との勝負、この俺に預けてくれ」

 ライミスが剣を抜くとアニキータが待ったをかけた。

「アニキータ、一人で戦うつもりか?」
「無論だ。相手は一人、しかも素手。そして何よりその筋肉! 紛いものではない輝きを放っている」
「ほほう、わかっているではないか。そういう貴様の筋肉も実に美しい! 殺すには惜しい漢よ」

 アニキータが筋肉を褒めると、ビルドは白い歯を光らせてアニキータの筋肉を褒め返した。

「ビルドと言ったな。貴様の相手はこのアニキータがしてくれよう。ゆくぞ!」

 アニキータはビルドを指差すと上着を脱ぎ捨て、背筋を伸ばし、広背筋を広げた。フロントリラックスポーズである。

「ぬうっ、なかなかやるではないか!」

 ビルドは対抗するかのように息を吸い込んで大胸筋を広げ、フロントラットスプレッドのポーズをとる。

((こやつ、できる……!))

 お互いの筋肉を見せ合い火花を散らす。そしてアニキータとビルドがお互いに歩み寄った。

「漢の喧嘩はステゴロタイマン。受けてくれるな?」

 ビルドは自らの拳を見せ、勝負をもちかける。ビルドにはこのアニキータは絶対勝負に乗るという自信があった。

「言葉の意味はわからんが漢の喧嘩は素手で殴り合うものだ、ということだな? 面白い、受けて立とう!」

 ビルドのステゴロタイマンの意味は知らなかったが、なんとなく察したアニキータであった。

「ハンデだ。先手をくれてやる」

 気を良くしたビルドはアニキータに向かって左の頬を向け、殴れとばかりに人差し指でちょいちょいと促す。

 体格的にはビルドの方がやや背が高い。つまりビルドの方が体重を乗せやすいということである。

「いい覚悟だ。ならば受けるがいい、我が究極の右を」

 アニキータが右腕を引き、力を溜める。そして身体中の回転を連動させ、全力のパンチを放った。

「ギャラクティカマッスル!」

 アニキータの拳がビルドの頬を打ち抜くと、ビルドは大きく仰け反った後にガクンと膝をつく。並みの人間なら間違いなく即死するレベルの剛拳である。

「いいパンチだぜ……!」

 四つん這いになったビルドは口から出た血を拭い、その剛拳を褒め称える。素晴らしい強敵の出現にビルドはニヤケが止まらなかった。

「ほほう、あれに堪えるか、さすがだな。さぁ、次は貴様の番だ。かかってこい」
「クフフフフフ、フハハハハ! 一発で終わってくれるなよ?」

 歓喜に震え、ビルドが笑う。そしてゆっくりと立ち上がると、拳を構えた。

「ゆくぞ! 筋肉弩剛拳!」

 ビルドの体重を乗せた一発がアニキータの左頬を打ち抜く。その一撃でアニキータは斜め後ろに吹き飛ばされ、外壁にめり込んだ。ぶつけた外壁は崩れ、カラカラと石の落ちる音が虚しく響いた。

「ア、アニキータァァァッ!」

 ライミスの絶叫がこだました。
しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

処理中です...