チートなかったからパーティー追い出されたけど、お金無限増殖バグで自由気ままに暮らします

寿司

文字の大きさ
49 / 64

第47話 修羅場ってやつですか…?

しおりを挟む

「なるほど、つまりサクヤさんはただのお知り合いなんだ……」

「危ないところやったわ。お嬢さんが来なかったらもしかしたら襲われてたかもしれん」

「サクヤ! 」

 余計なことを言うなと俺が口を挟む。

「お、襲われる……」

 ルーナが俺のことをまるで獣を見るような目で見つめる。違う!!! まったくの誤解だ!! 俺は善良な一般男性なのだ。

「なんてな、ただの冗談や。ごく普通のお客と店主よ」

 ルーナはなぜかほっとしたように息をつく。

「そうなんだ。ごめん、私てっきり勘違いしてた」

「いや、すまない。誤解を与えるシーンを見せてしまった。しかしルーナはなぜここに? 避難してたんじゃないのか? 」

 するとルーナは顔を赤らめてえっ……と口をもごもごとさせる。

「……いや、その……」

「無闇に動き回るのは危ないぞ。いくらガーゴイルがもういないからと言って……」

「……はい、そうね。ちょっと迂闊だったわ」

 するとサクヤがストーップ!! と声をあげると、俺の耳元でヒソヒソと囁いた。

「駄目だわヨリ、女心ってものが分かってないわぁ。このお嬢さんはヨリのことが心配! で自分の身の危険も省みずに来てくれたんやろ? 」

「そ、そうなのか? でも俺のことなんて心配しなくても……」

 するとサクヤがはぁーーーと長くため息をつく。

「もう駄目や……救えん」

「え!? 救えんってどういうことだ!? 俺そんなに悪いことした? 」

 サクヤがやれやれと言ったように首を振った。
 するとその様子を見ていたルーナが頬を膨らませて少しだけ不機嫌そうに足を組み直す。

「仲良いんだね」

「そ、そうか? 別に普通だと思うが……」

「ふーん、そういう清楚な子が好きなんだ」

「せ、清楚!? 誰が!? 」

 俺は思わずキョロキョロと辺りを見回してしまう。シエルは別室ですやすや寝ているし、清楚な人物などこの部屋にいないような気がするが……。

 そのとき右足にずきんと痛みが走った。

「うちに決まっとるやろ! 」

 よく見ると、サクヤに思い切り足を踏まれているのではないか、俺。

「……いって! 」

「ここまで女心が分からん奴だとは見損なったわ! 」

 うんうんと頷くルーナ。女二人が集まると怖いな……。早く話題を変えなければボコボコにされてしまいそうだ。
 そう思った俺は半ば無理矢理、こう切り出した。
 
「そ、そうだ二人は初対面だろ? ここは自己紹介でも……」

 ま、それもそうやね。と同意してくれたのはサクヤの方だった。

「うちは流浪の行商人 サクヤ。肩に乗ってるちっこいのはセイヤ。よろしゅう」

「……ルーナ=レイモンド。近所で定食屋をやってるの。よろしく」

 サクヤの眉がぴくりと動いた。

「ふぅん、確かにこうして見るとベルグさんによう似とるわ」

 するとルーナの表情ががらりと変わり、サクヤに掴みかからんばかりに身を寄せた。

「パパを知ってるの!? 」

「知っとるよ。……やっぱりここはベルグさんの書斎やったんやね」

 それはつまりサクヤが探していたものはもうここにはないことを意味している。そのことを理解したらしい彼女は途端に表情を曇らせた。

「そうよ、でもサクヤさんは私とそんなに年は変わらないよね? 一体どういう関係で……? 」

「……ベルグさんはこの世界の神話を調べてたんよ。いやというより疑ってたという方が正しいかもしれん」

「疑っていた? 」

 思わず口を挟む俺。
 サクヤはこくりと頷いた。

「簡単に言えば女神テゼスについて調べていたんよ。その一貫でうちの住んでいた国に来た。そこで出会ったんよ」

「そうだったんだ……」

「うちの国はちょいと特殊でな、一風変わった神話を語り継ぐ民族やったん。おそらくベルグさんをそれを聞きに来たんやろね」

「一風変わった神話って? 」

「それは分からん。うちがそれを知る前に国が滅んでしまったからの。だからベルグさんだけがそれを知ってると思ってたんよ」

 淡々と語り続けるサクヤ。

「ただどうしてもベルグさんの足取りは掴めなくての、かなり寄り道をしてしもうた。でもやっとこうして娘さんに出会えたという訳や」

 ルーナはただ黙って話を聞いていた。
 しかし何か思うことがあるのか、迷うように視線を泳がせている。
 そしてあるとき、意を決したように口を開いた。

「……パパは誰かに追われていた」

「え? 」

「一応パパは仕事中に不慮の事故で亡くなった、と連絡が来たの。でも私は信じてない。……パパは殺されたんだ」

 それは随分物騒だ。流石のサクヤも怪訝そうに顔をしかめている。

「ふむ、なんでそう言い切れるん? 」

「別に証拠なんてない。ただ娘としての直感よ。ただ亡くなる直前にパパは私にこう言ったの。『僕はもうすぐいなくなるかもしれない、だからこの書斎だけはルーナが守ってくれ』って」

「え、そうなの!? 」

 そんな大事な場所を俺に売ってくれたの!?
 まさかの事実に流石の俺も驚きを隠せない。

「そしてこうも言っていたな。『お前は真実を知らなくても良い。でもどうしても知りたくなったときはここに来い、もう戻れなくなるかもしれないが……』って」

「真実? 戻れない? 」

 何だか物騒な単語ばかりが並んでいる。
 ベルグさんはやはり何かを知っていたのか?

 俺とサクヤは顔を見合わせ、首をかしげた。
しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

処理中です...