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第十章 妖精の少女
10ー12 ナギサイド
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カチュア達はアヴァルの街へ戻り、いつもの宿屋でアイラを休ませることに。
「……ここは?」
「気がついたのか!?」
アイラさんの目が開いた。
「ユンヌ?! いや、もしかして、ロゼッタか!?」
「初めてお会いしますね」
「僕側は何度か、会ったよ。まあ、ロゼッタが物心が付く前の話になるが。ユンヌお姉ちゃんの最後は見届けることは出来なかったな……」
「アイラ! 妾はそなたに……」
「どういうこと?」
「カチュアさんがあなたから、マリン様に対して強い殺意を感じていたみたいだ」
暴走したアイラは、マリン狙いだったな。マリンがアイラに、何かしらの恨みがあるのか気にしているんだな。知らぬ間にアイラを傷つけたかもしれないから。
「そっか。いや、マリンのせいではない」
「けど……」
「まったく、血縁なんて、切っても切れない絆って、見方がある一方、こういう時は、呪縛の見方をしてしまう」
「ということは、その敵意はマリンに向けられたたものではなく、マリンの血縁関係の者か?」
「そうだ。マリンの父だ」
「あなたと同じ、空の勇者の?」
「あいつのせいで、ユンヌお姉ちゃんは死んだものだ」
「お母さんは病気で死んだんじゃ」
「その病気は、ある魔物の毒を受けて悪化したんだ。まだ、悪帝の戦い時だ、あいつの軽率な行動で、ユンヌお姉ちゃんは魔物の襲撃で傷を負った。だけど、その魔物には毒が入っていたんだ。幸い、一命を取り留めたが、体力は低下。出産するにも厳しかった体だったんだ。ロゼッタ、あんたが生まれたのは、もはや、奇跡だった」
「それで、あんたは皇帝を」
「ああ、あいつは勇能力があるからって、調子に乗っていたんだろな」
アイラは憎悪を抱くような、怖い顔をしていた。
「まあ、それがあって、あいつと同じ力を使うのに、抵抗したんだ。圧倒的な力は、軽率な行動して、取り返しの着かない悲劇を産んでしまうから。今回のように」
「それ以外にも、使わなかった理由があったでしょ~?」
「カチュアには、隠せないか。勇能力を使うと、あいつに対しての、憎しみが強まるんだ。それが勇能力を使いたくない理由だ。もっとも」
アイラは腕を上げた。
「使えなくなった。恐らく、カチュアの蒼い炎だろう」
「あなたは使えなくっていいの?」
「あんなのは邪魔だ。それに分かっている。あいつだって、悪気があった行動じゃないんだ。恨むのは筋違いだ。勇能力が使えなくなった方が好都合だ。魔術を使うだけで、皆んなの足を引っ張ってしまう」
「でも、何で、勇能力を使うと、その憎しみが強まるの? ルナちゃんは分かる?」
「……いいえ。ただ、カチュアさんの蒼い炎のように、何かしらのリスクがあるように勇能力も何かしらのリスクがあると思います」
「それが憎しみなの?」
「その報告はないです。一応、勇能力のリスクがないか、研究はされていましたが、未だ判明していないです」
皆んなが悩んでいる中、カチュアは、人形から出ていたミラを見つめていた。ミラも悩んでいる様子はなく、カチュアが見つめているのに気づいたのか、ミラは目を背けていた。
マリンがアイラと付き添うこととなり、カチュア達はお部屋から出て、ルナの研究所へ入っていった。
エドナのことだ。
「エドナちゃんのことなんだけど」
「そっか、エドナ、あんたは何者か?」
「あたしは……エドナなんだよ」
名前を聞いているわけでは、ないんだが。
すると、ユミルがふっと、口を開いた。
「エドナさん。もしかして、あなたの耳は尖っているのでは?」
「何でわかったの?」
そう言えば、エドナの耳を見たことなかった。いつも、スカーフを頭に巻いていたり、お風呂でさえ、タオルを耳を隠すように巻いていたからだ。
「魔道具が無くっても、魔術が使える。そして、耳は尖っている。となると、エドナは妖精族か?」
「あたしが、妖精族?」
「そうなると、魔道具無しで魔術を使えるのは納得だ。彼女たちは魔道具なしで魔術が使える亜種だ」
聞く限り、妖精族は亜種の一種か。魔道具なしで魔術が使えるらしいな。でも、それなら、なんで、魔道具を装備していたんだ?
「だけど、それじゃあ、世に出すのは危険では?」
「耳がどうしたの? あたし、村長さんから、耳は決して見せないようにと言われていたんだよ。なんか、悪い人達が寄ってくるからって」
「本人には知らされていないのか」
「エドナさん。あなたが、耳が尖っているのは妖精族の証。そして、決して人前には出てはいけない。なぜなら、人間によって、狙われるから」
「……ここは?」
「気がついたのか!?」
アイラさんの目が開いた。
「ユンヌ?! いや、もしかして、ロゼッタか!?」
「初めてお会いしますね」
「僕側は何度か、会ったよ。まあ、ロゼッタが物心が付く前の話になるが。ユンヌお姉ちゃんの最後は見届けることは出来なかったな……」
「アイラ! 妾はそなたに……」
「どういうこと?」
「カチュアさんがあなたから、マリン様に対して強い殺意を感じていたみたいだ」
暴走したアイラは、マリン狙いだったな。マリンがアイラに、何かしらの恨みがあるのか気にしているんだな。知らぬ間にアイラを傷つけたかもしれないから。
「そっか。いや、マリンのせいではない」
「けど……」
「まったく、血縁なんて、切っても切れない絆って、見方がある一方、こういう時は、呪縛の見方をしてしまう」
「ということは、その敵意はマリンに向けられたたものではなく、マリンの血縁関係の者か?」
「そうだ。マリンの父だ」
「あなたと同じ、空の勇者の?」
「あいつのせいで、ユンヌお姉ちゃんは死んだものだ」
「お母さんは病気で死んだんじゃ」
「その病気は、ある魔物の毒を受けて悪化したんだ。まだ、悪帝の戦い時だ、あいつの軽率な行動で、ユンヌお姉ちゃんは魔物の襲撃で傷を負った。だけど、その魔物には毒が入っていたんだ。幸い、一命を取り留めたが、体力は低下。出産するにも厳しかった体だったんだ。ロゼッタ、あんたが生まれたのは、もはや、奇跡だった」
「それで、あんたは皇帝を」
「ああ、あいつは勇能力があるからって、調子に乗っていたんだろな」
アイラは憎悪を抱くような、怖い顔をしていた。
「まあ、それがあって、あいつと同じ力を使うのに、抵抗したんだ。圧倒的な力は、軽率な行動して、取り返しの着かない悲劇を産んでしまうから。今回のように」
「それ以外にも、使わなかった理由があったでしょ~?」
「カチュアには、隠せないか。勇能力を使うと、あいつに対しての、憎しみが強まるんだ。それが勇能力を使いたくない理由だ。もっとも」
アイラは腕を上げた。
「使えなくなった。恐らく、カチュアの蒼い炎だろう」
「あなたは使えなくっていいの?」
「あんなのは邪魔だ。それに分かっている。あいつだって、悪気があった行動じゃないんだ。恨むのは筋違いだ。勇能力が使えなくなった方が好都合だ。魔術を使うだけで、皆んなの足を引っ張ってしまう」
「でも、何で、勇能力を使うと、その憎しみが強まるの? ルナちゃんは分かる?」
「……いいえ。ただ、カチュアさんの蒼い炎のように、何かしらのリスクがあるように勇能力も何かしらのリスクがあると思います」
「それが憎しみなの?」
「その報告はないです。一応、勇能力のリスクがないか、研究はされていましたが、未だ判明していないです」
皆んなが悩んでいる中、カチュアは、人形から出ていたミラを見つめていた。ミラも悩んでいる様子はなく、カチュアが見つめているのに気づいたのか、ミラは目を背けていた。
マリンがアイラと付き添うこととなり、カチュア達はお部屋から出て、ルナの研究所へ入っていった。
エドナのことだ。
「エドナちゃんのことなんだけど」
「そっか、エドナ、あんたは何者か?」
「あたしは……エドナなんだよ」
名前を聞いているわけでは、ないんだが。
すると、ユミルがふっと、口を開いた。
「エドナさん。もしかして、あなたの耳は尖っているのでは?」
「何でわかったの?」
そう言えば、エドナの耳を見たことなかった。いつも、スカーフを頭に巻いていたり、お風呂でさえ、タオルを耳を隠すように巻いていたからだ。
「魔道具が無くっても、魔術が使える。そして、耳は尖っている。となると、エドナは妖精族か?」
「あたしが、妖精族?」
「そうなると、魔道具無しで魔術を使えるのは納得だ。彼女たちは魔道具なしで魔術が使える亜種だ」
聞く限り、妖精族は亜種の一種か。魔道具なしで魔術が使えるらしいな。でも、それなら、なんで、魔道具を装備していたんだ?
「だけど、それじゃあ、世に出すのは危険では?」
「耳がどうしたの? あたし、村長さんから、耳は決して見せないようにと言われていたんだよ。なんか、悪い人達が寄ってくるからって」
「本人には知らされていないのか」
「エドナさん。あなたが、耳が尖っているのは妖精族の証。そして、決して人前には出てはいけない。なぜなら、人間によって、狙われるから」
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