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媚薬の力 ※
しおりを挟む「ひぁあ、あ!」
何の慣らしもせず強引に入り込んでくる。
押しのけられた内側に、本来なら痛みと苦しみしかないはずなのに確かな快感が走った。声が、抑えられない。
「ああっ、あ……あぁ!」
「すげぇ……今日も、絡みついてくる」
鼻で笑いながらモーガンが一気に奥まで突き上げた。
最奥を突かれた衝撃に、私の背が反る。息が詰まる。体中を駆け抜けた痺れるような快感に、咥えた彼を締め付けた。
「ははっ、もう……イっちまったのかよ。まだ入れただけだぜ」
私の耳元に唇を寄せて、満足気な声で囁いた。
これで終わらせてくださいと……思う気持ちは声にならない。
彼の言葉が続く。
「さぁ、もっとおねだりしてみろよ」
「モ……モーガン……さま」
「言ってみろ」
「お願い……で、す……」
これ以上は……。
「わたし……を、きもちよく……して……ください」
切れ切れの息に交じって、彼が喜ぶ言葉を口にする。
ふふっ、と笑う声がうなじにかかった。
「大切な俺の片翼のお願いだ。聞き入れないわけにはいかないな」
そう呟くと同時に、一気に抜き差しを始めた。
いたわりの欠片もない乱暴な動き。だというのに、その乱暴さが気持ちよくて、私は喘ぎ声を止められない。
「は……ぁあ、あ、や……あ!」
「ここが気持ちいいんだろ?」
どこが、という場所なんかない。媚薬の力で彼が触れるすべてに快感が走り、シーツをきつく握りしめて声を上げる。
怖くて、悲しいと思う心を塗りつぶすかのように、快感の波が襲いかかってくる。
私自身は何度も達して、腹の下のシーツを白く汚していた。
「すげぇな、相変わらず。お前とヤると魔力も流れ込んでくる」
無意識なのだろう。
快感で制御を失っているせいで私の中の魔力が流れていく。それが酒に酔ったような、夢のような快感を相手にも与えるのだと、彼は笑いながら言っていたことがあった。
「ああっ! あ、そこを……」
「ここがいいんだよな」
抜き差しの感覚が短くなっていく。
彼は一度をゆっくり楽しむ、というタイプではない。挿入したなら一気に突き上げ早々に達してしまう。それで満足すれば事は終わるのだけれど、一度で済むということは無い。
「もっと声を上げろよ。気持ちいいと言いながら、心の中では別のことを考えているんだろ?」
私の心を見透かすように、彼が覆いかぶさり囁いてきた。
突き上げられ揺すられながら息を吐く。
「そのよう……な」
「俺のことだけ考えろ」
「ああっ! ひ、あ!」
「お前のすべては俺のものだ。体も、魔法も……心も、な?」
「……ぁあ!」
首筋に歯を立てる。
噛み切られそうな恐怖が襲い、それがまた快感となって彼を締め上げる。
「お前と契約した、主人のことだけ考えていろ」
「は、ああっ! あ、ああっ!」
「俺の名を呼べ、セシル」
彼が達しようとしている。
激しい突き上げに揺さぶられながら、私は涙を滲ませ声を漏らす。
「モーガン……さま……」
「そうだ。今の気持ちを言ってみろ」
「……モ……ガン、さま……き……」
快感で神経が焼き切れそうだ。
けれど言わなければ彼は満足してくれない。それどころか後でお仕置きを受けてしまう。
「言え、お前の考えていることを」
「き、気持ちいい……です、モーガンさま、ああっ……」
「ふふっ……」
「気持ちいい、気持ちいい……です、モーガンさま……あ、もっと!」
涙があふれる。
「もっと……可愛がって……くだ、さい……注いで……あなたの」
「ああ、たっぷりと注いでやるぜ……」
「ひ、あぁぁ!」
言うと二度三度と深く突き上げ、彼の動きが止まる。
体の中に熱いものが広がって、私は軽く痙攣しながら快感の波に震えていく。頭の芯がじんじんと痺れている。思考がほどけていく。
ただ……息をするだけで精一杯で……。
彼も軽く息を切らせながら、再び覆いかぶさりながら呟いた。
「気持ちよかっただろう? セシル」
「は、い……」
「もっと欲しいか?」
首を横に振りたい。
けれどそんな力もなく、それどころか媚薬の力が私に次の快感を求めるように、体の中を疼かせていく。
「……く、ださい……」
もっと、もっとください。
この疼きが収まるまで。
収まることなどないと分かっていても、彼が満足すれば置いて行かれるとわかっていても懇願する。
「お願い、もっと……きもちよく……して……」
「ふふっ……」
満足気な声で彼が笑う。
「本当にお前は、やらしい奴だな……」
囁いて、彼は私の中から抜くことなくまた動き始めた。
溢れた彼の精が押し出され音を立てる。それすらも耳に気持ちよくて、最初からこんなふうにされたかったのではないかと思えてくる。
再び波のように押し寄せる快感に声を上げた。
「ふぁあ……あ、ああっ……」
「まだまだ、可愛がってやるよ……セシル」
このまま欲望の中に堕ちてしまってもいい。
そう思う気持ちに飲み込まれながら、二度、三度と精を注がれ、気が付けは窓辺のロウソクは燃え尽きていた。
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