【本編完結】異世界の結界術師はたいせつな人を守りたい

鳴海カイリ

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第4章 たいせつな人を守りたい

143 準備するから待っていて ※

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 衣服を全部脱ぎ、ヴァンを待たせないようにさっと水を浴びて身体を清める。
 身に着けた物は首の守りの魔法石をつけたチョーカーだけ。
 この場所で使うことは無いかもしれない……と思いながらも用意していた潤滑液――ローションがわりになる液が入った小瓶と浄化の魔法石を持って、ベッドに戻った。

 ヴァンは相変わらず荒い息でベッドに横たわっている。
 眠ってはいないみたいだけれど意識は朦朧もうろうとしているみたいで、何度か名前を呼んでやっと俺の方に視線を向けた。

「ヴァン……大丈夫? 吐き気とか、ない?」
「……リク」

 名前だけ口にして、「大丈夫」と言うようにゆっくり瞼を伏せる。

「今、準備するね。待っていて」

 囁くように言ってから、俺はかけていたブランケットを取った。まだ、身体の中心ではガチガチになった猛りが反り返ったままでいる。
 普段なら多少は萎えているだろうに、魔力の暴走で熱が逃げられないでいるんだ。そう言えば俺も魔力が暴走した時は、似たような状態になっていた。

 ヴァンが楽な姿勢を取れるように背中にクッションを入れて、身体を少し起こす。

 まだ顔は熱い。
 熱さましの薬を飲ませていたはずなのに、効きが悪いみたいだ。
 俺は腰を跨ぐように膝をついて、ヴァンに向かい合った。
 カーテンの隙間から漏れる朝の光に、俺の姿は余すことなくヴァンの目の前にさらされているはずなのに、恥ずかしいというよりももっと見て欲しい……という気持ちの方が強い。

 俺は一度深呼吸してから、浄化の魔法石を手に下腹部に手を当て呪文を唱える。
 ヴァンを迎え入れるために体内を浄化する。
 この世界にはゴムなんて無いから、こうして魔法で浄化する以外に、湯で洗う……という方法しかない。ゲイブからやり方は聞いたことはあっても、なんだか怖くて、いつもヴァンに魔法で浄化してもらっていた。
 その時のやり方や手順を思い出し、落ち着いて、しっかりと浄化をしていく。

「リク……」
「ん、もぅ……少し……」

 ヴァンが手伝おうとするように手を伸ばした。
 それを俺はやんわりと遮る。
 魔法酔いと、体内の魔力が暴走した状態のヴァンに、余計な力を使わせたくない。

「俺、光と浄化の魔法は……得意、だから……」

 へへへ、と笑いながら答えて、このぐらいしっかり浄化すればいける、という感覚に下腹部から手を離した。すこし……緊張で身体がこわばっている。

 落ち着け。大丈夫だ。

 小瓶から潤滑液ローションを手のひらに取り出して、少し温めるようにしてからヴァンの猛りに塗っていく。ぬるぬるとしたそれをで根元から扱くように動かすと、ヴァンの唇から熱い息が漏れた。

「気持ち……いい?」

 口元が笑みの形になって、ヴァンの手のひらが俺の太ももを優しく撫でる。
 俺も笑い返しながら、片手でヴァンの陰茎を撫で上げ、もう片方で自分の後孔に指をやり、潤滑液ローションにまみれた指をさし入れた。
 そのままほぐすように深く挿し込んでいく。

「んっ……ぅ……」

 気持ちいい、というより違和感が強い。
 いつもヴァンの指だとあっという間にとろとろにされて、気持ちよく蕩けていくのに、やっぱり自分では上手くいかない。
 ヴァンを受け入れるために、ちゃんと準備、したいのに……。
 悔しい……。

「……リク、無理は……」

 俺の表情を見たのか、ヴァンが止めるように手を伸ばした。
 それに俺は首を横に振って、続ける。

「やらせて。ちゃんと……出来るから。見ていて……」

 自分の指を二本に増やして、ぐりぐりと中を広げていく。
 ヴァンの男性器はいつもよく太く、大きく感じる。ある程度しっかりほぐしておかないと切れてしまうし、ちゃんとヴァンを気持ちよくさせてあげることができない。イかせられない。
 ……そんなのは、嫌だ。

「んっ……は、ぁ……ん」

 潤滑液を足して、できるだけ深くまで指を抜き差ししているうちに声が漏れた。
 気持ちいい場所までは届かなくても、ヴァンでこの中を掻きまわすのだと想像するだけでぞくぞくしてくる。早く……挿れたい……。

「……ヴァン……」

 濡れた声が喉から漏れた。
 魅了の力が漏れる。コントロールが難しい。いっそ、魅了の力を使った方が、うまくいくだろうか……。俺にできる最大の魔法、で……。

「挿れる……よ」

 膝立ちになってヴァンの男性器を手に取り、そっと自分の後孔にあてがう。
 辛そうな呼吸のまま俺を見つめるヴァンが……太ももに熱い手を添えた。期待と不安でひくひくいっている孔から、とろり、と潤滑液がしたたり落ちてる。
 心臓が痛い。
 まるで初めての時のようにドキドキしながら、俺はゆっくりと腰を下ろしていく。

 ぬぷ、と入り口をヴァンの先端が割り開いた。

 いつもならそのまま簡単に飲み込んでいくのに、今日は抵抗が強い。
 俺のほぐしが足りなかったのか……ヴァンのが、大きすぎるのだろうか。

 嫌だ、と唇を噛む。

 迎え入れたい。収めたい。俺の身体でヴァンを包み込みたい。

 ひとつに、なりたい。

「ぁあ……ぁ……ぅ」

 ぐっ……ぐぐっ、と腰を下ろしていく。
 俺は喉を反らしながら、いつもより質量の増したそれを飲み込んでいく。熱い。燃える鉄の棒で串刺しになっていくようだ。けど……嬉しい。
 嬉しい。

 先端の一番太い部分をどうにか飲み込んで、一旦動きを止める。
 ヴァンの形に馴染むのを待ちながら、呼吸を整えた。ヴァンが労わるように、俺の太ももや腰を優しく撫でている。
 嬉しさに、じん、と胸が熱くなる……。

「は……ぁあ、ぁ……は……」

 汗がにじんでくる。
 熱と割り開かれる質量を感じながら、再び、ゆっくりと腰を落とし始めた。
 いつも俺が気持ちよくなる場所を通り過ぎて、奥まで、奥の奥まで飲み込んでいく。

「……深い」

 今まで、こんなに深くで飲み込んだことはあっただろうか。
 ベットの上、ヴァンの脇や肩の辺りに手をついて、四つん這いのようになる。

 嬉しさと苦しさと、切なさと……溢れるほどの愛しさに、目の奥が熱くなってくる。

「ヴァン……」

 腰を落としきって、騎乗位ときいたことのある形になった俺は、微笑みながら囁いた。

「はいった、よ……全部」
「うん……リク、のなか……うねっている」

 ヴァンが微笑み返した。





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