26 / 68
第一章:聖女から冒険者へ
25.初めての乗船
しおりを挟む
夜花祭が終わり、街は普段の装いを取り戻し始めていた。
そんな中、私達は新たな地へ向かうべく、船着き場へと来ていた。
「すごい……、船がいっぱい並んでる」
視界に船が映り込んでくると、私は目を輝かせるようにして呟いていた。
そこには大小さまざまな船が並び、港を埋め尽くすように並んでいたからだ。
こんな光景を目にするのは人生で初めてだったので、胸が昂ぶりつい興奮してしまう。
(これが港なんだ……)
貿易の街だけあって、シーライズの船着き場はとても広い。
そして、ちょうど夜花祭が終わったタイミングでもある為、撤収作業をして帰路に着く者達も多いのだろう。
港はいつもに増して賑やかで、船も人々も多く行き来しているようだ。
「ルナ、はしゃぎ過ぎじゃないか?」
「……っ」
傍からゼロの声が聞こえてきて、私はムスッとした顔を向けてしまう。
するとゼロはすぐに困った顔を見せてきたが、私は騙されないと言った様子で疑うような視線を送り続けていた。
「まだ根に持っているのか? いい加減、そんな顔するなよ。あのことは悪かったって散々謝っただろ? それに素直になれたのだから、ルナに取っては結果的に良かったんじゃないのか? イザナとも仲良くなれてさ」
「……っ、私、すごく恥ずかしかったんだからっ!」
思い出すとまた赤面してしまいそうになる。
ゼロは悪戯好きというか、悪意を持ってやっているわけではない所が、逆に厄介なのかも知れない。
「ルナの顔、少し赤いけど、もしかして思い出してにやけているのか?」
「ち、ちがっ……」
ゼロはニヤニヤとしながら私の顔を覗き込んできたので、咄嗟に否定しようとしていると突然横から手を引っ張られた。
私は驚いて自然とイザナの方に視線を向けた。
「ゼロ、ルナをいじめるのはその辺にしといてくれないか」
「……イザナ?」
私は突然のことに、きょとんとした視線をイザナに向けていた。
「悪い。少し悪ふざけが過ぎたな」
ゼロはイザナの言葉に素直に従い、それ以上意地悪なことは言ってこなかった。
(もしかして、ゼロに嫉妬……してる? とかは、さすがにないよね)
私はそんなことを内心考え、一人でドキドキしていた。
そしてゼロがからかうのを止めた後も、イザナの掌は私の指にしっかりと絡んでいる。
人前で手を繋ぐことはやっぱりまだ恥ずかしいけど、周囲にイザナにとっての一番は私なんだと伝えてくれているみたいで少し嬉しくもあった。
「そういえば、以前旅をしていた時は船は使わなかったな」
不意に、イザナは思い出すように呟いた。
「そうなのか? なら移動はどうしていたんだ?」
「移動は大体が馬だったな。大陸間の移動はしていなかったから船を使うことは無かったよ」
イザナが説明すると、ゼロは納得した様子で「なるほど」と呟いていた。
私は聖女としてこの世界に召喚された身ではあるが、あくまでイザナのいるベルヴァルト大国の民を守るために戦っていた。
その為、他の大陸には行ったことは無かったし、シーライズにも今回初めて訪れた。
ベルヴァルトはこの世界の三大国の一つであり、その中でも二番目に大きな大陸を保有している国だ。
この世界での移動は大体が馬になるので、私がいた現代とは違い移動にも多くの時間を取られてしまう。
そのこともあり、大陸を一周するのに三年も要してしまったというわけだ。
「私達が乗船する船はたしか……、向こうだな。ルナ、行こうか」
「うんっ!」
「相変わらず、二人は仲が良いねぇ」
「私達は夫婦だからね。当然だよ。それに、今のルナはどうやら船に夢中のようだから。転んだら危ないから手はしっかりと繋いでおかないとね」
(……っ!)
ゼロの言葉にハッとして、思わず顔を上げてしまう。
すると柔らかく微笑むイザナと瞳が合い、私は一人でまたドキドキしていた。
「イザナって結構過保護だよな。二人を見ていると、こっちの方が気恥ずかしくなってくるわ」
ゼロの言葉に私の頬は更に火照って行くような気がする。
この場で一番恥ずかしく思っているのは間違いなく私だ。
「そうか? 私は夫婦として当然の行動をしているつもりなんだけど……。ルナはどう思う?」
「……っ」
(どう思うって……、いきなり私に聞かないでっ!!)
突然話を振られて、私は顔を赤く染めながら困ったような表情を見せた。
正確には、答えられないから視線で訴えるしかなかった。
すると私達のやり取りを眺めていたゼロは、ははっと乾いた笑みを漏らした。
「ルナ、イザナはこういう人間だ。まあ、頑張れ」
「……っ!!」
ゼロは何かを悟ったかのように呟いた。
以前から何となく気付いていたけど、やっぱりイザナは何処か感覚がズレているような気がする。
突き放されるよりは全然嬉しいけど、慣れるまでは前途多難のようだ。
「私はルナを甘やかすのが好きだから、気にする必要はないよ。今は私がルナの目になっているから、好きなだけ船を眺めているといい。もうこの街も見納めだからね」
イザナは特に気にすることなく、サラリと答えていた。
彼の言うとおり、私は船に夢中になってしまっていたが、はっきりとそんな風に言われてしまうと照れてそれどころではなくなってしまう。
現に今も私の鼓動は、バクバクと激しくなりつつある。
(夫婦になるって、皆こんな感じなのかな。でも、ゼロの前だから、なんかすごく恥ずかしい……)
恥ずかしさが前に出て、私は聞こえていない振りでもするかのように海の方へと首を傾けていた。
***
それから少し歩いて船乗り場まで到着すると、私は驚きのあまり、これから乗るであろう船を二度見してしまった。
恐らく、この港内で一番大きな船なのだろう。
船体は真っ白に塗装され、、大きな帆が何枚も張られている。
なんていうか、私の良く知っている現代的な船とは大分違うが、ファンタジー世界に出てくる船そのもののように見えて思わず感動してしまった。
まさに、これぞ異世界に来たという感覚なのだろう。
「お、この船か。でかいな」
「……すごい。イザナ、すごいよ。この船!」
私は興奮気味に答えると、暫くの間、船の魅力に惹き付けられ目が釘付けになっていた。
(まさにファンタジー世界って感じがする……。これからこの船に乗るんだ。どうしよう、すごく興奮してきた!!)
「はしゃいでるルナも可愛いな。ちなみに、ここから北の大陸までは、予定では二週間程度の航海になる。飛空艇の方が早く着くけど、旅を急いでる訳では無いからね。たまにはのんびりと船旅を楽しむのもいいかと思って。ルナは初めてのようだし、その喜んでいる姿を見る限り、船にして正解だったかな」
「うんっ! すごく良いと思う。イザナ、ありがとう!」
私の声は、ここに来てからずっと弾んだままだ。
そんな私の様子を見て、イザナも満足そうな顔を浮かべていた。
(飛空艇もいつか乗ってみたいな……。この世界、中々いいかもっ!)
「そろそろ乗船しようか。ルナ、思い残すことはない?」
「うん。大丈夫」
私が答えると、そのまま乗船することになった。
船に乗り込みデッキの上に立つと、私は最後にシーライズを一望した。
「北の国はこことは真逆で寒いから、着いたらシーライズが恋しくなるかもな」
私がシーライズの街並みを眺めていると、ゼロは冗談ぽく言った。
「そんなに寒いの?」
「ルナはまだ行ったことが無いから分からないと思うけど、相当寒いぞ。気温差が激しいから、体調を崩すものも少なくないくらいだ」
「そんなに……」
イザナにも寒いのは覚悟しておくようにと言われていたので、到着したら着替える為の服は事前に購入しておいた。
便利な事に、この世界には異空間に入れておける収納ボックスという物が存在している。
服など嵩張る物を収納ボックスに入れておけば、好きな時にすぐに取り出すことが出来る。
見た目は小型のバッグや手提げが多く、大型の荷物を持っていたとしても、普段は手ぶらでいられるというなんとも便利アイテムなのだ。
私も何着か買った服をその収納ボックスの中にしまっている。
私は息を大きく吸い込んだ。
(シーライズ、ありがとーっ!!)
私は心の中で大きくそう叫ぶ。
ここに来てからイザナと再会して、私の人生は大きく動き出した。
大好きだったイザナと、漸く心を通わせることが出来た。
ここシーライズは、私にとっては思い出の街となることだろう。
そんな中、私達は新たな地へ向かうべく、船着き場へと来ていた。
「すごい……、船がいっぱい並んでる」
視界に船が映り込んでくると、私は目を輝かせるようにして呟いていた。
そこには大小さまざまな船が並び、港を埋め尽くすように並んでいたからだ。
こんな光景を目にするのは人生で初めてだったので、胸が昂ぶりつい興奮してしまう。
(これが港なんだ……)
貿易の街だけあって、シーライズの船着き場はとても広い。
そして、ちょうど夜花祭が終わったタイミングでもある為、撤収作業をして帰路に着く者達も多いのだろう。
港はいつもに増して賑やかで、船も人々も多く行き来しているようだ。
「ルナ、はしゃぎ過ぎじゃないか?」
「……っ」
傍からゼロの声が聞こえてきて、私はムスッとした顔を向けてしまう。
するとゼロはすぐに困った顔を見せてきたが、私は騙されないと言った様子で疑うような視線を送り続けていた。
「まだ根に持っているのか? いい加減、そんな顔するなよ。あのことは悪かったって散々謝っただろ? それに素直になれたのだから、ルナに取っては結果的に良かったんじゃないのか? イザナとも仲良くなれてさ」
「……っ、私、すごく恥ずかしかったんだからっ!」
思い出すとまた赤面してしまいそうになる。
ゼロは悪戯好きというか、悪意を持ってやっているわけではない所が、逆に厄介なのかも知れない。
「ルナの顔、少し赤いけど、もしかして思い出してにやけているのか?」
「ち、ちがっ……」
ゼロはニヤニヤとしながら私の顔を覗き込んできたので、咄嗟に否定しようとしていると突然横から手を引っ張られた。
私は驚いて自然とイザナの方に視線を向けた。
「ゼロ、ルナをいじめるのはその辺にしといてくれないか」
「……イザナ?」
私は突然のことに、きょとんとした視線をイザナに向けていた。
「悪い。少し悪ふざけが過ぎたな」
ゼロはイザナの言葉に素直に従い、それ以上意地悪なことは言ってこなかった。
(もしかして、ゼロに嫉妬……してる? とかは、さすがにないよね)
私はそんなことを内心考え、一人でドキドキしていた。
そしてゼロがからかうのを止めた後も、イザナの掌は私の指にしっかりと絡んでいる。
人前で手を繋ぐことはやっぱりまだ恥ずかしいけど、周囲にイザナにとっての一番は私なんだと伝えてくれているみたいで少し嬉しくもあった。
「そういえば、以前旅をしていた時は船は使わなかったな」
不意に、イザナは思い出すように呟いた。
「そうなのか? なら移動はどうしていたんだ?」
「移動は大体が馬だったな。大陸間の移動はしていなかったから船を使うことは無かったよ」
イザナが説明すると、ゼロは納得した様子で「なるほど」と呟いていた。
私は聖女としてこの世界に召喚された身ではあるが、あくまでイザナのいるベルヴァルト大国の民を守るために戦っていた。
その為、他の大陸には行ったことは無かったし、シーライズにも今回初めて訪れた。
ベルヴァルトはこの世界の三大国の一つであり、その中でも二番目に大きな大陸を保有している国だ。
この世界での移動は大体が馬になるので、私がいた現代とは違い移動にも多くの時間を取られてしまう。
そのこともあり、大陸を一周するのに三年も要してしまったというわけだ。
「私達が乗船する船はたしか……、向こうだな。ルナ、行こうか」
「うんっ!」
「相変わらず、二人は仲が良いねぇ」
「私達は夫婦だからね。当然だよ。それに、今のルナはどうやら船に夢中のようだから。転んだら危ないから手はしっかりと繋いでおかないとね」
(……っ!)
ゼロの言葉にハッとして、思わず顔を上げてしまう。
すると柔らかく微笑むイザナと瞳が合い、私は一人でまたドキドキしていた。
「イザナって結構過保護だよな。二人を見ていると、こっちの方が気恥ずかしくなってくるわ」
ゼロの言葉に私の頬は更に火照って行くような気がする。
この場で一番恥ずかしく思っているのは間違いなく私だ。
「そうか? 私は夫婦として当然の行動をしているつもりなんだけど……。ルナはどう思う?」
「……っ」
(どう思うって……、いきなり私に聞かないでっ!!)
突然話を振られて、私は顔を赤く染めながら困ったような表情を見せた。
正確には、答えられないから視線で訴えるしかなかった。
すると私達のやり取りを眺めていたゼロは、ははっと乾いた笑みを漏らした。
「ルナ、イザナはこういう人間だ。まあ、頑張れ」
「……っ!!」
ゼロは何かを悟ったかのように呟いた。
以前から何となく気付いていたけど、やっぱりイザナは何処か感覚がズレているような気がする。
突き放されるよりは全然嬉しいけど、慣れるまでは前途多難のようだ。
「私はルナを甘やかすのが好きだから、気にする必要はないよ。今は私がルナの目になっているから、好きなだけ船を眺めているといい。もうこの街も見納めだからね」
イザナは特に気にすることなく、サラリと答えていた。
彼の言うとおり、私は船に夢中になってしまっていたが、はっきりとそんな風に言われてしまうと照れてそれどころではなくなってしまう。
現に今も私の鼓動は、バクバクと激しくなりつつある。
(夫婦になるって、皆こんな感じなのかな。でも、ゼロの前だから、なんかすごく恥ずかしい……)
恥ずかしさが前に出て、私は聞こえていない振りでもするかのように海の方へと首を傾けていた。
***
それから少し歩いて船乗り場まで到着すると、私は驚きのあまり、これから乗るであろう船を二度見してしまった。
恐らく、この港内で一番大きな船なのだろう。
船体は真っ白に塗装され、、大きな帆が何枚も張られている。
なんていうか、私の良く知っている現代的な船とは大分違うが、ファンタジー世界に出てくる船そのもののように見えて思わず感動してしまった。
まさに、これぞ異世界に来たという感覚なのだろう。
「お、この船か。でかいな」
「……すごい。イザナ、すごいよ。この船!」
私は興奮気味に答えると、暫くの間、船の魅力に惹き付けられ目が釘付けになっていた。
(まさにファンタジー世界って感じがする……。これからこの船に乗るんだ。どうしよう、すごく興奮してきた!!)
「はしゃいでるルナも可愛いな。ちなみに、ここから北の大陸までは、予定では二週間程度の航海になる。飛空艇の方が早く着くけど、旅を急いでる訳では無いからね。たまにはのんびりと船旅を楽しむのもいいかと思って。ルナは初めてのようだし、その喜んでいる姿を見る限り、船にして正解だったかな」
「うんっ! すごく良いと思う。イザナ、ありがとう!」
私の声は、ここに来てからずっと弾んだままだ。
そんな私の様子を見て、イザナも満足そうな顔を浮かべていた。
(飛空艇もいつか乗ってみたいな……。この世界、中々いいかもっ!)
「そろそろ乗船しようか。ルナ、思い残すことはない?」
「うん。大丈夫」
私が答えると、そのまま乗船することになった。
船に乗り込みデッキの上に立つと、私は最後にシーライズを一望した。
「北の国はこことは真逆で寒いから、着いたらシーライズが恋しくなるかもな」
私がシーライズの街並みを眺めていると、ゼロは冗談ぽく言った。
「そんなに寒いの?」
「ルナはまだ行ったことが無いから分からないと思うけど、相当寒いぞ。気温差が激しいから、体調を崩すものも少なくないくらいだ」
「そんなに……」
イザナにも寒いのは覚悟しておくようにと言われていたので、到着したら着替える為の服は事前に購入しておいた。
便利な事に、この世界には異空間に入れておける収納ボックスという物が存在している。
服など嵩張る物を収納ボックスに入れておけば、好きな時にすぐに取り出すことが出来る。
見た目は小型のバッグや手提げが多く、大型の荷物を持っていたとしても、普段は手ぶらでいられるというなんとも便利アイテムなのだ。
私も何着か買った服をその収納ボックスの中にしまっている。
私は息を大きく吸い込んだ。
(シーライズ、ありがとーっ!!)
私は心の中で大きくそう叫ぶ。
ここに来てからイザナと再会して、私の人生は大きく動き出した。
大好きだったイザナと、漸く心を通わせることが出来た。
ここシーライズは、私にとっては思い出の街となることだろう。
0
お気に入りに追加
2,459
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)
【完結済】姿を偽った黒髪令嬢は、女嫌いな公爵様のお世話係をしているうちに溺愛されていたみたいです
鳴宮野々花@初書籍発売中【二度婚約破棄】
恋愛
王国の片田舎にある小さな町から、八歳の時に母方の縁戚であるエヴェリー伯爵家に引き取られたミシェル。彼女は伯爵一家に疎まれ、美しい髪を黒く染めて使用人として生活するよう強いられた。以来エヴェリー一家に虐げられて育つ。
十年後。ミシェルは同い年でエヴェリー伯爵家の一人娘であるパドマの婚約者に嵌められ、伯爵家を身一つで追い出されることに。ボロボロの格好で人気のない場所を彷徨っていたミシェルは、空腹のあまりふらつき倒れそうになる。
そこへ馬で通りがかった男性と、危うくぶつかりそうになり──────
※いつもの独自の世界のゆる設定なお話です。何もかもファンタジーです。よろしくお願いします。
※この作品はカクヨム、小説家になろう、ベリーズカフェにも投稿しています。
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる