ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森

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第三章

3-49

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 まさかの、公衆の面前での抱擁に、

((((のぉおっ!?))))

 ギョッとするラディッシュ、ドロプウォート、ニプル、ハクサン。
 そんな四人を尻目に、

「心優しいお嬢が気持ち悪い訳ぇ、ねぇじぁねっスかぁ」

 パストリスも、一瞬は驚きはしたものの、

「そう言ってもらえてぇ嬉しいのでぇす」

 抱き締められたまま安堵の声を返したが、その「声の色」は、あくまで「仲間としての色」。
 それが分かるだけにターナップは、
(いつか……いつかこんな風に、お嬢の心まで抱き締められたら……)
 嫉妬、悔しさ、願い、一言で言い表せない感情で抱いていると、

『『いつまで抱き付いている(のさ・ですの)っ!』』

 ドロプウォートとニプルが、ターナップの首根っこ掴んで引き剥がし、
「あっ、あははは、もぅし訳ねぇっスぅ♪」
 笑顔を見せた途端、

『ぱっ、パストちゃん、ぼくにぃわぁ?!!!』

 例の人物が。
 鼻息荒く、下心丸出しの満面の笑顔で両腕を広げ、
「えぇっ………」
 優しき笑顔のまま、ドン引くパストリス。
 固まった笑顔のまま後退り、すかさずドロプウォートとニプルが、身を挺して護る様に割って入って、

『『子供が出来たら(どうしますのォ・どうすんのさァ)!』』
「ちょ、ちょっとちょっと二人ともぉ! ぼくぉ何だと思ってるのさぁ!」

 憤慨するハクサンに、仲間たちは声を揃えて、

「「「「「種蒔き男ぉ」」」」」

 過去に「その手の女性問題」で、数々の迷惑をこうむったのを暗に批判すると、
(!)
 本人も身に覚えが「数え切れない程」あるだけに、
(…………)
 しばし黙った後、何事も無かった顔して、

『茶番はこれ位にして、そろそろ始めようかぁ』

(((((はぐらかしたぁ)))))

 思わず心でツッコム、ラディッシュ達。
 とは言え、いつまでも話し込んでいる場合で無いのは事実であり、先発のラディッシュは気持ちを切り替えるが如く深呼吸。
 襟を正し、責任を自覚し、

(よしっ!)

 横たえるプルプレアの胸に両手をかざすと、意識を彼女の中枢に極限まで集中、
(行くぞ!)
 思った矢先、

『どさくさ紛れにオッパイ触っちゃダメだよぉ』

 ハクサン真顔のツッコミに、
(((((ッ!?)))))
 思わずコケる、ラディッシュと仲間たち。
 同人誌作業で学んだ知識から、言語は違えど何を指しているか瞬時に理解し、

『オメェってヤツぁあぁヨォォォォオオオォ!』

 怒髪冠を衝くが如く、怒るターナップ。
 ドロプウォート、パストリス、ニプルの女子三人も「仁王の様な顔」して、

「「「今言う冗談では(ナイデショ・ナイナノデェス・ナァイサァ)ッ!」」」

 怒り露わに睨み、そんな仲間たちを前にハクサンは、
「あは、あは、あはははは、場の空気を和ませよぅと思ってぇ♪」
 笑って誤魔化そうとしたが、

『『『『『…………』』』』』

 冗談で済ませてくれなそうな空気に、
(ノリが悪いなぁ~)
 呟きに、

「「「「「何かァ?!」」」」」
「いいえ! 大人しくしてまぁ~すぅ。お口にチャックぅ♪」
「「「「…………」」」」

 怒りの収まらないターナップと女子三人は、わざとらしい程の「すまし顔」を睨んだが、先陣のラディッシュは苦笑しながらも、
「ふぅ~」
 呼吸と気持ちを整え直し、再度、意識を集中、

≪我がチカラァ! 内なる天世のチカラを今ここにィ!≫

 白き輝きでその身を包み、
(戻って来て、プレアさぁん!)
 プルプレアの全身をも「白き輝き」で包み込み、

(意識を集中ぅ! プレアさんの中に「核」を作るイメージでぇ!)

 更なる輝きを放った途端、
『もぅイイよぉ♪』
「えっ?!」
 ツンのめるラディッシュ。

 これからと言う矢先の、ハクサンの歌う様な制止声に、

「もっ、もうイイのぉ???」

 キョトン顔で天法を解除すると、彼は笑いながら、
「このまま注ぎ続けたら「ラディのチカラ」だけで、いっぱいになっちゃうからね。それに」
「それに?」
「天世やら地世やら、みんなの、色々なチカラが合わさって生み出された方が「新たな彼女の誕生」に繋がるし」
(そ、そう言うモノ……なんだぁ?)
 些かの「腑に落ちなさ」を残している中、ハクサンは、

(その方が面白いしぃね♪ さぁ~てぇ何が生まれるのかなぁ♪ 怒られそうだから言わないけどぉ♪)

 腹の中の実験気分は一応口にせず、

「次はドロプちゃん、いってみようかぁ♪」

『誰が「ドロプちゃん」でぇすの!』

 以前に彼から受けた「侮蔑扱い」も含め、馴れ馴れしい物言いにムッとしつつ、
(いけませんですわ。今は怒りを静め、プルプレアの為に「全力で集中」ですわ)
 気持ちを切り替え、プルプレアに両手をかざし、

≪我、天世より授かりし恩恵を以て、≫

 その身を白銀の輝きに包み、

≪眼前の友を救わん!≫
(ラディの作った核に注ぎ込む感じで、ですわぁ!)

 彼女の体をも白銀の輝きで包み込むや否や、ラディッシュより短い時間で、
「はいオッケー♪ 次はタープくぅん、行ってみよぅかぁ♪」
『誰が「タープくぅん」かぁ! 気持ちワリィからぁその呼び方は止めろぉ』
 蕁麻疹でも背中に出たかのような顔するターナップもプルプレアに手をかざし、終わると次はニプル、そして惑うパストリスと続き、比率的に少し長めに彼女が「地世のチカラ」を注ぎ込むさ中、ハクサンは、
「…………」
 プルプレアの容態に思いを寄せる仲間たちを横目に、
(ごめんねぇみんなぁ)
 誰も気付けない程の「微かな不敵な笑み」を浮かべ、
(天世に気付かれない様に「術を施してある」なんて、真っ赤な嘘なのさぁ♪ だから、きっと、今ごろ元老院はぁ、クックックッ♪)
 歪んだ感情で思い馳せていた、その時、

『中世に「特異点が発生した」とはぁどう言う事なのぉかァアァ!』

 声を荒げるのは古代ギリシアの賢人を彷彿とさせる、白きローブを纏った元老院が一人。
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