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するとラミウムが、
「確かに「難儀な話」だがぁ」
悪い企み顔して、
「ソレだけじゃないだろぉさね?」
からかいを多分に含んだ物言いに、
「どう言う事???」
「こっ、この話は御仕舞いですわぁ! ワタクシぃ食材を採って来ますでぇすわぁ!」
ドロプウォートは逃げる様に、そそくさと森の奥へと消えて行き、その背中を愉快そうに「キッシッシ」と笑って見送るラミウム。
(どう言う意味だろ……?)
ラディッシュは自身の疑問を「野次馬根性」と自覚しつつ、
「ねぇ、ラミウム」
「んあぁ?」
「今の話って、どう言う意味?」
「…………」
しばし黙するラミウムであったが、
「アタシの口から話すのは陰口みたいで好きじゃないんだが、遅かれ早かれ耳にする話だろうしねぇ」
フッと小さく笑い、
「アタシが聞かせても構いやしないかねぇ」
自問自答の後、
「まぁ、オマエさんとドロプ達は長い付き合いになるだろうし、構わないさぁねぇ」
腹を決めた笑みを見せたが、当のラディッシュは、
「僕とドロプウォートさんが? ながい?? しかも「達」って???」
謎めいたキーワードの連続に混乱の度を深め、そんな姿をラミウムが「キッシッシ」と一笑い、
「漢が、細い言い回しにチクチク反応してんじゃないよぉ♪」
笑い飛ばすと、気持ちを切り替える様に一呼吸置いてから、
「ドロプは「忌み子」なのさぁね」
「い、いみこぉ?」
「どっかの馬鹿どもが、アイツを「先祖返り」と罵ってたのを覚えてるかぁい?」
「う、うん……」
「この世界は、過去幾度となく存亡の危機に晒された事があんのさぁね。だがねぇ、その度に「特殊能力を持った金髪碧眼の子供」が必ず生まれて世界を救って来たのさぁね」
「金髪碧眼……」
ドロプウォートの容姿を思い出し、
「でもそれって「英雄の血筋」って事だよね? 喜ばれるのが普通で、嫌われる要素なんて無いんじゃないのかな?」
するとラミウムはフッと小さく笑い、
「誰もがオマエさんみたいに「能天気」だと、世界は平和でイイんだがねぇ~」
「ほへ?」
「考えてもみなぁさ」
「?」
「国同士の戦争も無い穏和な時代に、世界がヤバイ時にしか生まれない筈の子供がひょこり生まれたら、人はどう思うさぁね?」
「災いの前触れ?」
「おぅさ。だが実際はどうだ? 何も起きてやしない。勇者百人召喚すら形骸化しちまう程にねぇ」
「…………」
「だがぁ、そんな世にドロプは生まれた。伝承通り、人より秀でた才能を生まれながらに持ち、スクスク育って……。そぅなれば、心が脆弱な人間の中には何が芽生えると思うさぁね?」
「……嫉妬?」
「おうさぁ。嫉妬、妬み、嫉み、いつか「自分の地位が取られるかも知れない」と思う恐怖心。アイツはぁ才能、美貌、家柄、全てを兼ね備え、絶好の僻みの対象だったという訳さぁね」
「…………」
「だから、自分の「努力と存在」を認めてもらいたくて無茶をする」
口ぶりは軽いが、まるで自身の体験を語るかの様にその眼は鋭く、
「無茶をするから空回る。空回るから余計に煙たがられる。正に、悪循環てヤツなのさぁね」
ドロプウォートの努力を嘲笑う者たちや、それら全てを内包した理不尽を斜め上から見下ろした、皮肉交じりのヤレヤレ顔で笑い話を締め括ると、
「そんなの絶対におかしいよぉ!」
「あぁ?」
「確かに生まれ持った才能って、あると思うよ! でもそれを生かすも殺すも、生まれた後の本人の努力次第な訳でぇ、ドロプウォートさんが首席だったって事は、それだけ頑張ったって証じゃないか!」
「…………」
中世に降り立った「弱腰ラディッシュ」が初めて見せた、他人の為に怒れる強さ。
ラディッシュの力説は続き、その真っ直ぐな眼差しにラミウムは微かな笑みを浮かべ、
(アタシの目利きに、間違いは無かったようさぁね)
彼女以外の天世人は皆、文武に秀でた才があり、志半ばで命を落とす事になった「伸びしろのある若者」たちばかりと契約、勇者として異世界から召喚していた。
人格は度外視。
誓約者を輩出する中世の貴族たちもまた「家柄に箔が付けば良し」との考えで、「(強ければ・有能であれば)何でも良い」と言う両者の発想は、敵対する地世魔王軍や、地世信奉者たちとの戦いを踏まえた定石の選択とは言えるが、敵の殲滅を旨とした上に、自身の評価向上ばかり画策する「ゲーム感覚の九十九人天世」と、ラミウムは口にこそ出さなかったが想いの上で一線を画していた。
それを口にしてしまっては「地世寄り」と揚げ足を取られ、「百人の天世人」から「一般の天世人」に降格させられてしまう可能性があったから。
地位に未練がある訳では無い。
しかし、百人の天世人であればこそ成し得る「とある想い」があり、ラミウムは秘めた思いを胸に、自身が選んだ勇者が垣間見せた「心の強さ」に目を細めると、理不尽に対して絶賛熱弁中であったラディッシュは不服そうに、
「ねぇ、ちょっとラミウムぅ僕の話をちゃんと聞いてるぅ?!」
「あぁ、聞いてる聞いてるさぁね」
ラミウムは苦笑しながら頷きながら、
(ドロプ、アンタは「良い勇者」と誓約出来るかも知れないよ)
巨木の陰から密かに立ち去る人影に、笑みを送った。
「確かに「難儀な話」だがぁ」
悪い企み顔して、
「ソレだけじゃないだろぉさね?」
からかいを多分に含んだ物言いに、
「どう言う事???」
「こっ、この話は御仕舞いですわぁ! ワタクシぃ食材を採って来ますでぇすわぁ!」
ドロプウォートは逃げる様に、そそくさと森の奥へと消えて行き、その背中を愉快そうに「キッシッシ」と笑って見送るラミウム。
(どう言う意味だろ……?)
ラディッシュは自身の疑問を「野次馬根性」と自覚しつつ、
「ねぇ、ラミウム」
「んあぁ?」
「今の話って、どう言う意味?」
「…………」
しばし黙するラミウムであったが、
「アタシの口から話すのは陰口みたいで好きじゃないんだが、遅かれ早かれ耳にする話だろうしねぇ」
フッと小さく笑い、
「アタシが聞かせても構いやしないかねぇ」
自問自答の後、
「まぁ、オマエさんとドロプ達は長い付き合いになるだろうし、構わないさぁねぇ」
腹を決めた笑みを見せたが、当のラディッシュは、
「僕とドロプウォートさんが? ながい?? しかも「達」って???」
謎めいたキーワードの連続に混乱の度を深め、そんな姿をラミウムが「キッシッシ」と一笑い、
「漢が、細い言い回しにチクチク反応してんじゃないよぉ♪」
笑い飛ばすと、気持ちを切り替える様に一呼吸置いてから、
「ドロプは「忌み子」なのさぁね」
「い、いみこぉ?」
「どっかの馬鹿どもが、アイツを「先祖返り」と罵ってたのを覚えてるかぁい?」
「う、うん……」
「この世界は、過去幾度となく存亡の危機に晒された事があんのさぁね。だがねぇ、その度に「特殊能力を持った金髪碧眼の子供」が必ず生まれて世界を救って来たのさぁね」
「金髪碧眼……」
ドロプウォートの容姿を思い出し、
「でもそれって「英雄の血筋」って事だよね? 喜ばれるのが普通で、嫌われる要素なんて無いんじゃないのかな?」
するとラミウムはフッと小さく笑い、
「誰もがオマエさんみたいに「能天気」だと、世界は平和でイイんだがねぇ~」
「ほへ?」
「考えてもみなぁさ」
「?」
「国同士の戦争も無い穏和な時代に、世界がヤバイ時にしか生まれない筈の子供がひょこり生まれたら、人はどう思うさぁね?」
「災いの前触れ?」
「おぅさ。だが実際はどうだ? 何も起きてやしない。勇者百人召喚すら形骸化しちまう程にねぇ」
「…………」
「だがぁ、そんな世にドロプは生まれた。伝承通り、人より秀でた才能を生まれながらに持ち、スクスク育って……。そぅなれば、心が脆弱な人間の中には何が芽生えると思うさぁね?」
「……嫉妬?」
「おうさぁ。嫉妬、妬み、嫉み、いつか「自分の地位が取られるかも知れない」と思う恐怖心。アイツはぁ才能、美貌、家柄、全てを兼ね備え、絶好の僻みの対象だったという訳さぁね」
「…………」
「だから、自分の「努力と存在」を認めてもらいたくて無茶をする」
口ぶりは軽いが、まるで自身の体験を語るかの様にその眼は鋭く、
「無茶をするから空回る。空回るから余計に煙たがられる。正に、悪循環てヤツなのさぁね」
ドロプウォートの努力を嘲笑う者たちや、それら全てを内包した理不尽を斜め上から見下ろした、皮肉交じりのヤレヤレ顔で笑い話を締め括ると、
「そんなの絶対におかしいよぉ!」
「あぁ?」
「確かに生まれ持った才能って、あると思うよ! でもそれを生かすも殺すも、生まれた後の本人の努力次第な訳でぇ、ドロプウォートさんが首席だったって事は、それだけ頑張ったって証じゃないか!」
「…………」
中世に降り立った「弱腰ラディッシュ」が初めて見せた、他人の為に怒れる強さ。
ラディッシュの力説は続き、その真っ直ぐな眼差しにラミウムは微かな笑みを浮かべ、
(アタシの目利きに、間違いは無かったようさぁね)
彼女以外の天世人は皆、文武に秀でた才があり、志半ばで命を落とす事になった「伸びしろのある若者」たちばかりと契約、勇者として異世界から召喚していた。
人格は度外視。
誓約者を輩出する中世の貴族たちもまた「家柄に箔が付けば良し」との考えで、「(強ければ・有能であれば)何でも良い」と言う両者の発想は、敵対する地世魔王軍や、地世信奉者たちとの戦いを踏まえた定石の選択とは言えるが、敵の殲滅を旨とした上に、自身の評価向上ばかり画策する「ゲーム感覚の九十九人天世」と、ラミウムは口にこそ出さなかったが想いの上で一線を画していた。
それを口にしてしまっては「地世寄り」と揚げ足を取られ、「百人の天世人」から「一般の天世人」に降格させられてしまう可能性があったから。
地位に未練がある訳では無い。
しかし、百人の天世人であればこそ成し得る「とある想い」があり、ラミウムは秘めた思いを胸に、自身が選んだ勇者が垣間見せた「心の強さ」に目を細めると、理不尽に対して絶賛熱弁中であったラディッシュは不服そうに、
「ねぇ、ちょっとラミウムぅ僕の話をちゃんと聞いてるぅ?!」
「あぁ、聞いてる聞いてるさぁね」
ラミウムは苦笑しながら頷きながら、
(ドロプ、アンタは「良い勇者」と誓約出来るかも知れないよ)
巨木の陰から密かに立ち去る人影に、笑みを送った。
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