あい らぶ? こめ。

神室さち

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一難去ってまた一難

「ここは一発勝負で」

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「どうする?」

「ここは一発勝負で」


 一発って何するんだよ!?

 って、おそるおそる上目づかいに対峙する二人を見てたら。




 じゃんけんしやがった。最初はグーで。




 ってか、すげぇアイコ。こんな連続でアイコになる確率ってどのくらい? ってくらい、二十回以上アイコ。一旦仕切りなおして、もう一回最初はグーからはじまって、今度は五回目で勝負がついた。

 なんか、若干遅出し気味の、藤也が負けた。


 何で遅出しで負けるんだよ。




「フフフ。私の勝ち、ですね?」

 柊也が、勝者の笑み。だからその片方だけ唇上げる笑い方怖いって!

「っくしょー 読まれてたか」

 対する藤也は本当に悔しそうだ。高々じゃんけん負けたくらいで何もそこまでってくらいの悔しがりっぷり。


「では、真琴のはじめては私がいただくということで」





 は?


 はあぁああぁぁ!?





「おまっ! おま、おまー!!」

 人の目の前で何賭けて勝負してんだよ!! もうなんか、喉につかえて『お前ら』って言葉が出ねぇよ!!

「あー マコにその言葉で始まるモンついてたらよかったのになー」

「んひゃ! ドコさわってんだよ!!」

 藤也の指が、俺の袋とお尻の孔の間の、線になったとこを行き来する。

「いっそフタナリとかあってもいいと思うんだけど」

「ふっ ふたなッ!! んなもん、なるかバカあああああぁぁ!!!」

 まだリボンで拘束されっぱなしの手を振り上げて、藤也に振りおろす。結構力いっぱい殴ったつもりだったのに、藤也は全然答えてない様子で笑っている。俺の手のほうが痛い。

「真琴、藤也とばかりじゃれていないで」

 じゃれてねぇよ! 見ろよ、俺は本気で怒ってんだー!!




 フー!! ってなった俺のひざ裏に手を突っ込んで、脇の下を抱えて。

「え?」

 軽々と、抱きかかえられてしまった。しかも、お姫様抱っこだ。

「片方ばかりひいきすると、お仕置きしますよ?」


 だーかーら。笑い方。怖い。


「ベッドの上で、ゆっくりとね」

 にーっこり。

 柊也に笑いかけられて、俺は固まった。人を石にできる微笑みに。
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