13 / 30
新たな決意
しおりを挟む
「良かった。畑山とは何もないって思ってていいんだよな、由羽人?」
「あ、当たり前だろ! 何言ってんだよ陽翔!」
演技過剰だよ!
畑山と何かあるわけなんて無いのに、まるで恋人を取られるんじゃないかって妄想にかられるフリまでしなくていいんだよ!
キュッ。
――トクン。
だだだ、だから! だからぁ!
いちいち反応するなよ、俺の心臓!
俺の、畑山とは何もないっていう全力の否定に、陽翔がふーっと息を吐きだして俺の両手をキュッと握る。そんな行動一つ一つに相も変わらず律義に反応を返すバカ心臓に、おれは全力で脱力するしか術がない。
ううううう。
「なーんか、ちょっぴり残念だな」
「……なに?」
揶揄うような畑山の声に、陽翔が低い声で返す。
「べーつに? 陽翔が仲良くする相手は、恋愛感情を持たないからなのかなあって勝手に推測してたからさ。それが外れて残念だなーって思っただけ」
「…………」
揶揄ってるだけなのか、挑発しているのか想像もつかない畑山の発言に、陽翔が睨むように畑山を見ている。
「ハハ。そう睨むなよ。じゃあな、苺谷、陽翔も。また明日」
「あ、うん。バイバイ」
「…………」
片手を上げて去っていく畑山の背中を、陽翔は無言で睨み続けていた。
「陽翔、え~っとタイミング悪くてごめん。だって、まさかさ……」
「お前、あいつには注意しろよ? 気を許すんじゃないぞ」
「え? あ、うん。分かった」
やっぱ、畑山が俺らの事を探ってるんじゃないかって心配なんだな。
俺は陽翔に余計な心配をさせないように真顔でしっかり頷いたのに、そんな俺の顔を見た陽翔は、なぜだか微妙な顔をして「ホントにこいつ分かってんのかな……」と小さくつぶやいた。
……聞こえているぞ、陽翔!
頼りないかもしれないけど、これでも親友の端くれなんだ。
少しは信頼しろっての!
俺の失敗で陽翔を窮地に追いやらないようにしなければと、拳を握り締めて決意する。
綺麗でかっこよくて色っぽい親友を、邪なストーカー軍団から守ってやるんだ、うん。
……て、なんかカッコいいな俺。
か弱いお姫様を守る騎士みたいだ。ヘヘッ♪
「……ん」
「んっ!」
「もー! 由羽人ってば!」
「……え? は?」
いつのまにか自分の世界に入ってしまっていた俺の目の前で、陽翔が手を差し出して、まるでその手を取れと促すように何度も何度も小さく強く縦に振っている。
「そろそろ帰ろう。ホラ」
うあ~、やっぱそう言う事ね……。演技がマメ過ぎるよ陽翔。
「…………」
前方からは陽翔の笑顔の圧力、後方からは嫉妬という視線の圧力。
だけどこれは……。これは手を取る以外に道は無いだろう……。
相も変わらず律義な反応を示す俺の心臓はとりあえず無視して、俺は飼い犬がお手をするように、陽翔の掌の上にポンと自分の手を乗っけた。
「あ、当たり前だろ! 何言ってんだよ陽翔!」
演技過剰だよ!
畑山と何かあるわけなんて無いのに、まるで恋人を取られるんじゃないかって妄想にかられるフリまでしなくていいんだよ!
キュッ。
――トクン。
だだだ、だから! だからぁ!
いちいち反応するなよ、俺の心臓!
俺の、畑山とは何もないっていう全力の否定に、陽翔がふーっと息を吐きだして俺の両手をキュッと握る。そんな行動一つ一つに相も変わらず律義に反応を返すバカ心臓に、おれは全力で脱力するしか術がない。
ううううう。
「なーんか、ちょっぴり残念だな」
「……なに?」
揶揄うような畑山の声に、陽翔が低い声で返す。
「べーつに? 陽翔が仲良くする相手は、恋愛感情を持たないからなのかなあって勝手に推測してたからさ。それが外れて残念だなーって思っただけ」
「…………」
揶揄ってるだけなのか、挑発しているのか想像もつかない畑山の発言に、陽翔が睨むように畑山を見ている。
「ハハ。そう睨むなよ。じゃあな、苺谷、陽翔も。また明日」
「あ、うん。バイバイ」
「…………」
片手を上げて去っていく畑山の背中を、陽翔は無言で睨み続けていた。
「陽翔、え~っとタイミング悪くてごめん。だって、まさかさ……」
「お前、あいつには注意しろよ? 気を許すんじゃないぞ」
「え? あ、うん。分かった」
やっぱ、畑山が俺らの事を探ってるんじゃないかって心配なんだな。
俺は陽翔に余計な心配をさせないように真顔でしっかり頷いたのに、そんな俺の顔を見た陽翔は、なぜだか微妙な顔をして「ホントにこいつ分かってんのかな……」と小さくつぶやいた。
……聞こえているぞ、陽翔!
頼りないかもしれないけど、これでも親友の端くれなんだ。
少しは信頼しろっての!
俺の失敗で陽翔を窮地に追いやらないようにしなければと、拳を握り締めて決意する。
綺麗でかっこよくて色っぽい親友を、邪なストーカー軍団から守ってやるんだ、うん。
……て、なんかカッコいいな俺。
か弱いお姫様を守る騎士みたいだ。ヘヘッ♪
「……ん」
「んっ!」
「もー! 由羽人ってば!」
「……え? は?」
いつのまにか自分の世界に入ってしまっていた俺の目の前で、陽翔が手を差し出して、まるでその手を取れと促すように何度も何度も小さく強く縦に振っている。
「そろそろ帰ろう。ホラ」
うあ~、やっぱそう言う事ね……。演技がマメ過ぎるよ陽翔。
「…………」
前方からは陽翔の笑顔の圧力、後方からは嫉妬という視線の圧力。
だけどこれは……。これは手を取る以外に道は無いだろう……。
相も変わらず律義な反応を示す俺の心臓はとりあえず無視して、俺は飼い犬がお手をするように、陽翔の掌の上にポンと自分の手を乗っけた。
145
お気に入りに追加
1,251
あなたにおすすめの小説

僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

彼はオレを推しているらしい
まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。
どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...?
きっかけは突然の雨。
ほのぼのした世界観が書きたくて。
4話で完結です(執筆済み)
需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*)
もし良ければコメントお待ちしております。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

貧乏貴族の末っ子は、取り巻きのひとりをやめようと思う
まと
BL
色々と煩わしい為、そろそろ公爵家跡取りエルの取り巻きをこっそりやめようかなと一人立ちを決心するファヌ。
新たな出逢いやモテ道に期待を胸に膨らませ、ファヌは輝く学園生活をおくれるのか??!!
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

陛下の前で婚約破棄!………でも実は……(笑)
ミクリ21
BL
陛下を祝う誕生パーティーにて。
僕の婚約者のセレンが、僕に婚約破棄だと言い出した。
隣には、婚約者の僕ではなく元平民少女のアイルがいる。
僕を断罪するセレンに、僕は涙を流す。
でも、実はこれには訳がある。
知らないのは、アイルだけ………。
さぁ、楽しい楽しい劇の始まりさ〜♪

言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、

弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!
灯璃
BL
「あなたは弱すぎる! お荷物なのよ! よって、一刻も早くこのパーティーを抜けてちょうだい!」
そう言われ、勇者パーティーから追放された冒険者のメルク。
リーダーの勇者アレスが戻る前に、元仲間たちに追い立てられるようにパーティーを抜けた。
だが数日後、何故か勇者がメルクを探しているという噂を酒場で聞く。が、既に故郷に帰ってスローライフを送ろうとしていたメルクは、絶対に見つからないと決意した。
みたいな追放ものの皮を被った、頭おかしい執着攻めもの。
追いかけてくるまで説明ハイリマァス
※完結致しました!お読みいただきありがとうございました!
※11/20 短編(いちまんじ)新しく書きました!
※12/14 どうしてもIF話書きたくなったので、書きました!これにて本当にお終いにします。ありがとうございました!

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる