第二の人生は王子様の花嫁でした。

あいえだ

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本編

★契りの夜を

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俺の頬を涙が一粒すーっとつたっていく。

「っ…!」

声を殺して、気づかれないようにしていたけれどもさすがに無理だった。

「…レイ?」

心配そうに顔を覗きこまれ、俺は耐えきれずに手の甲で両目を覆って横を向く。

「…すまない、嫌だったか…早くレイを抱きたくて…焦ってしまったようだ」

切ない目をして詫びてくるベンに申し訳なくて俺はぶんぶん首を振った。

「ちが…!違う、悔しい…。こんなことなら体をもっと大事にしとけばよかった…うぅ…」
「ん?何…?」

意味不明だよな、俺の言ってること…。
ベンの眉間が少し険しくなる。

「ベンが未来、俺の前にこうやって来てくれるのがわかってたなら…!こうなるのなら後ろの処女はベンにとっとくんだった…」

殴られても蹴られても結婚するまではと拒むべきだった。あんな奴に体を許していた自分が情けない。

俺の後悔をよそに、ベンが俺の頬に唇を寄せ、涙を舌でペロッと舐める。そして鼻をすりつけてこう言った。

「私は初めてなど全く気にしない。後ろの処女って言い方は初めて聞いたがな」

驚いて瞬きしながらベンを見た。

「え、ほ、ほんと…?」
「ああ。…レイに経験があるということは…お互い楽しめそうだってことだ」

手の甲を俺に向けて見せ、小指から順番にボキボキと音を鳴らして閉じていくベンが愉快そうに笑う。

「え、もしかしてベン、どS?」
「…残念ながらその趣味はない…」
「そっか…」
「私に初めてを捧げたいと思ってくれただけでもう幸せな気持ちになっている。それにレイを抱くのは初めてなのだから、それで充分」
「え、ベン童貞なの?」
「……。ん?…そう思うか?」
「全く思いません…解釈間違えました」
「レイは天然だな…。と言っても、レイに過去の男の記憶があるのは許せない」

ぽそりと不機嫌そうに呟き、ベンが俺の腰を引き寄せた。

「過去なんて、後にも先にもあの…」

余計な事を言おうとした俺の唇を、彼の人差し指がそっと閉じる。

「いや、レイの可愛い口が奴の話をするのも腹が立つ」

俺はその人差し指を軽く噛んだ。

「この夜を一生忘れられないものにしてほしい…」

そう言った俺の唇を指でなぞりながらベンが顔を近づける。息が少しずつ荒くなっているような気がした。

「…これが最後みたいな言い方をするな。これからずっと、もっと深く愛せるのだから。今夜は始まりに過ぎないが…覚悟しろ」


と切なげに囁くと、覚悟をする間も与えずにベンが俺の唇を貪るように奪ってきた。
激しいキス。もう少し心の準備をさせてほしかったような…。

「俺の黒髪とは対のプラチナブロンド、世にも珍しい紫の瞳に、白磁のような肌。気性は強く、凛々しい、まるで猫のようだ…。ここでシュワルツ伯として生活している間にレイへの気持ちは募るばかりだったんだ」

キスの合間に想いを語られた俺は、驚いてベンの緑の瞳を見つめていた。
うっわぁベンが俺のことをそんな風に語るのめっちゃ恥ずかしい!
べた褒め録音しときたかったなー。

こんな痒くなるような台詞もベンに言われたなら心にダイレクトに刺さってくる。

うわ、ベン、スゲー俺のこと好き、俺…すっげー想われてんな…。
大丈夫か?
こんなに幸せでいいのか?神様、今世は幸せすぎて早死にするとかやめてね…。

「う、ぁ…あぁっ…」

うわ!うわうわうわ!
何もかも違う!ベンが俺を撫でるその指に、手のひらに、全てに俺の全神経がものすごい反応をしていく。
わななく唇、震える体が止められない。

今まで俺がしてきたセックスってなんだったんだ。
まだ本番もしてないのになんだこれ!?

「あ、んっ…や、だぁ…とまんなっ…!」

快感と痙攣が止まらない。俺、変になっちゃったの?既に何度も俺はイカされている。

「あ、また、出る…出ちゃう…っ!あぁっ、ベン、ベンっ…!」

ベンが触れる指と唇が俺を溶かして激しい快楽の嵐へと放り込んでいくんだ。

「…レイ、好きだ」

ベンがそう囁く。

これが彼の俺への愛の証のはじまりだった。





































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