【完結】小国の王太子に捨てられたけど、大国の王太子に溺愛されています。え?私って聖女なの?

如月ぐるぐる

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47話

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 ツバルアンナの薬に関する騒動も一通り終わり、残る作業は一つだけになった。

 マーテリーとその家族、マーテリーの留学先の侯爵の処分だ。

 ヴァルプール王家に話をすると、全員がそろって、いえ、貴族達も揃って処刑を望んだ。
 これに関しては私達からは何も言わず、ヴァルプール国に一任した。
 メジェンヌ国の属国になる前の話だし、私達が処分を下すものではない、との判断だ。

 その結果は、一族郎党皆殺しというモノだった。
 予想はしていたけど、最悪の結果だ。

 後の事は私達の手に余る。
 メジェンヌ陛下にお任せしよう。

 


 数日間はゆっくり過ごしたけど、どうにも寝つきが悪くて困る。
 やっぱり、今回の事で処刑された人数が多い事、騙されていた・洗脳された人が多い事が、ずっと頭の片隅に残っている。
 もっと他にやりようが無かったのかな、って。

 そんな時は決まって誰かがこう言ってくれる。

「お前が気に病む必要は無い。そもそもお前は被害者なんだぞ」

 と。

 分かっているんだけど、そうそう割り切れない。
 割り切れなくて暗い顔をしていると、続けてこう言ってくる。

「なら世界を征服するか? そうしたら全ての罪を自ら罰することが出来る」

「そんなのムリ。私はそんなに偉くない」

「ならお前があいつらの事を気に病む必要も無いだろう? お前の手の届かない所で悪さをしていたんだ、偉くないならどうして気にする」

「むぅ、セルジュは意地悪だ」

「はっはっは、可愛い女はからかいたくなるもんだ」

「相変わらずお前は変人だな。可愛い女性ならめでたくなるモノだろう」

「私は保護欲が湧きますね」

 アルバート神官長もロナウド副団長も好きなこと言ってる。
 まるで私は子供扱いだ。
 でも落ち着く。

 そろそろ……話した方がいいよね。

「ねえみんな、少し話を聞いてほしいんだけど、いい?」

 私がみんなの好意に答えられない理由、私が臆病になった理由。

 ヴァルプール国にいた時、私はハロルド王太子と婚約していた。
 仲は良かったと思う。
 そろそろ結婚かという時になって、ハロルド王太子は豹変して私を叱責しっせきし、婚約解消の上国外追放を命じる。

 意味も分からず追放された私は男性不審になり、もう結婚なんてまっぴらだと思ってしまったのだ。

 ツバルアンナの薬で洗脳さていたのが分かったけど、当時は強がっていたけど本当に辛かった。

 だから、どれだけ好意を向けられても、また捨てられるのかも、と、心の底からは信用できない。

「ごめんなさい、もっと早く言うべきだったのに」

 3人は静かに私を見ている。

「そうか……それは大変だったな」

「人間不信になってもおかしく無い事案ですね」

「心中、お察しします」

 理解してくれたかな。これで諦めてくれれば……。

「なら気長に待つことにしよう。なんなら今すぐに結婚式を挙げてもいいんだぞ?」

「バカセルジュめ、傷心の女性に何を考えている。聖女様、私は何時まででも待っています」

「私はアトリア聖女様にこの身を捧げました。何時まででもお側におりますので」

 あ、あるぇえ?
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