【完結】小国の王太子に捨てられたけど、大国の王太子に溺愛されています。え?私って聖女なの?

如月ぐるぐる

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48話

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 私がセルジュ、アルバート神官長、ロナウド副団長の好意を受け入れない理由、それを説明したのに、何故か嫌われない。
 気持ちをもてあそんだんだから、嫌われると思ったんだけど……。

「まあなんだ、お前が辛かったのは分かった。だが俺はそんな事では諦めないからな」

「同じく、私はいつまでも聖女様をお慕いしております」

「たとえ振り向いてもらえずとも、この身は常に御身の側に」

 逆に困惑してしまった。

「どうしてそこまで私にこだわるの?」

「アトリアと私が初めて会った時の事を覚えているか? お前は身寄りのない子供にパンを渡し、怪我の治療もした。更にお前の顔は俺の好みだ。好みの顔をした性格のいい女を、好きにならない理由があるか?」

 ストレートに言われた。
 それはそうだけど、顔は知らないけど私は性格が良くなんて無い。

「聖女様は常に親身になって、市民の相談を聞いておられました。おごることなく、慢心せず、ひたすらに献身しておいでです。それに……か、かわ! かわいらしい、女性を放っておけるほど、無欲ではありません」

 献身って言われても、それが聖女の仕事。
 おごりとか慢心は……良く分からない。

「アトリア聖女様は騎士達が怪我をしたさい、戦場の汚れにまみれ、血だらけの騎士を抱きかかえてくださいました。それが我らにとってどれだけ救いとなり、また、励みになった事でしょうか」

 だって、あの時はそんな事を考えてる暇は無かった。
 救いも励みも、私じゃなくても出来る事。

 3人が私を見つめている。
 その表情はとてもやさしく、そんな表情を向けられるほど……私が必要なの?

「焦る必要は無いさ。ゆっくり、ゆっくりと恐怖心を無くしていけばいい。俺達にはその時間があるのだからな」

 嬉しかった。臆病で卑怯な私を、こんなにも大切に思ってくれる人たちがいる。
 私は、この人達の気持ちに答えたい。
 でも……でも、今は、まだ、怖い。

「さしあたって、時間がある時は私達とお茶をしましょう。どこかに散歩に行くのもいいでしょう。聖女様の事、私達の事をもっとよく知れば、恐怖心も和らぐかもしれません」

「ならば我ら騎士団の訓練風景もご覧になってください。皆も以前の礼を言いたがっておりますので」

 なんていう優しい人たちなんだろう。
 だから私は甘えてしまうのかもしれない。
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