わたしとの約束を守るために留学をしていた幼馴染が、知らない女性を連れて戻ってきました

柚木ゆず

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第22話 幼馴染2人のその後~リュクレースの場合・その6~ リュクレース視点(3)

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「リュクレースちゃん、フィリベールちゃん。アンタらはおよそ3か月後に開かれる『フランス語で虹アルカンシェル』の、連弾部門にエントリーできることになったよ」

 お会いしてすぐマリィ先生が仰った、直接会って話したかったこと。
 それは、非常に有名な音楽コンクールへの参加について、でした。

「………………」
「………………」
「………………」
「………………」
「………………どうして、わたし達が……?」「………………どうして、僕達が……?」

 1分ほど言葉を失っていたわたし達は、顔を見合わせながら目を瞬かせ合いました。

 この国のコンテストの中でもっとも由緒あるコンテスト・アルカンシェル。

 最古のものだけあって知名度は国内外で非常に高く、必然的にコンテストのレベルも非常に高くなる。主催者側が認めたレベルの者しか――わたし達のようなピアニストの卵は、到底参加できないものとなっています。
 もちろんいくら師匠が有名でも駄目な、完全に実力勝負の世界。なのになぜ、わたし達にお声が……?

「くだんの前座に居合わせた人間が後日、自分が関わる演奏会に招待する。ソレに招待された際に初めて音を聴いた人間が、さらに後日招待する。どんどんと絶賛の輪が広がっていったし、時間に比例してより磨かれていっている。そんな評判と事実が主催者側の耳に届き、『主催者推薦枠のひとつを与えよう』となったらしいねぇ」

 その時に注目されている実績のない者の中から、各部門4名または2ペア選ばれる特別枠。その狭き門に、選ばれていたそうです……。

「演奏で聴き手に光景を浮かばせられるペアは、若手であっても国内外に何組もいる。けどねえ、『結成間もなく』であそこまでやったペアはいない。今最も勢いのある期待の原石ということで、2枠の1つに入れたのさね」
「「…………そ、そうなのですね……」」
「認知された時期もよかったしね、ワタシは選ばれると思っていたよ。フィリベールちゃん、リュクレースちゃん、誇っていいよ」

 前座もコレもそう。アンタ達の音が生み出した結果だよ。胸を張りなさい――。
 ピアノが関わった時のマリィ先生は、常に公平で真摯。出る言葉は全て本音ですので、そのお言葉をありがたくいただきました。

「で、だ。アルカンシェルは強制ではなくって、あくまで招待状が届いただけ。参加不参加はペアの自由で、どうするかい? 参加する、しない?」

 アルカンシェルはピアニストなら誰でも憧れの存在で、無論フィリベール様もわたしも該当します。

 ――夢の舞台――。

 ピアノに携わった時から目標としてあるものですし、


『人はどんな時だってね、目標を目指して走り続けている時が一番輝く――一番成長できるのさね。だからいいかい。高い目標を持ちなさい』


『それらの改善点がなくなったら……。より音と音が調和するようになったら……』
『どうなるのでしょうね……?』


 アルカンシェルで、期待を裏切らない演奏を披露する。これまでにない目標を目指すようになったら、更に『調和』するはず。
 そんな『ピアニスト』としての想いと『ふたりで紡ぐ音に魅了された者』の想いが、わたし、だけではありません。フィリベール様にもあって――

「「させていただきます!」」

 ――わたし達は頷き合いながら、宣言を行ったのでした。


 ○○


 大きな興奮と喜び。
 それらの感情に包まれていたわたしは、すっかり忘れてしまっていました。
 あのことを。

 2週間後に『良からぬものがやって来てしまう』。


 もう一つの、占いの存在を――。


 
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