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第22話 幼馴染2人のその後~リュクレースの場合・その6~ リュクレース視点(4)

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「おかえり、リュクレース」
「お帰りなさい、リュクレース」
「はい、ただいま戻りまし――??? お父様、お母様も。どうされたのですか?」

 それは、2週間後の7月3日。いつものようにフィリベール様とお会いして、今日はお互い予定がなかったためたっぷり5時間ほど音を絡め合い、充実した時間を過ごしてお屋敷に戻った時のことでした。
 エントランスで出迎えてくれたお二人の顔が、少しばかり曇っていたのです。

「………………」
「………………」
「? お父様、お母様……?」
「………………万が一があるかもしれん。やはり伝えておくべきだな」
「そうね、あなた。耳に入れておくべきだわ」

 お二人は頷き合い、お父様が後ろに向けて合図に送ります。そうすると薄いクリーム色のトレイに置かれた、一通の封筒と便箋が運ばれてきました。

「……わたし宛のお手紙、ですね。差出人のお名前は、ありませんね」
「これはリュクレースが発って間もなく届いたものでな。念のために取り扱いの際に手袋を求めているだけで、すでに入念なチェックをしていて危険性はないと判明している。安心して目を通してみてくれ」
「は、はい」

 わたしの名前が書かれた封筒の横にある、白色の便箋。その紙面に目を落してみると――


《アルカンシエルへの参加決定、おめでとうございます。
 でも幸せな時間はここでお仕舞。調子に乗りすぎた罰を受ける刻がやってまいりました。

 アルカンシエルへの参加を辞退し、今後すべての公演への参加も辞退してください。

 もしこの命令に従わなかった場合は、貴女に呪いをかけます。

 健康な人生を過ごしたいのであれば、服従することですね。
 従わなかったりパートナーや治安機関や第三者に通報した場合は即、呪いを実行しますよ。
 リュークレース・ハルトーン様。こちらは本気です。
 他のイタズラと同じと思っていたら、痛い目に遭いますよ  》


 そんな文字が、奇妙な赤色の魔法陣の上に記されていました。

「………………そういえば……。占いに、ありましたね……」

 すっかり忘れてしまっていました。

 3日後に『憧れのひとつがやって来る』。
 2週間後に『良からぬものがやって来てしまう』。

 ナディアが行ってくれた占いでは、そういったものが出ていました。
 その後者が、こちら。
 良からぬものとは、活動を妨害する手紙だったのですね。


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