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エピローグ 春 アルマ視点(2)

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「……アルマ。僕は1つ目の目標を叶えて、それによって周囲の人々の見る目も変わり始めました」
「……うん。そうだね」

 どこにでもいる、平凡な男爵令息。それが今は、国一番の有名人になった。
 ヴァリエス家のマイユール=『聡明』『将来の知将』。そう連想されるようになった。

「こんな風に残る8つも達成していき、より一層一目置かれる人間になります。差があるなんて、言われないようにします」
「…………。うん」
「だから、アルマ。僕と結婚してください」

 真水のように澄んだ、声と瞳。それらがやって来て、

「もう二度と、その手を離しません。もう二度と、悲しい顔はさせません。……どうか、貴方の隣を同じ歩幅で歩かせてください」

 その二つを追いかけるようにして、右の手が真っすぐ伸びて来た。

 ………………。

 そんな目と声と、動作。それらに対する反応は、一年前から決まっていた。わたしは一年前から、どんな反応するかを決めていて――

「はいっ、お願いしますっ。わたしの隣を、ずっとずっと歩いてくださいっ!」

 ――嬉し涙を零しながらその手を取り、大きな胸に飛び込んだのでした。


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