上 下
93 / 185

第一歩

しおりを挟む
 皆んな助けなきゃ!他の里の人達も洗脳されているだろう。

「他に何か気づいた事や、良い方法ありますか?」
「ご主人様、地図を書いてもらおう!ワータンに奥さんがいる場所とか檻の場所を書いてもらって、食べ物を渡している間にコッソリと助けに行くのはどうだ?」
「それいいね!ワータンさんお願いできますか?」
「だいたいの場所ならわかる。」
 ワータンさんがだいたいの地図を書いてくれ、マサドンにも確認してもらい最後にお母さんと一緒にいた部屋を教えてもらう。

 欲張らずに、一つ一つ助けていく事にした。
 今夜は解散して、また明日朝から食べ物を届けに行ってアナナンさんを救出する事になった。

 荷物を積み込んで車で山裾まで行き、昨日と同じように待機。
 ヤマドン達が、荷物を背負って山に入っていく。今日は、ワータンさんも車で待機している。
 
 昨日話しが出来ていたから、今日は早くに帰ってきた。
 外に出てワータンさんがアナナンさんを探している。
 オーガに抱きかかえられたアナナンがいた。グッタリしていて動けないようだ。他にも女性の奴隷も数人背負われて帰ってきていた。
 
 奴隷の人達は車に乗せて中間の村に運ばれて行った。
 アナナンさんは、公民館に運ぶ。
 体を拭いたり傷の手当てをワータンさんが泣きながらしていた。マサドンも側で泣いている。
 
 助け出してくれたオーガを呼んで、別の部屋で話しを聞いた。ヤマドンも一緒に来てもらう。
「どうやら、子どもを逃したことを隠していたのがバレて尋問され、言わなかったから縄で縛られて暴行されていたようだ。」
「今日の里の様子は、かなり落ち着いていた。昨日のように奴隷を蹴ったりする所は見なかった。食べ物を毎日持って来てくれるなら奴隷は全員使ってくれてかまわないと言っていた。女の奴隷にも興味がなくなったから連れて行っていいと言われた。」
「そうですか。じゃあ、明日は全員助け出しましょう。連れて帰ってくれる人を集めますね!」
「それとなく俺達と一緒に暮らしたら食べ物にも困らないし、楽しいだろうと言ってみた。乗り気に見えたぞ。」
「かなり洗脳が解けてますね!明日、大丈夫そうならリーダーと一緒に山を降りてきてもらえませんか?無理そうならいいですが、丸2日食べ物を食べていたら正常な判断が出来ると思うんです。話し合いが出来ればと思ってます。」
「わかった。やってみよう。」

 アナナンさんの所に行くと気がついて少しゼリー飲料を飲むことが出来たようだ。
「ありがとうございます。マサドンとこの子、ワータンまで助けていただいて……本当に……」
「今はまだ、あまり話したら疲れちゃいますよ。元気になったらいくらでも聞きますから、今は体を休めてください。」
「……はい。」

 赤ちゃんも隣に寝かせてもらっていて、家族で再会を喜びあっている。
 
 よし、ここにも名前がないと不便だ。ここの名前は果物シリーズでいこう!りんご村でいいや。
 多分あちこちに村を作る事になるから、みかんやももやぶどうとか適当に名付けよう。決定~!!

 せっかくなのでりんごの苗木を多めに出しておく。
 他にも苗を沢山出して、畑や果樹園をどんどん広げてもらう。

 中間の村まで行き、シェアハウスやマンションなども増やして、明日には沢山の人が来る事を伝えた。
 今日来た人達に会いに行った。

 公民館でご飯を食べている人達に話しかけた。
「何かしてほしい事や心配な事がありますか?出来るだけ、叶えられるようにしますよ。」
「俺達は、こんな風にご飯を食べられるだけで幸せだ。」
「こんな綺麗な服も初めて着た。」
「俺達に出来る事があれば何でもするから、ここにおいてほしい!!」
「もちろんです。ここに住んでくださいね。新しい家も用意してあります。明日には、一緒にいた人達全員助ける事が出来そうです。ワータンさんのように家族に会いたい人はいませんか?」
「お、俺は、家族に会いたい!人間の奥さんと子どもがいるんだ。」
「僕、お父さんに会いたい。ドワーフなんだ。前みたいに一緒に暮らしたい!」
「俺も、俺も家族に会いたい!!」
「明日、会えるかもしれません。ドワーフの家族と一緒に暮らしたい人は、私とりんご村まで行きましょう。人間の家族と暮らしたい人は、ここに残っていれば、明日には会えると思います。」
 足りない物がないように、沢山食料も服も出してから、りんご村に戻る。
 16人りんご村まで一緒に帰ってきた。
 シェアハウスに住んでもらう事になった。

 次の日も朝から食べ物を積んで用意する。今日はオーガに沢山来てもらっている。奴隷の人達を全員連れてきてもらう予定だ。

 山裾まで行き、今日も私はワーガと待機だ。
 1時間半ほどでオーガ達が奴隷を背負って降りて来た。そのまま車に乗ってもらい中間の村まで連れて行ってもらう。オーガ達は、残った人を連れにまた山を登って行った。
 ヤマドンが里のリーダーを連れてやってきた。
「この人間が陽菜。俺達のリーダーで助けてくれた人達だ。俺達も頭がおかしくなっていて、沢山の女を渡してしまった。それに人間や獣人族を奴隷にして酷い事をしてきた。今思うと何であんな酷い事が平気で出来たのか不思議だ。」
「……俺はドワーフの里で里長をしていたドドンだ。ヤマドンに食べ物をもらってから頭がスッキリして、今まで操られていたと理解できるようになった。里の者も、皆家族と暮らしたいと言っている。勝手な事を言ってるとは思う………が、どうか俺達に住む場所と食べ物を分けて欲しい。頼む!!」
 深々と頭を下げている。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界で農業をやろうとしたら雪山に放り出されました。

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたサラリーマンが異世界でスローライフ。 女神からアイテム貰って意気揚々と行った先はまさかの雪山でした。 ※当分主人公以外人は出てきません。3か月は確実に出てきません。 修行パートや縛りゲーが好きな方向けです。湿度や温度管理、土のphや連作、肥料までは加味しません。 雪山設定なので害虫も病気もありません。遺伝子組み換えなんかも出てきません。完璧にご都合主義です。魔法チート有りで本格的な農業ではありません。 更新も不定期になります。 ※小説家になろうと同じ内容を公開してます。 週末にまとめて更新致します。

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました

初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。 ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。 冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。 のんびり書いていきたいと思います。 よければ感想等お願いします。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

処理中です...