上 下
62 / 185

トイレ

しおりを挟む
 食べ物も確保できるようになってきて、休みもしっかりと確保できるようになってきた。最近は、休みの日に公民館に集まってトランプや将棋などのゲームを楽しむ人達も増えてきて、とても楽しそうだ。

 ファーナさんは、赤ちゃんの靴下や帽子、スタイなどを手作りしている。

 元のハルー村の果樹園にも道路を出して時々行っている。ファーナさんが綺麗にしたと教えてくれてたけど、本当に綺麗になっていて泥が肥料になって木がグングン育っていた。
 移せる木は移したけど、無理なものはそのまま育てていて、時々収穫に来たり、挿木用に枝を持ち帰ったりしている。
 
 それぞれが、楽しそうに過ごしている姿を見られるのが、とっても嬉しいな。
 
 私も時々は、休みをもらって家の前に家庭菜園を作ったり花壇を作ったりして楽しんでいる。

 神様からは連絡がなく、かけてみたけどつながらない……。本当にどうしたんだろう。

 最近、オーガの里に行ってないから、明日にでも行ってみよう。

 戻って来たい人は、ハルー村に1ヶ月ほどで帰ってきていて、サーフ君も奥さんと帰ってきている。
 3バカトリオは、オーガの里に残って美女オーガにアタックしまくっているが、全く相手にされてない……かわいそうに……。

 ワーガは、ハルー村に住んで畑仕事を頑張っている。最近少し変態が落ち着いた。姿が見えると走ってくるが、前ほど私の周りをウロチョロしなくなった。とても良い事だ!!

 久しぶりに、オーガの里に向かう事にして、朝早く出発。
 ワーガと2人で行く事になった。
 2時間ほど走って、トイレに行きたくなり、車を止めてもらった。
 公衆トイレに入ると、そこに人が寝ていた………。
 えっ?トイレだよね?

「あのぉー、起きてください。」
「…………うーん……。」
「もしもーし!ここはトイレですよぉー!起きてください!!」
「んーー、ふぁあー!あーよく寝た!」
「あのぉ~……。」
「えっ?何?誰?」
「いや、だから……。ここはトイレですよ。なんでこんな所で寝てたんですか?」
「……?トイレって何?」
 
 ワーガも男子トイレに行ったらしく、ぅわーー!何している?と声が聞こえてきた。
 公衆トイレは、自動ドアになっていて誰でも入れるようにしてあったけど、まさか人が寝ているとは思わなかった。

「ごめんなさい!あなたの家だった??勝手に入ってごめんなさい!!ちょっと一晩借りただけだから!すぐ出ていきます!」
「いえ、ここは家じゃなくて……。」
 コソコソと耳打ちして、トイレの使用方法を伝えると、ポカンと口を開けたまま固まっている。

「……なんでそんな事の為に、こんな立派な建物が必要なの??」
「いや、私が外で穴を掘ってするのは嫌だから!!」
「…………。はぁ??」
 理解してもらえなかった!

「これからどこか行くんですか?」
「……実は助けてくれる人を探してたんです。もぅ1人隣の部屋で寝ているんだけど、2人で助けてくれそうな人を探してて……。」
「分かりました。とりあえずトイレから出て家に行きましょう!」

 もう1人は、ワーガと一緒に外で待っていた。車に乗ってもらい途中の休憩用に出したシェアハウスに向かう。

 中に入ってもらって、とりあえずお風呂に入ってもらった。川も超えてきたようでドロドロの状態だった。服も着替えてもらい冷たい麦茶とおにぎりを出して話しを聞く。

 2人はキョロキョロしながらシェアハウスを見ている。
「あの、何を助けてほしいんですか?」
「あっ、そうだった!あのね、私達の住んでる場所があるんだけど、嵐が来て色々と無茶苦茶になったけど、なんとか生活してたんだ!でも、急に魔物が増えてきてどんどん居場所が無くなって……。今は木の上になんとか暮らしてるけど食料がヤバくなってきて………。」
「それで、まだ若くて元気な僕らが助けを呼んでくるからって飛び出してきたんだ。」
「そうなんだ。わかった!じゃあ、助けに行くよ!」
「え?いいの?………あのね……私達の所には、人間だけじゃなくて……ドワーフとかエルフもいるんだ。それでも助けてくれる?」
 不安そうに聞いてくる。

「ほら、見て!ここにいるのはオーガだよ!私の村には、ドワーフもエルフも人間も、もちろんオーガも皆んな一緒に暮らしてる!」
「ほ、本当?」
「うん、もちろん本当!」
「お、オーガって危険って聞いてたんだけど……。」
「ん??オーガは力は強いが、人間の陽菜様の方が強いぞ!」
 ワーガが自慢そうに言う。

「とりあえず、おにぎり食べて!ワーガも食べていいよ!」
 ワーガがおにぎりをパクパク食べるのを見て2人も食べ始める。
「美味しいーー!!」
「……初めてだ、こんな味!美味しい!!」
「まだまだあるから食べてね!」
 夢中で食べ始めた。

「ワーガ、悪いんだけどハルー村まで行ってダンドンさんとライルさん、他にも事情を話して山に入る準備をしてここに集まってもらって!」
「はい!ご主人様!!ひとっ走り行ってきます!」

 応援が到着するまで、2人に話しを聞く。2人とも20歳くらいだろうか、女の子の方がミイナ。男の子の方がターモ。
 どうやら、里を追い出されたドワーフやエルフ、人間が集まって暮らしていたらしい。
 里を追い出されたといえば、3バカトリオの親が里から追い出されている。ヒナドンの場合は、里に置き去りにされたと言ってたから、もしかしたら母親はそこから来たのかもしれない。
 ミイナ達は、50人ほどで暮らしている。
 他にも、そんな風に暮らしている人達がいるのか聞いてみるが、分からないけど他の場所を追い出された人もいたからあるんじゃないかな、と言っていた。
 それから、ドワーフでも同じ里から来た人ばかりじゃないらしいから、まだ他に里があると思うと教えてくれる。

 うーん、他にもエルフやドワーフの里があるなら早く見つけなきゃ……。多分大きな里だったエルフ、ドワーフがハルー村に移った事で、魔物が増えてウロウロしているんだろう。私にも責任がある。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

異世界で農業をやろうとしたら雪山に放り出されました。

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたサラリーマンが異世界でスローライフ。 女神からアイテム貰って意気揚々と行った先はまさかの雪山でした。 ※当分主人公以外人は出てきません。3か月は確実に出てきません。 修行パートや縛りゲーが好きな方向けです。湿度や温度管理、土のphや連作、肥料までは加味しません。 雪山設定なので害虫も病気もありません。遺伝子組み換えなんかも出てきません。完璧にご都合主義です。魔法チート有りで本格的な農業ではありません。 更新も不定期になります。 ※小説家になろうと同じ内容を公開してます。 週末にまとめて更新致します。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

処理中です...