キュートなSF、悪魔な親友

月那

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キュートなSF、悪魔な親友

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 田村の手が、鹿倉のふわふわの髪を撫でる。
 自分のことをどんなつもりで抱いてるのかな、なんて鹿倉が思いながらその腕の中で目を閉じる。
 お互いに何度か絶頂を迎えて、鹿倉の目が睡魔に負けそうになったから、田村が行為を止めた。腕の中に抱いて、いつもの場所を枕にして小さく丸まるから、きゅっと抱き寄せて。
 そんな、いつもと変わらない夜。
 でも、田村の気持ちがどんどん志麻に向いていることを感じているから、鹿倉はもうそろそろだな、なんて思っているわけで。
 優しい田村の掌を感じて、眠りに落ちそうになる。
「……コクった?」
 なのに、思わずそんな言葉が出てきて。
 我ながら、天の邪鬼だと思う。
「この状況で、それ、訊く?」
 田村が苦笑しながら言うから。
「別に。中挿さってても志麻さんののろけ聞けるよ」
 くふくふと笑いながら言う。
「どーゆー神経してんのさ?」
「心と体は別」
「意味わからんし」
 腕の中の細い肩をさわさわと撫でながら、田村が言葉を選ぶ。
「こないだ、さ。なんでこんなトコ一人で住んでるんだって、訊かれた」
 田村の、低い優しい声が子守唄のように聴こえる。鹿倉は目を閉じて、聴く。
「も、笑って話せるけど、ヘビーっちゃーヘビーじゃん、カナのことって」
 久しぶりに口にした元カノの名前。
 眠ろうとしていた鹿倉が身じろぎして目を開け、田村の目を見た。
「親同士、挨拶までしてたし。逃げられたって、簡単に言うけどほんとは……」
「いいよ、言わなくて。知ってるから」
 実際の所。別にオトコがいて、部屋の契約も婚約も、何もかも決まった後にその男の元へと走った元カノだったから、酷く傷付いたし親はブチ切れてかなり大変なことになったのは事実。
 でも、そんな重い話なんていつまでもひきずっていたくないから。
 鹿倉はわざと笑い話にする。
 傷ついた田村なんて、消えてしまえばいいと鹿倉は思っているから。
「なんでかなー、話してるうちに俺が結構浸っちゃって。したら志麻さんが、ぎゅってしてくれて」
「その勢いで押し倒された?」
「だからさー。なんでそーなる?」
「使えよ、使えるモンは」
「志麻さんはそんなことしません」
「してもらえばよかったのに」
「かぐはなんでそう、志麻さんに俺を抱かそうとするわけさ?」
「俺が抱かれたいから」
 即答すると、頬を抓られた。
「俺、結構志麻さん触って思うんだけど、おまえよか筋肉あるぜ?」
「俺よりは細い!」
「細マッチョ。腕、いい感じに太いし。あの腹筋使ってえっちなことされたい」
「かぐ!」
 くふくふと笑う。段々目が覚めてきた鹿倉が楽しそうに田村の胸筋を揉み始めて。
「早いトコ、手を付けねーと俺が志麻さん食っちゃうよ?」
 いたずらっぽく乳首まで弄るから。
「ほんっと、肉食獣だよなー、こんな可愛い顔してんのに」
「がお」
 ふざけてその突起に噛みついた。
「痛いよ、かぐ」
「んじゃ、きもちくさせよっか?」
「じゃなくて。もう寝るんでしょ?」
「なんか、勃ってきた」
「……ばか」
「リュウ、志麻さん妄想しながらヤってよ。目、瞑って」
「おいおい」
「まあ志麻さんみたいなマッチョじゃないからムズイかもしんないけど」
 言いながら体を起こす。
「……本気で、もっかいヤる気?」
「だってほら。触って」
 ほのかに熱を持ち、上を向いたソコに田村の手を持っていき。
「シよ?」
 上目遣いにきゅるんと瞳を輝かし、唇の端を少し上げて。腕を田村の肩に回す。
「…………いただきます」
 田村が小さくため息を吐いて、唇を重ねた。
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