キュートなSF、悪魔な親友

月那

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キュートなSF、悪魔な親友

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 その日、いつものように泊まりに来ていた鹿倉が、当たり前のようにベッドで田村が来るのを待っていた。
 夕食の片付けや、朝食の軽い準備など、まるで「お母さん」のようにしっかりと台所仕事をしてからベッドに入る田村のことを、鹿倉は裸で待っているという形で「いつもありがとう」を伝えているらしい。
「かぐー、お待たせー」
 言いながら田村が布団をめくると、今日は上しか脱いでなくて。
「あれ?」
「田村ー、何で俺だけいつも脱いでんの? おまえも脱いでから入って来いよ」
 珍しくそんなこを言う。けれど、特に疑問も持たないまま、「そだねー」と田村がスウェットを脱ぐと。
「あ、そうそう。田村、一個訊きたかったんだけどさ」
 鹿倉が体を起こす。この状況でなかなかソッチの空気に持っていかないのも珍しい。
「何?」
「田村さー、親指の長さって右と左、おんなじ?」
「は? そりゃ……当たり前なんじゃね?」
「そう? 見せて」
 いきなり突拍子もないことを言い始めた鹿倉の前に、田村が両手の親指を揃えて見せた。
「ほんとだー」
と、鹿倉は言いながら。
 どこに隠し持っていたのか、一本の結束バンドを取り出すと、手早くその二本の指を纏めた。
「え?」
 愕然とする田村に、鹿倉はニマニマと悪い顔で嗤って見せる。
「あ、力あんまり入れないでね。指、切れちゃうよ?」
 言うと、両手の動きを封じられてあっけに取られている田村を押し倒す。
「今日はねー、俺が田村のこと抱くから」
「は?」
「こうでもしないと、田村、力あるから俺には何もできないもん」
 言って田村にキスをすると、そのまま口腔内を攻め始めた。
「……んんっ」
 普段も、鹿倉が完全にスイッチ入り切っている時のキスは情熱的で、田村の口の中を暴れまくるけれど。そんな時よりもずっと強く、舌を痛いくらいに吸ってきて。
「った……はっ」
 わずかな隙をついて大きく息を吸い、田村が少し逃げるように唇を離すと。
「たまにはいいでしょ?」
 スイッチオンのいつもの鹿倉の顔で、妖艶に微笑む。
「……やったこと、あんの?」
「ないよー。ないけど、いつもしてくれてんじゃん。俺にもできるよ?」
「不安しかないんだけど?」
「だいじょぶ、だいじょぶ。今日はリュウ、いつもより気持ちよくさしたげるから」
「ええー」
「俺だって男だよ? たまには入れたいじゃん」
「それを言われるとぐうの音も出ない」
 くふふ、と鹿倉が笑って、今度は軽くキス。
「それに、リュウのバージン貰うのも、いいかなーと思って」
 言われて、一気に恐怖を感じた田村は、眉をしかめた。
「いやいや! いいわけないって。そっち、バージンのままでいいよ、俺は!」
「食わず嫌いは勿体ないでしょ」
「勿体なくない!」
「いいから、いいから。俺に任せて?」
 綺麗にウインクを決めながら、再びキス。
「キスでごまかすな!」
「ごまかしてないよー。ほら、キスから始めよ? 優しくするから、ね?」
 女の子を口説くかのように、イケメンぶったセリフを言い放った鹿倉が今度はしっかりと舌を絡めてきた。
 実際。
 そこから始まった鹿倉の愛撫はどこまでも優しくて。
 田村より低い体温のせいで、さらさらと体の表面を撫でる鹿倉の掌は、優しいだけじゃなく的確に田村の快感を煽ってくる。
 膨らんだ胸筋の飾りになっている乳首を、優しく唇で弄んで。
 その快感で半勃ち状態の田村のソコを優しく掌で包み込み、やわやわと扱く。
「……あんっ……」
 自分の口から出たとは思えないほど、甘い喘ぎ声が恥ずかしくて。田村は自由にならない両手を口元に持って行った。
「リュウ、声出して。気持ちいいの、我慢しないで」
「……やっ……」
 鹿倉は田村のソレを扱く力を強くして、より一層昂らせるように擦る。先端を弄られるのが気持ちイイことなんて熟知しているから、ぬるぬるとソコを執拗に指で弄る。
「あんっ……や……イ……」
 声にならない声が漏れる。
「そのまま、いっぱい感じてて」
 鹿倉は言って、ベッドサイドに用意していたローションを手にとった。
 そして、いつも自分の入口を解すように、ローションで濡らした指で田村の後ろの孔をゆっくりと撫でた。
 さすがにソコを触られるのは初めての経験で。
 田村が「ひゃあっ……」と悲鳴のよう声を出すと。
「大丈夫。ちゃんと解すから。怖がらないで」
 鹿倉はゆるゆるとソコを撫で、少しずつ指を中へと入れる。ほんとうに少しずつ。出したり入れたり、指でその感覚を楽しみながら。
「やん……あっ……あっ」
 指が入る度に、声が出るのを止められなくて。田村は必至で口元を抑える。ぞわぞわと背中を伝ってくる感覚は味わったことのないもので。
「だから、我慢しなくていんだって。いっぱい声出して? リュウの感じてる声、聴かせて?」
 そう言って、いよいよその細く長い指をぐいっと奥まで入れ込んだ。
「ああっ!」
 鹿倉の細い指でさえ感じる圧迫感に、田村の声は大きくなる。こんな感覚は知らない。
「入ったよ。じゃあ、イイトコ、探すね」
 ぐちゅぐちゅと指を中で掻きまわす。自分の一番イイトコ。それは田村も同じだろうと、ぐいっとソコを突くと、
「はあんっ!」
 田村の声が一際高くなり、屹立したソレがびくん、と震えた。
「見つけた。ね? 気持ちいーでしょ?」
 ずくずくとソコを指で突き、鹿倉は利き手である左手で手早く自分のモノにゴムを着けた。
「……やんっ……やあっ……ああっ」
「ほら、意地張ってないで」
「……き、きもちく、ないっ!」
「まだ言うの? もう。じゃあ、もっと太いので気持ちいくさせるからね」
 ローションを追加して、ぐちゅぐちゅと音を立てているそこから指を引き抜くと、今度は自身のソレを入口に宛がった。
「最初だけ、ちょっとキツいかもしんないけど、すぐ気持ちくなるからね」
 やってることとちぐはぐに、可愛い声でそんなことを言って。鹿倉はぐいっと中に挿入した。
「はあっんっ!!」
 指なんかより何倍も強い圧迫感に、田村は声を抑えられなくて。
「待ってね、頭入ったら、少し楽になるから」
 さすがに初めて迎え入れるだけあって、ソコはキツく簡単には入らない。
 それでもローションの滑りを借りて少しずつ、押し進めるとやっと半分収まった。
 田村のように腹筋を使って思い切り突きまくるなんてことは鹿倉にはできないので、ゆるゆると中を感じながら体を進める。
「凄いね、リュウ。中、キツくて締まっててて、ほんと、気持ちイイ」
「ああっ……ああっ……」
 鹿倉のモノが少しずつ奥へと入り込み、
「はうっ……!!」
 どうやら、一番イイトコに当たったようで。
「イイでしょ? ほら、感じて、リュウも。俺もすっごい気持ちイイから」
 ずちゅ、ずちゅ、と湿った音が響き、田村の喘ぎ声と相俟って鹿倉もかなり射精感が高まって来た。
「ああ、ほんと。やばいかも。俺、先にイっちゃいそうなんだけど」
 なけなしの腹筋を使って、田村のイイ所を攻め立てる。
「リュウ、凄いね……俺こんなん初めて……はっ……あっ……」
 自分だけイくのもどうかと思い、鹿倉は田村のぱんぱんに膨れているソレを扱いた。
「やっ……それ、ダメ……やあ……だっ! ダメ、イ、イく!!」
 田村が放つのと同じタイミングで、鹿倉も中に吐き出した。
 そして、そのまま田村の上に倒れ込む。
「……ごめん、リュウ。俺限界……」
 大きく息をしながら、鹿倉はベッドサイドに準備しておいたハサミで田村の指を纏めていた結束バンドを切った。
「俺、やっぱこっちは向かねー……」
 言って、ぐったりと力なく横になると、バトンタッチ、という風に田村の掌に自分の手を合わせた。
「おまえなあ……ほんっと、やりやがったなー……」
 田村とて、平気なわけではない。
 体の自由を奪われながら、感じたことのない感覚でイかされ、しかもそのまま放置。自分に着けていたゴムさえそのままぐったりしている鹿倉の頭をはたいた。
「入れんの、気持ちかったけど、やっぱ俺中でイく方がいいわー」
「……何それ? 仕切り直しってこと?」
「うん。田村、まだ全然ヤれるでしょ? 俺、全然スッキリしてないから、やっぱり普通にシたい」
 当然まだまだ萎えていないのは同じなので、田村は今度は自分のモノにゴムを新しく着けると、
「んじゃ、いつものように俺が入れるからな?」
 言って、くったりと俯せになっている鹿倉の腰を抱え上げると、ローションでその後孔を濡らし、指をずぶずぶと入れて解した。
「あん……やん、優しくしてよお」
「優しくしてるじゃん」
「んん……あんっ」
 指を増やすと、声が高くなり。
 中を掻きまわすようにして、ソコを指で突く。
「はんっ……イい。やっぱ、ソコ、きもち、イイ」
 鹿倉は素直に感じたままに声を出す。
「リュウも、きもちかったでしょ?」
「きもちくないし。俺は入れる方がいい」
「もー……あっん、やん、もう……」
 柔らかく解され、既に欲しがっているから。田村は完全に猛っている自身を鹿倉の入り口に宛がうと、ぐっと中へと挿入した。
「ああんっ……」
 鹿倉の中はもう、十分に熟されているから。纏わりつく感覚はしっかりとキツさはあるけれど、田村が体を進めると、吸い込まれるように奥まで入る。
「は……あ、イイね、よっくん。中、すげー気持ちイイ」
 じゅぶじゅぶとその中を味わう。鹿倉が自らの恣に腰を振るから、田村もそれに合わせて中を突き上げる。奥のイイ所を突き上げると、鹿倉の声は高くなり。
「あんっ……あんっ……」
 バックで攻めると、鹿倉のイイ所をかなり刺激するようで、膨れて立ち上がっているソレが触れてもいないのに透明な液をたらたらと流している。
 田村は突き上げながら、鹿倉のソレを握った。
「やっ! ダメっ…………触ったら、出ちゃう!」
 鹿倉が悲鳴のように言うと、田村が軽く扱いた瞬間それはパタパタと精を放った。

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