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キュートなSF、悪魔な親友
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(11)
いつものように過ごしたベッドの中、鹿倉がこのまま眠りに落ちるかどうか微妙なけだるい空気の中で微睡んでいると、
「かぐ、まだ起きてる?」
と、田村が静かに問いかけてきた。
その声には再度行為に向かう熱もなく、また通常運転仕様の“かぐ”呼びだったことで、話を聞きながら眠ろうと田村の腕の中に丸く収まりながら、「寝てる」と答えた。
「いや、まあ聞きながら寝てもいいけど、ちょっとだけ聞いて」
自分より体温の高い田村の腕の中、というのは眠りに落ちるには最適な環境なので、本当に眠るつもりではいるけれど、一応鼻の奥で「ん」とだけ返事をしながら耳を傾けた。
「こないださー、志麻さんと新しい企画の打合せと現地調査兼ねて久々にK市の辺りを回ったんだよねー」
田村も特に返事を求めるわけではないので、話しながらも鹿倉の髪をゆるく撫でていて。
「ほら、俺らは地元だろ? でも志麻さんあんましあの辺土地勘ないみたいだったから、ほぼほぼ俺が案内して回ったんだけどさ」
町おこしイベント的な企画らしく、田村が地元だということでそのまま田村中心で志麻がサブに入っているその話は鹿倉も一応話には聞いていた。
「志麻さん、すっげー優しくて」
「んー?」
何を今更、とばかりに眉を顰めて目を開けた。
堀率いる我がチーム、誰もがやたらと優しいのは自他共に認める事実である。中でも一番誰もに気を配っているのが志麻だと鹿倉は前から思っていて。
先日山本から“実は怖い人”という話は聞いたけれど、それは総て優しさに裏打ちされた厳しさからくるものだと鹿倉は解釈している。
「いや、違うんだよ。俺がさ、ちょっと懐かしくなって、嬉し気にいろんなトコ連れまわしちゃったのね。結構有名なトコとかだけじゃなくて、こう、マニアックなトコ」
話しているうちに少し目が覚めてきた田村は、少し体を起こすとヘッドボードに置いてあるアイコスへと手を伸ばした。
「マニアックというと、田村お得意の森林公園とか?」
何と言うか、地元の高校生が大抵最初にデートに連れて行く公園、というヤツで。鹿倉が鼻の奥でくふっと笑いながら言うと、
「だけじゃなくて、あと河川敷のグランドとか」
当然のように田村が答えた。
鹿倉も起き上がるとペットボトルの水を飲む。田村にも「いる?」と問うとそのまま素直に受け取り一口飲んだ。
そして田村と同じようにアイコスを手に取った。田村と違ってヤった後に吸いたいと思うわけではないので、自分の物はリビングに置きっぱなしだから、田村の予備のもの。
特にこだわりもないので、田村の物は俺の物的な感じである。
「でもさ、そんなわけわかんないトコ連れまわしてるのに、志麻さんすっげー喜んでくれるんだよね。こっちは懐かしくなっちゃって、無駄にテンション上がって連れまわしてるだけなのに、どこ行っても何見せても一個ずつ新鮮に楽しんでくれんの」
知らなかった、こんなの初めて、なんて本当に嬉しそうに笑ってくれるから。何よりもその笑顔が嬉しくて。
田村の声が色付いていると感じた鹿倉は、くるんとした目を細めて田村を見つめた。
「なんつーかほんと、あの人、可愛い」
「おお。ゆったねえ」
自分の、思わず出た言葉に対して返って来た鹿倉のセリフに。田村が「あ」と声を上げた。
「何?」
総てを見透かしているような鹿倉の目が、優しく、けれど田村の自覚をはっきりさせるように促していて。
「そーゆーこと、なのかな?」
「でしょーなあ」
田村が吸い終わると、鹿倉も途中だったけれど手を止めた。
得心が行ったせいか気持ちがスッキリと収まる。何となく、ここ最近の自分の中の感情が整理された気がした。
そんな田村の感情を総てわかっているとでもいう風に、鹿倉がふわりと笑って再びベッドに横になる。
「初めて、じゃない?」
「え? 何が?」
もう一度水を飲んで、田村が鹿倉を見て問う。
「対象がオトコっての」
その言葉に、改めて驚く。言われてみれば。
「あれ? あ、そっか。俺、かぐ以外のオトコ、抱きたいって思ったこと、そう言われるとないかも」
「うん。田村は本来こっち側じゃないから」
鹿倉はそのセリフに何の感情も載せない。ただの事実を口にしているだけで。
「何でかな? 志麻さんのことは」
「抱きたい……って思っちゃった?」
田村のセリフを奪うように言った鹿倉のその声が、妙に艶めいていて。
鹿倉の本当に怖いところが、この表情なのだと田村は思いながらゴクリと生唾を飲んだ。
何気ない言葉なのに、そこにこの“色”が入った瞬間鹿倉の表情には完全に魔力が宿る。結局どんなに鋼の「女好き」だろうと、鹿倉のこの表情を見た瞬間恐らく下半身をやられる。
「お……まえ、なんでそこでそんな色気出すかなあ?」
田村は、自分が今まさに「志麻に対する恋心」を自覚した瞬間だというのに、鹿倉に煽られて半勃ちになった自分自身を感じてしまい、頭を抱えた。
「出してねーよ、そんなもん」
無自覚という、鹿倉のえげつないまでの魔力発動に、田村は完全にその裸体に欲情している自分を感じてしまう。
俯せになり、自分の腕を枕にして田村を見た鹿倉の何気ないいつものキャラメル色の瞳にすら色気が溢れていて。
「だー! もう。あ、じゃあひょっとしてかぐ、ヤいてくれてる?」
「ばっかじゃねーの?」
色気が嫉妬から出ているのか、と思ったけれど。鼻で笑った鹿倉が悔しくて。
田村はそのまま鹿倉に覆い被さった。
「おい、何してんのさ?」
「ヤろ」
「はあ? 俺志麻さんじゃねーし」
「そんなん、わかってるし。志麻さんは堀さんのモンだし」
「え? あの二人ってそうなの?」
「わかんねーけど、こないだ二人ラブラブだったし」
「いやいや、少なくとも堀さんは違うっしょ?」
「どっちにしろ、志麻さんは抱けないし。とりあえず、今俺のコイツはお前に欲情してんの」
硬くなっているソレを鹿倉に押し当てる。
「貞操観念ゼロだな」
「んな難しい単語、俺は知らない」
「俺は身代わりかよ」
「志麻さんの身代わりには誰もなれない」
「……それでココでヤるってのはどっちにも失礼だけど」
「いいから、ヤらせろよ」
田村が低めの声で鹿倉の耳元に囁いて、そのまま耳の後ろをぺろりと舐めた。
「んんっ」
その場所が、鹿倉の性感帯であることは熟知している。そのまま指先でそこを撫でながら、耳の中に舌を入れた。
「あ……ん」
くちゅくちゅという音で鹿倉をより煽る。さっきヤったばかりだから、後ろはもうぐずぐずに滑っていることは知っているし、前の熱も既にじわじわと高まっているのを手で触って確かめる。
スイッチ、オンだ。
と鹿倉のモノを握り、その先端をぐりぐりと弄る。
「や……はんっ」
本気で抵抗するつもりなんてない鹿倉だから、田村の与えてくる快感には素直に身をゆだねる。
腰を浮かせて田村を迎え入れる体勢になった。
田村が鹿倉の背中を指先でなぞる。そのまま柔らかな尻を揉む。緩急をつけてその感触を味わうと、中心の蕾がひくひくと蠢く。
でも、そこには触れない。
ローションでテカテカといやらしく光るその入り口をあえて放置して、柔らかな太ももをわざと触れるか触れないかの微妙な力で撫でまわすと、
「は……あっ……んっ!」
鹿倉が前の刺激だけでは物足りなくて、我慢できないという風に指を自分の穴に入れようとしてきたので、田村はその手を掴んだ。
「ダメ。まだ挿れない」
田村のモノもかなりの角度をつけて立ち上がっているが、その先走りを鹿倉の穴になすり付けるようにしたけれど、中にはまだ挿れない。
「やんっ……中に、欲しい」
「知ってるよ」
腰が動いて田村のモノを飲み込もうとするが、あえて引く。
鹿倉が快感に震え、目尻に涙を溜めながら懇願するのを見下ろす。
その涙にキスだけして、鹿倉のモノの根元を握り込む。
「やっ……やだ! 出したい!」
「まだダメ」
自分で扱くことで前への刺激はあるけれど、その根元を止められているから射精もできなくて。かといって後ろにも思うような猛りを挿れてもらえず、鹿倉は身をよじってその焦らされる快感を逃そうとした。
だが、それも田村は許さなくて。
入り口に宛がっているソレをぬるぬると穴に擦り付ける。
「ああんっ! やだ! 挿れてっ!」
「……よっくん、逃げない?」
突然意味不明な問いかけをされ、鹿倉が快感の中でその真意を掴もうとしたが。
「逃げないなら、挿れたげる」
それを推し量るだけの気力が残っていなくて、鹿倉はガクガクと頷くと、
「……っないから! 挿れてよお……」
言って、腰を田村のソレへと押し付けた。と同時に、ずぷっと頭が入る。
「はんっ!」
田村も限界ではあったので、そのまま腰を進めて鹿倉の中を穿つ。
吸い込まれるように田村のモノを飲み込むと、鹿倉は大きく喘ぎ声を上げて腰を揺らした。
「ああ……イイ……イイ……」
ぐちゅぐちゅと音を立てて田村の怒張を飲み込み、一番のポイントをその段差がグリグリと当たるように腰を動かす鹿倉は、ただただその快感を追う。
田村も、ゴムを着ける余裕がなかったせいで思わず生のまま挿入してしまったことで、いつもよりも強い締まりを感じてしまっていて。
焦らした分だけ自分もその中の快感が余計に押し寄せてくるので、パンパンと激しく奥を打ち付けた。
「はっ……はっ……あっ……すげ、めちゃくちゃ気持ちイイ」
自分の先走りとローションの滑りで孔がぐちゅぐちゅと湿った音を立てるから、耳からの刺激までもが快感を増幅させる。
鹿倉のモノが硬く膨れ上がり、
「や……あっ……ダメ……もう……イ、イく!」
先に鹿倉が射精した。が、田村はまだ中を感じていたくて。
「よっくん……気持ちイイ……まだ出したくない」
放った後も押し寄せてくる中の快感を鹿倉は息を乱しながらも受け止める。そのまま田村がイイ所を突き上げてくるので、脱力しながらもゆるゆると悦びを感じる。
「ああ……ああ……ああ……」
もう声にならない声が喘ぎ声となって鹿倉の吐息に混じる。
「中、ぐちゅぐちゅしててすげー気持ちイイ」
じゅぶじゅぶと中を感じる田村は、射精感をいなしながらゆるゆると腰を動かし、少し落ち着くとまたずくずくと強く突き上げ。
緩急つけて中を掻きまわされた鹿倉は、自分のモノがまた立ち上がるのを感じて。
「はあっ……あんっ……んっ」
絶え間なく響く接合部の湿った音に、自分の声にならない声が相俟って快感を追うことしか考えられなくなった鹿倉は、田村の腰の動きに合わせてただゆるゆると自分のモノを握る。
田村は少し動きを止めて引き抜くと、くるりと鹿倉を仰向けにした。もう力の入りきらない鹿倉が、快感に陶然としながら田村の首に腕を回した。
正面から抱き寄せ再び中へと穿つと、今度はただ激しく奥を突き上げて。お互いの腹の間に擦れることで、鹿倉のソコへの刺激は十分に膨れ上がっていて、前と後ろの両方へと与えられる激しい快感に鹿倉はただただ田村にしがみついた。
「……はっ……はっ……はっ」
田村が持ち前の腹筋を使って大型のベッドが揺れるくらいの激しい動きで突き上げると、もう何も考えられなくて。
「も……もお……やあ……」
「……よっくん、イくよ?」
言って鹿倉の中から引き抜き、自分のモノと鹿倉のモノを一緒に扱き、二人で同時に放った。
鹿倉が放心したようにぐったりと力を抜き、無意識に掌で腹の上に放たれた精液を拭う。そしてそれがぬとーっと糸を引くように手を伝うその様を、とろんとした目で見ていると。
「う……おま……それは」
あまりにも卑猥な動きに、放ったばかりなのに田村のそれはまたムクりと角度を付け。
「え?」
「ダメだ。エンドレス」
と言って、今度は立ち上がりかけた自身にゴムを着ける。そして。
「もっかい」
「……ええ?」
鹿倉のぐずぐずの孔に再び挿入。
「はあ……んっ」
もう抵抗など殆どなく飲み込まれたソコに、田村が再び刺激を与えて。
鹿倉は既に抗うだけの力もなく、後ろを遠慮なく突き上げてくる田村の動きにただただ快感だけを追うように田村に抱き着いていた。
結局そのまま鹿倉の意識がなくなるまで繰り返された行為により、翌朝鹿倉は遅刻ギリギリまで起き上がることができなかった。
いつものように過ごしたベッドの中、鹿倉がこのまま眠りに落ちるかどうか微妙なけだるい空気の中で微睡んでいると、
「かぐ、まだ起きてる?」
と、田村が静かに問いかけてきた。
その声には再度行為に向かう熱もなく、また通常運転仕様の“かぐ”呼びだったことで、話を聞きながら眠ろうと田村の腕の中に丸く収まりながら、「寝てる」と答えた。
「いや、まあ聞きながら寝てもいいけど、ちょっとだけ聞いて」
自分より体温の高い田村の腕の中、というのは眠りに落ちるには最適な環境なので、本当に眠るつもりではいるけれど、一応鼻の奥で「ん」とだけ返事をしながら耳を傾けた。
「こないださー、志麻さんと新しい企画の打合せと現地調査兼ねて久々にK市の辺りを回ったんだよねー」
田村も特に返事を求めるわけではないので、話しながらも鹿倉の髪をゆるく撫でていて。
「ほら、俺らは地元だろ? でも志麻さんあんましあの辺土地勘ないみたいだったから、ほぼほぼ俺が案内して回ったんだけどさ」
町おこしイベント的な企画らしく、田村が地元だということでそのまま田村中心で志麻がサブに入っているその話は鹿倉も一応話には聞いていた。
「志麻さん、すっげー優しくて」
「んー?」
何を今更、とばかりに眉を顰めて目を開けた。
堀率いる我がチーム、誰もがやたらと優しいのは自他共に認める事実である。中でも一番誰もに気を配っているのが志麻だと鹿倉は前から思っていて。
先日山本から“実は怖い人”という話は聞いたけれど、それは総て優しさに裏打ちされた厳しさからくるものだと鹿倉は解釈している。
「いや、違うんだよ。俺がさ、ちょっと懐かしくなって、嬉し気にいろんなトコ連れまわしちゃったのね。結構有名なトコとかだけじゃなくて、こう、マニアックなトコ」
話しているうちに少し目が覚めてきた田村は、少し体を起こすとヘッドボードに置いてあるアイコスへと手を伸ばした。
「マニアックというと、田村お得意の森林公園とか?」
何と言うか、地元の高校生が大抵最初にデートに連れて行く公園、というヤツで。鹿倉が鼻の奥でくふっと笑いながら言うと、
「だけじゃなくて、あと河川敷のグランドとか」
当然のように田村が答えた。
鹿倉も起き上がるとペットボトルの水を飲む。田村にも「いる?」と問うとそのまま素直に受け取り一口飲んだ。
そして田村と同じようにアイコスを手に取った。田村と違ってヤった後に吸いたいと思うわけではないので、自分の物はリビングに置きっぱなしだから、田村の予備のもの。
特にこだわりもないので、田村の物は俺の物的な感じである。
「でもさ、そんなわけわかんないトコ連れまわしてるのに、志麻さんすっげー喜んでくれるんだよね。こっちは懐かしくなっちゃって、無駄にテンション上がって連れまわしてるだけなのに、どこ行っても何見せても一個ずつ新鮮に楽しんでくれんの」
知らなかった、こんなの初めて、なんて本当に嬉しそうに笑ってくれるから。何よりもその笑顔が嬉しくて。
田村の声が色付いていると感じた鹿倉は、くるんとした目を細めて田村を見つめた。
「なんつーかほんと、あの人、可愛い」
「おお。ゆったねえ」
自分の、思わず出た言葉に対して返って来た鹿倉のセリフに。田村が「あ」と声を上げた。
「何?」
総てを見透かしているような鹿倉の目が、優しく、けれど田村の自覚をはっきりさせるように促していて。
「そーゆーこと、なのかな?」
「でしょーなあ」
田村が吸い終わると、鹿倉も途中だったけれど手を止めた。
得心が行ったせいか気持ちがスッキリと収まる。何となく、ここ最近の自分の中の感情が整理された気がした。
そんな田村の感情を総てわかっているとでもいう風に、鹿倉がふわりと笑って再びベッドに横になる。
「初めて、じゃない?」
「え? 何が?」
もう一度水を飲んで、田村が鹿倉を見て問う。
「対象がオトコっての」
その言葉に、改めて驚く。言われてみれば。
「あれ? あ、そっか。俺、かぐ以外のオトコ、抱きたいって思ったこと、そう言われるとないかも」
「うん。田村は本来こっち側じゃないから」
鹿倉はそのセリフに何の感情も載せない。ただの事実を口にしているだけで。
「何でかな? 志麻さんのことは」
「抱きたい……って思っちゃった?」
田村のセリフを奪うように言った鹿倉のその声が、妙に艶めいていて。
鹿倉の本当に怖いところが、この表情なのだと田村は思いながらゴクリと生唾を飲んだ。
何気ない言葉なのに、そこにこの“色”が入った瞬間鹿倉の表情には完全に魔力が宿る。結局どんなに鋼の「女好き」だろうと、鹿倉のこの表情を見た瞬間恐らく下半身をやられる。
「お……まえ、なんでそこでそんな色気出すかなあ?」
田村は、自分が今まさに「志麻に対する恋心」を自覚した瞬間だというのに、鹿倉に煽られて半勃ちになった自分自身を感じてしまい、頭を抱えた。
「出してねーよ、そんなもん」
無自覚という、鹿倉のえげつないまでの魔力発動に、田村は完全にその裸体に欲情している自分を感じてしまう。
俯せになり、自分の腕を枕にして田村を見た鹿倉の何気ないいつものキャラメル色の瞳にすら色気が溢れていて。
「だー! もう。あ、じゃあひょっとしてかぐ、ヤいてくれてる?」
「ばっかじゃねーの?」
色気が嫉妬から出ているのか、と思ったけれど。鼻で笑った鹿倉が悔しくて。
田村はそのまま鹿倉に覆い被さった。
「おい、何してんのさ?」
「ヤろ」
「はあ? 俺志麻さんじゃねーし」
「そんなん、わかってるし。志麻さんは堀さんのモンだし」
「え? あの二人ってそうなの?」
「わかんねーけど、こないだ二人ラブラブだったし」
「いやいや、少なくとも堀さんは違うっしょ?」
「どっちにしろ、志麻さんは抱けないし。とりあえず、今俺のコイツはお前に欲情してんの」
硬くなっているソレを鹿倉に押し当てる。
「貞操観念ゼロだな」
「んな難しい単語、俺は知らない」
「俺は身代わりかよ」
「志麻さんの身代わりには誰もなれない」
「……それでココでヤるってのはどっちにも失礼だけど」
「いいから、ヤらせろよ」
田村が低めの声で鹿倉の耳元に囁いて、そのまま耳の後ろをぺろりと舐めた。
「んんっ」
その場所が、鹿倉の性感帯であることは熟知している。そのまま指先でそこを撫でながら、耳の中に舌を入れた。
「あ……ん」
くちゅくちゅという音で鹿倉をより煽る。さっきヤったばかりだから、後ろはもうぐずぐずに滑っていることは知っているし、前の熱も既にじわじわと高まっているのを手で触って確かめる。
スイッチ、オンだ。
と鹿倉のモノを握り、その先端をぐりぐりと弄る。
「や……はんっ」
本気で抵抗するつもりなんてない鹿倉だから、田村の与えてくる快感には素直に身をゆだねる。
腰を浮かせて田村を迎え入れる体勢になった。
田村が鹿倉の背中を指先でなぞる。そのまま柔らかな尻を揉む。緩急をつけてその感触を味わうと、中心の蕾がひくひくと蠢く。
でも、そこには触れない。
ローションでテカテカといやらしく光るその入り口をあえて放置して、柔らかな太ももをわざと触れるか触れないかの微妙な力で撫でまわすと、
「は……あっ……んっ!」
鹿倉が前の刺激だけでは物足りなくて、我慢できないという風に指を自分の穴に入れようとしてきたので、田村はその手を掴んだ。
「ダメ。まだ挿れない」
田村のモノもかなりの角度をつけて立ち上がっているが、その先走りを鹿倉の穴になすり付けるようにしたけれど、中にはまだ挿れない。
「やんっ……中に、欲しい」
「知ってるよ」
腰が動いて田村のモノを飲み込もうとするが、あえて引く。
鹿倉が快感に震え、目尻に涙を溜めながら懇願するのを見下ろす。
その涙にキスだけして、鹿倉のモノの根元を握り込む。
「やっ……やだ! 出したい!」
「まだダメ」
自分で扱くことで前への刺激はあるけれど、その根元を止められているから射精もできなくて。かといって後ろにも思うような猛りを挿れてもらえず、鹿倉は身をよじってその焦らされる快感を逃そうとした。
だが、それも田村は許さなくて。
入り口に宛がっているソレをぬるぬると穴に擦り付ける。
「ああんっ! やだ! 挿れてっ!」
「……よっくん、逃げない?」
突然意味不明な問いかけをされ、鹿倉が快感の中でその真意を掴もうとしたが。
「逃げないなら、挿れたげる」
それを推し量るだけの気力が残っていなくて、鹿倉はガクガクと頷くと、
「……っないから! 挿れてよお……」
言って、腰を田村のソレへと押し付けた。と同時に、ずぷっと頭が入る。
「はんっ!」
田村も限界ではあったので、そのまま腰を進めて鹿倉の中を穿つ。
吸い込まれるように田村のモノを飲み込むと、鹿倉は大きく喘ぎ声を上げて腰を揺らした。
「ああ……イイ……イイ……」
ぐちゅぐちゅと音を立てて田村の怒張を飲み込み、一番のポイントをその段差がグリグリと当たるように腰を動かす鹿倉は、ただただその快感を追う。
田村も、ゴムを着ける余裕がなかったせいで思わず生のまま挿入してしまったことで、いつもよりも強い締まりを感じてしまっていて。
焦らした分だけ自分もその中の快感が余計に押し寄せてくるので、パンパンと激しく奥を打ち付けた。
「はっ……はっ……あっ……すげ、めちゃくちゃ気持ちイイ」
自分の先走りとローションの滑りで孔がぐちゅぐちゅと湿った音を立てるから、耳からの刺激までもが快感を増幅させる。
鹿倉のモノが硬く膨れ上がり、
「や……あっ……ダメ……もう……イ、イく!」
先に鹿倉が射精した。が、田村はまだ中を感じていたくて。
「よっくん……気持ちイイ……まだ出したくない」
放った後も押し寄せてくる中の快感を鹿倉は息を乱しながらも受け止める。そのまま田村がイイ所を突き上げてくるので、脱力しながらもゆるゆると悦びを感じる。
「ああ……ああ……ああ……」
もう声にならない声が喘ぎ声となって鹿倉の吐息に混じる。
「中、ぐちゅぐちゅしててすげー気持ちイイ」
じゅぶじゅぶと中を感じる田村は、射精感をいなしながらゆるゆると腰を動かし、少し落ち着くとまたずくずくと強く突き上げ。
緩急つけて中を掻きまわされた鹿倉は、自分のモノがまた立ち上がるのを感じて。
「はあっ……あんっ……んっ」
絶え間なく響く接合部の湿った音に、自分の声にならない声が相俟って快感を追うことしか考えられなくなった鹿倉は、田村の腰の動きに合わせてただゆるゆると自分のモノを握る。
田村は少し動きを止めて引き抜くと、くるりと鹿倉を仰向けにした。もう力の入りきらない鹿倉が、快感に陶然としながら田村の首に腕を回した。
正面から抱き寄せ再び中へと穿つと、今度はただ激しく奥を突き上げて。お互いの腹の間に擦れることで、鹿倉のソコへの刺激は十分に膨れ上がっていて、前と後ろの両方へと与えられる激しい快感に鹿倉はただただ田村にしがみついた。
「……はっ……はっ……はっ」
田村が持ち前の腹筋を使って大型のベッドが揺れるくらいの激しい動きで突き上げると、もう何も考えられなくて。
「も……もお……やあ……」
「……よっくん、イくよ?」
言って鹿倉の中から引き抜き、自分のモノと鹿倉のモノを一緒に扱き、二人で同時に放った。
鹿倉が放心したようにぐったりと力を抜き、無意識に掌で腹の上に放たれた精液を拭う。そしてそれがぬとーっと糸を引くように手を伝うその様を、とろんとした目で見ていると。
「う……おま……それは」
あまりにも卑猥な動きに、放ったばかりなのに田村のそれはまたムクりと角度を付け。
「え?」
「ダメだ。エンドレス」
と言って、今度は立ち上がりかけた自身にゴムを着ける。そして。
「もっかい」
「……ええ?」
鹿倉のぐずぐずの孔に再び挿入。
「はあ……んっ」
もう抵抗など殆どなく飲み込まれたソコに、田村が再び刺激を与えて。
鹿倉は既に抗うだけの力もなく、後ろを遠慮なく突き上げてくる田村の動きにただただ快感だけを追うように田村に抱き着いていた。
結局そのまま鹿倉の意識がなくなるまで繰り返された行為により、翌朝鹿倉は遅刻ギリギリまで起き上がることができなかった。
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