【完結】君を繋ぎとめるためのただひとつの方法

みやこ嬢

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第37話:謎の荷物

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*同居開始~本編最終話ラストに至る迄の物語*


 頼んだ覚えのない荷物が届き、龍之介りゅうのすけは首を傾げた。宛名は謙太けんたになっており、伝票の品名欄には『雑貨』と記載されている。
 通販したなら先に言っとけ!と思いながら受け取りのサインをして、箱はリビングの隅に置いておいた。

「あ、もう届いたんだ」

 帰宅後、一緒に夕食をとっている時に謙太が気付いた。

「なに頼んだんだ? 要るものがあるなら買い出しのついでに買ってくるのに」
「ゴムとかローションとか色々」

 龍之介はみそ汁を噴いた。
 聞いたのは自分だが、食事の最中にする話題ではない。日々の買い物でドラッグストアにも寄るが、昼間それをカゴに入れる勇気はない。

「……おまえ、まさか」

 コンドームもローションも、抜き合いをするだけならば必要ない。それらをわざわざ揃えたということは、つまりそういうことだ。

「そろそろ次の段階に挑戦したいと思って」
「一人でやってろ」
「リュウも付き合えよ」
「なんでだよ!」

 思わず喧嘩腰になってしまったが、今は食事中だ。話が思わぬ方向に向かったせいで気不味い。料理の味がよく分からなくなる。ちらりと前を見れば、謙太は平然と煮物をつついて食べていた。自分だけ意識しているのが悔しくなり、龍之介も平静を装って食事を続けた。





 交代で風呂に入った後、早速荷物を開封する。
 中身は謙太の申告通り、コンドームの箱やローションのボトルが数個ずつ。それと、手のひらサイズの球体にノズルが付いたシリコン製のポンプのようなものが入っていた。

「なにこれ」
「直腸の洗浄に使うんだって」
「誰がやんの?」
「おまえ」
「……はあ~~……」

 龍之介はポンプ片手に盛大な溜め息を吐き出した。

「別にそこまでしなくてよくないか?」
「え、でも洗浄しないと色々」
「腸内洗浄するかしないかじゃなくて、おまえがその後やろうとしてることについて言ってんだ俺は」

 男同士の性行為は受け入れる側の負担が大きい。この場合の『受け入れる側』は龍之介となる。行為に対する熱意の差が有り過ぎるからだ。
 女性と違い事前の準備が必要となる。思い立ってすぐセックスになだれ込むような真似は出来ない。

 抜き合いで性欲の発散自体は出来ている。そこまでする必要はないと龍之介は考えていた。

「リュウはしたくない?」
「したくないっつーか、そもそも男同士だからさ、女相手にするみたいにはいかないだろ」
「オレはリュウとしたい」
「ウッ……」

 真っ直ぐな目で言い切られてしまうと断りづらい。

 龍之介も興味がないわけではない。ただ、お互い女性としか経験がない以上、どうしても不安が付きまとう。


 失敗したら。
 冷められたら。
 失望されたら。


 そんなことばかりが頭を過る。

「試してみて、リュウがどうしても無理だっていうなら諦める」

 ここまで言われたら、何もしないうちに拒絶したら申し訳ないような気になってくる。色々調べてわざわざ道具まで揃えたのだ。試すくらいはしてもいいかもしれない、と思えてきた。

「…………試すだけな」
「ヨッシャ!」

 渋々了承した龍之介を見て謙太がガッツポーズで喜びを表現した。ここまで喜ばれると後で無理だと言いにくい。

 龍之介はまたまた謙太に流された。
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